いつかは「空母ドナルド・トランプ」誕生? 空母の名前になった大統領「え、この人も!?」「じゃあこの人も…?」
- 乗りものニュース |
アメリカ大統領府は、ジェラルド・R・フォード級原子力空母の5番艦と6番艦について、クリントン元大統領とブッシュJr元大統領の名前を艦名とすると発表しました。これまではどの大統領の名前が艦名に用いられてきたのでしょうか。
最新鋭空母の艦名発表
アメリカ大統領府は2025年1月13日、建造が計画されているジェラルド・R・フォード級原子力空母の2隻の艦名について、5番艦のCVN-82の艦名を「ウィリアム・H・クリントン」、6番艦CVN-83の艦名を「ジョージ・W・ブッシュ」にすると発表しました。
ジェラルド・R・フォード級の1番艦「ジェラルド・R・フォード」(画像:アメリカ海軍)。
ウィリアム・J・クリントンと言われても、「誰?」と思ってしまう方も少なくないのではないかと思いますが、これはアメリカ合衆国で第42代大統領を務めた、ビル・クリントン氏のフルネームです。
一方、ジョージ・W・ブッシュ氏はクリントン氏に続いて第43代大統領を務めた人物のフルネームです。ブッシュ氏の父親のジョージ・H・W・ブッシュ氏はクリントン氏の前に第41代大統領を務めた人物で、ニミッツ級原子力空母の10番艦CVN-77はその名を頂いています。
CVN-82の就役時期は未定ですが、CVN-81は就役予定時期が2036年と発表されていますので、おそらくCVN-82、83とも2040年までには就役するものと思われます。また、CVN-77は2009(平成21)年に就役しています。
ちなみにクリントン氏とジョージ・H・W・ブッシュ氏は大統領退任後、共に慈善事業に従事しているうち急速に親しくなり、クリントン氏がブッシュ家の内輪の集まりに招かれる「準家族」になっています。ニミッツ級原子力空母は50年以上運用されていますので、アメリカの財政状況や国防方針に大きな変化がなければ、2040年代前半には、ブッシュ父(CVN-77)と息子(CVN-83)、さらにクリントン氏(CVN-82)のファミリー3隻が洋上で行動を共にする姿が見られるかもしれません。
これまでは誰がどの艦名に?
第二次世界大戦後にアメリカ大統領を務め、既に故人となっている人物は3人を除き、その名が原子力空母に付けられています。2025年中の就役が予定されているジェラルド・R・フォード級原子力空母の2番艦には第35代大統領の名前に由来した「ジョン・F・ケネディ」という艦名が付けられています。
ズムウォルト級駆逐艦の3番艦「リンドン・B・ジョンソン」(画像:アメリカ海軍)。
ケネディ氏の名前はキティホーク級空母の4番艦にも付けられています。これは空母に2回、同じ人名が使用される初めてのケースになります。その理由はおそらくケネディ氏が太平洋戦争で功績を残した海軍軍人であることと、いまだにアメリカ国民からの人気が高いためなのではないかと考えられます。
原子力空母に名前が付けられていない3人のうち、第36代大統領のリンドン・ジョンソン氏の名前はズムウォルト級駆逐艦の3番艦にあてがわれています。第39代大統領のジミー・カーター氏は、海軍軍人として原子力潜水艦に勤務した経験を持つただひとりの大統領経験者であることから、シーウルフ級原子力潜水艦の2番艦がその名が付けられています。
残る1人の第37代大統領リチャード・ニクソン氏だけは、いかなる軍艦にもその名が付けられていません。これは再選を果たした大統領選挙中に敵陣営の選挙対策本部を盗聴した「ウォーターゲート事件」の責任をとって、任期途中で辞任していることが原因なのではないかと見られています。
可能性あるか!? 空母「ドナルド・トランプ」
既に故人となった大統領経験者は全員、アメリカ連邦軍の軍籍を持っていましたが、存命の大統領経験者はトランプ大統領を含めて、誰もアメリカ連邦軍の軍籍を持っていません。
また、このほど原子力空母に名前が付けられることが決まった2人の大統領経験者と、1月20日で退任したジョー・バイデン前大統領はベトナム戦争に従軍していても不思議のない年代なのですが、3人とも従軍していません。ジョージ・W・ブッシュ氏はベトナム戦争中、テキサス州空軍で戦闘機パイロットを務めていましたが、アメリカ国内にいました。またバイデン前大統領は持病の喘息で徴兵を猶予されています。
そしてクリントン氏にはかねて、ベトナム戦争中のイギリスへの留学が「徴兵逃れ」なのではないという批判があります。このような批判がなされている人物の名前が、軍艦に付けられることは無いのではないかと考えられていました。
2人の大統領経験者の名前を原子力空母に付ける事を承認したジョー・バイデン前大統領は「2人は最高司令官であることの責任の重さを身をもって知り、兵士の無事を心配しながら待つ家族を支える重要性も理解している」と述べています。
バイデン前大統領のこの言葉をもって原子力空母の命名基準とするのであれば、軍籍を持たずに法律家から政治家になったバラク・オバマ氏とバイデン前大統領も「資格あり」と言えるでしょう。
さて、気になるのは現職のトランプ大統領ですが、ニューヨーク地方裁判所から過去の事業記録改ざんなど34件で有罪評決を受けています。前に述べたニクソン氏の例もあるように、本来「不名誉」な人物の名前は軍艦には付けられないものなのですが、今後4年間の任期をまっとうし、アメリカ軍最高司令官として大きな功績を残せば、遠い将来原子力空母「ドナルド・ジョン・トランプ」が誕生する日が来る…のかもしれません。
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