ミカン食べ過ぎで、手が黄色く…「柑皮症」になるって本当? 眼球が黄色くなる疾患と似た症状も 真偽&健康リスクを医師に聞く
- オトナンサー |
冬によく食べられる果物の一つがミカンです。年末年始に暖かい部屋でミカンを食べながら過ごす人は多いと思います。ところで、ミカンを食べ過ぎると手が黄色くなるといわれていますが、本当なのでしょうか。ミカンを食べ過ぎた場合の健康上のリスクについて、美容クリニック「APOLLO BEAUTY CLINIC」(東京都渋谷区)院長で、美容外科医・美容皮膚科医の鬼沢正道さんに聞きました。
ベータカロテンの過剰摂取が原因で「柑皮症」に
Q.そもそも、ミカンを食べると健康上、どのようなメリットがあるのでしょうか。
鬼沢さん「ミカンにはビタミンCやベータカロテン、食物繊維が多く含まれています。ビタミンCはコラーゲンの生合成に欠かせない成分であるほか、肌のメラニン色素の生合成を抑制する作用があり、シミの予防や日焼けの防止になります。
また、ベータカロテンには抗酸化作用があり、細胞老化やがん化、血管の劣化などを予防する働きがあります。食物繊維は腸内環境を整え、便通が良くなるほか、満腹中枢も刺激するため、ダイエットには相性の良い成分です。血糖値の上昇を緩やかにするほか、血中コレステロール値の改善にも効果があります」
Q.ミカンを大量に食べると、手が黄色くなることがあるといわれていますが、本当なのでしょうか。その場合、医療機関を受診した方がよいのでしょうか。
鬼沢さん「本当です。ミカンを大量に食べて手が黄色くなるのは、『柑皮症(かんぴしょう)』という状態で、ベータカロテンの過剰摂取が原因で生じます。ベータカロテンはミカンに限らず、ニンジンやカボチャなどさまざまな緑黄色野菜に豊富に含まれているため、これらの食べ物を食べ過ぎでも柑皮症を引き起こす可能性があります。
柑皮症は特に無症状で経過し、1~2カ月程度で自然に軽快します。特別な治療法がないため、医療機関を受診しても特に何も積極的な治療は行われません。
しかし、注意が必要なのは、柑皮症に似ている病気が存在するということです。代表的なものは『黄疸(おうだん)』です。これも皮膚が黄色に変色してしまう疾患ですが、分かりやすい違いとして、柑皮症の場合は眼球結膜(目の白い部分)が黄色く変色しない一方、黄疸の場合は眼球結膜が黄変します。また、柑皮症は無症状ですが、黄疸は皮膚のかゆみを伴います。
黄疸が出現している場合、肝臓や胆菅、血液の赤血球などに問題がある可能性があるので、速やかに医療機関を受診するのが良いと考えます」
Q.ミカンを食べ過ぎると、他に体にどのような影響を及ぼす可能性があるのでしょうか。
鬼沢さん「特にミカンを食べ過ぎることで引き起こされる健康被害はありませんが、水分量が多く食物繊維も含まれるため、食べ過ぎると腹痛や下痢になる可能性があります。また、ミカンには果糖が豊富に含まれているため、糖分の過剰摂取による生活習慣病のリスクにも注意が必要です」
Q.1日に食べてもよいミカンの個数の目安について、教えてください。
鬼沢さん「厚生労働省では1日当たり200グラムの果物の摂取を推奨しています。この量から逆算すると、ミカンは1日1~2個程度摂取するのが適切と言えるでしょう。
心疾患で水分制限がある人や糖尿病で食事制限がある人は、病状に応じて都度、摂取量の変更が必要です」
オトナンサー編集部
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