港の先に道路ないよ!! 国際海峡を横切る「海上国道」ときには潜水艦や空母の姿まで
- 乗りものニュース |
国道280号は、青森県から北海道に至る道路です。ただ、そのあいだには津軽海峡があって道路はつながっていないはず。どういうことでしょうか。
えっ、国道って海の上にもあるんですか?
「国道」と聞くと、多くの人は都道府県道や市町村道よりも立派な、舗装された幹線道路を連想するのではないでしょうか。しかし、中には少数ですが陸上ではなく海上を渡る国道が存在します。それらは海上国道と呼ばれており、全国で24路線がいまも存在しています。
国道という単語には「道」という文字が含まれているため、道路を設けることができない海の上になぜ開設できるのだ、と思うでしょう。しかし、海で隔てられていたとしても、その区間をフェリーなどの海上交通手段で移動できるのならば、そこも国道として認められることがあるそうです。
青森市内にある上古川交差点。ここが国道280号の始点となる(布留川 司撮影)。
国土交通省のWEBサイト「教えて国土交通省」によると、「一般に地上につくられた道路あるいは構造物(橋や海底トンネル)はなくても、フェリーポートなどによって、道路と道路を結ぶ1本の交通系統としての機能があると判断できれば、国道として指定しています」と説明されています。
つまり、条件を満たせば、国道が必ず陸上になければならないという縛りはないのです。このような特例的な国道が誕生したのは、日本が無数の離島で構成される島国であることがその背景にあると思われます。
今回、筆者はそんな海上国道のひとつである国道280号の、本州側の陸上終着地である青森県外ヶ浜町の三厩港へ実際に行ってみました。
見つけた! 津軽海峡を縦断する見えない国道の痕跡
国道280号は青森県青森市から北海道函館市までつながる総延長約189kmの道路です。道路は青森市から津軽半島の東側の海岸線を沿うように走っており、北端部の外ヶ浜町の三厩港と、北海道福島町にある福島港のあいだ、津軽海峡を越える17kmの区間が海上国道となっています。
この区間は、かつて東日本フェリーがフェリーを運航しており、本州と北海道をつなぐ交通手段として活躍していました。また、1961年に始まった青函トンネルの工事では、建設資材の運搬にも利用されたそうです。
しかし、1988年3月に青函トンネルが開通すると利用者は減少し、1998年以降フェリーは運休。今は海上国道だけが残った状態となっています(自治体は再開を目指して運航会社を募集中)。そのため、現在の三厩港は漁船ばかり目立つ漁港という感じでした。
ただ、港の周辺には、ここが海上国道の起点であることを示すものがいくつかありました。
青森市内の国道280号。津軽半島の東側の海岸に沿って走る国道である(布留川 司撮影)。
国道280号の本州側の道路の終点は三厩港の手前の三叉路となっていますが、そこには国道280号とその先の国道339号の道路案内標識が並んでおり、少し離れた場所には、ここが国道の境界線であることを示す独自の青看板と石碑までありました。
海上国道の存在を知らない人には、ここは2つの国道の起点と終点が交わる場所にしか映らないでしょう。しかし、その後ろの港内には、かつて運航されていたフェリーの乗り場の看板が今も残っていました。全体が錆びた状態のため、歴史の長さを物語っています。
ちなみに、青森県は北海道と隣接する関係から、海上区間を含む国道がこの他にも2本あります。下北半島を走る国道279号と国道338号は、両方とも半島北端の大間港と函館港を結ぶ区間が海上国道となっており、この区間では現在もフェリーが定期運航されています。
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