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映画『シン・エヴァ』公開記念 再放送『新世紀エヴァンゲリオン』から始まった「深夜アニメ」の大ブレークを覚えていますか

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  • 2021年03月08日

熱心な視聴者を獲得した深夜アニメ

 東京と神奈川、埼玉、千葉に向けた緊急事態宣言が3月21日(日)まで再延長されました。あと2週間の我慢にがっかりする人たちもいるかもしれませんが、そんな空気を一気に吹き飛ばすような出来事が本日、訪れます。『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の公開です。

 エヴァンゲリオンは企画開始の1993(平成5)年から27年間にわたって、さまざまな現象を生んできました。そのひとつにアニメ視聴者層の増加があります。

 エヴァンゲリオンが社会現象になったのと同時期からアニメの製作本数は増加しますが、その放送枠として注目されたのが深夜の時間帯でした。本放送は夕方だったエヴァンゲリオンは深夜の再放送で改めて熱狂を生み出しました。

 そんな時間帯に放送される新作アニメは、これまた新たな熱狂を呼び視聴者層を開拓していったのです。今回はそんな「深夜アニメの急増」について振り返ります。

 1995年10月からテレビ東京系で放送された『新世紀エヴァンゲリオン』が巻き起こした社会現象は、このジャンルをよく知る人たちによって無数に語られています。一方、一般社会には、

・アニメがビジネスとしてもうかる
・グッズなどの周辺ビジネスももうかる

といったことを植え付けたのではないでしょうか。深夜アニメは、ビジネスに参入したいと考える多くの企業の要望に応えて放送枠が急増したのです。

 参入企業を後押ししたもうひとつの出来事が、個人視聴率調査の導入でした。ビデオリサーチ(千代田区三番町)が1997年、関東地方で「ピープルメータ」を使った視聴率調査を導入します。

 ピープルメータとは、世帯の誰がどの番組を見ているかを調査できるものです。これによって年齢や性別などの属性を含めたデータが明らかになり、テレビの深夜枠は「特定の層に刺さる」番組を放送する絶好のポジションになりました。

 中でも深夜に熱心な視聴者を獲得できると考えられたのが、アニメ番組でした。

衝撃的だった総合商社の参入

衝撃的だった総合商社の参入

 テレビ東京は1997年4月の番組改編で、深夜アニメを1枠から4枠へ拡大。中でも注目されたのは、三菱商事(千代田区丸の内)が広告代理店として買い切った水曜深夜1時45分からの『HAUNTEDじゃんくしょん』でした。なお同作品は、ブレーク前の仲間由紀恵が出演し、主題歌を歌っていたことでも知られています。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』劇場用ポスター(画像:錦織敦史、カラー、Project Eva.、EVA製作委員会)

 この三菱商事の参入に加えて、テレビ東京は毎日のように深夜アニメを放送するという、当時としては考えられない挑戦に打って出ました。その意気込みときたら、同社の岡哲男常務(当時)が「これまでの常識では考えられません」と答えているくらいですから、社運をかけたものだったのでしょう(『毎日新聞』1997年4月18日付朝刊)。

 個人視聴率調査の導入で、深夜枠が「準ゴールデン枠」とまで呼ばれるなか、深夜アニメの勢いは一層増していきます。

 この頃の新聞・雑誌の記事を見ると、「第二のエヴァ」という表現を何度も目にします。どの作品がそのような地位になれたのか、誰もなれなかったのかは別として、1997年10月の番組改編では次のとおり、さらに深夜アニメが増えました。

・『剣風伝奇ベルセルク』(日本テレビ、火曜日深夜1時45分)
・『行け!稲中卓球部』(TBS、月~木情報番組『ワンダフル』内で0時30分頃)
・『マーメノイド』(テレビ朝日、水曜日深夜1時10分)
・『吸血姫美夕』(テレビ東京、月曜日深夜1時15分)
・『エーアガイツ』(テレビ東京、水曜日深夜1時15分)
・『エルフを狩るモノたち2』(テレビ東京、水曜日深夜1時45分)
・『VIRUS』(テレビ東京、木曜日深夜1時15分)

当時のアニメファンは当然、お祭り騒ぎとなりました。

 1998年10月の番組改編期には史上初めて、一週間で放送するアニメの数が50本を突破します。こうした追い風のなか、深夜アニメは子どもの視聴を気にせず、お色気からバイオレンスまで、さまざまな実験的要素を含んだ作品を放送できる時間枠として認識されるようになります。

脱「アニメ = 子ども向け」の波到来

 こうしたジャンルの拡大により、「アニメ = 子ども向け」「アニメ = アニメファン向け」といった過去のイメージが払しょくされ、誰もが普遍的に楽しめるものという感覚が広まっていきました。

アニメを見る子どものイメージ(画像:写真AC)

 実際、この時期には「大人の観賞に堪えうる作品」も増加しています。

 1998年10月から、日本テレビでは浦沢直樹原作『MASTERキートン』の放送を開始。原作は考古学者にして、元SAS(英国特殊空挺部隊)の主人公が活躍する骨太の考古学サスペンスでしたが、アニメ化は「まさかの出来事」でした。

 当時、日本テレビの山下洋プロデューサーは「青年漫画から人気を得たものを探し、基本的に深夜なので高校生以上大人までが満足できる作品を選んだ」と語っています(『日刊スポーツ』1998年10月25日付)。

 2000年10月から日本テレビは『はじめの一歩』、テレビ朝日は『勝負師伝説 哲也』と硬派な作品が相次いでアニメ化され、「ゴールデンタイムのアニメでは味わえない独特の作風」として評価を得ました(『読売新聞』2000年11月7日付夕刊)。

 作品の増加で深夜枠の確保が次第に困難になると、新たな動きも始まりました。

 テレビ埼玉やTVK、千葉テレビなど「独立UHF局」でも深夜アニメを放送するようになったのです。独立UHF局はキー局に比べて放送費用が少ないものの、ケーブルテレビでも視聴されるため、広いエリアをカバーできると考えられたのです(『読売新聞』2003年3月11日付夕刊)。

 もうひとつ、独立UHF局はキー局に比べて表現の制約が少ないという利点もありました。その利点を生かして、キー局では放送できないようなお色気を表現して話題になる作品が増えたのも、当時の深夜アニメを語る上で欠かせない現象です。

ブーム過熱が生んだ「作画崩壊」

ブーム過熱が生んだ「作画崩壊」

 一方、作品数の増加による問題も次第に顕在化しました。例えば「作画崩壊」です。

 作画崩壊とは読んで字のごとく、絵の造形が崩れたり、未完成のような状態で放送されたりする現象です。原因は、スケジュールの行き詰まりや人材不足によるもの。クオリティーが不十分なまま放送される作品は、たびたび話題になりました。

 そのような事態を避けるために放送を休止したり、総集編で穴埋めしたりする事例も見られました。これには「アニメが雑に扱われている」との批判もありました。

 特に批判されたのは2003(平成15)年9月からフジテレビで放送された『R.O.D -THE TV-』。同作品は全26話の放送予定でしたが、20話で終わってしまったのです。まさにストーリーが佳境となったところでの打ち切りですから、納得しなかった人は多く、その波は『読売新聞』『朝日新聞』両紙が打ち切りを非難する記事を掲載したほどでした。

 打ち切りの理由ですが、『読売新聞』ではフジテレビ広報部の話として「当初は全話放送の予定だったが、スポーツ中継の延長や放送機器の保守点検などのため、放送時間が確保できなくなってしまった(2004年3月29日付夕刊)」、『朝日新聞』では同編成部の話として「放送は予定通り。次の番組が控えているので4月以降に延長は出来なかった」としています。どちらが真実なのかは判然としません。

 こうしてさまざまな問題にも直面しながら「第二のエヴァ」を目指す動きは着実に日本にアニメを拡大させていきました。

TVアニメ『鬼滅の刃』(画像:(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable、エクシング)

 そして2020(令和2)年、久しぶりの社会現象になった『鬼滅の刃』の登場で、日本のアニメは再び活性化の時期を迎えているように見えます。果たして、この盛り上がりからどんな作品が誕生していくのか気になるところです。

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