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ボンネットから先は「丸ごと別のクルマ」!? 本家を差し置きハイブリッド化のナゼ 新レイバック“超スピード開発”の裏側

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ユーザー要望から生まれた「レイバックS:HEV」

 スバルは2026年7月3日、クロスオーバーSUV「レヴォーグ レイバック」(以下、レイバック)にストロングハイブリッドシステムを搭載した新モデル「S:HEV」を追加しました。一見、単にパワートレインのバリエーションが増えただけのようにも捉えられますが、実は本モデルはユーザーからのさまざまな要望に応えるため、多くの部分が専用設計となっています。どのようなプロセスで開発されたのか、クローズドコースでの試乗インプレッションとともに解説していきます。

Large figure1 gallery2スバル「レヴォーグ レイバックS:HEV」(西川昇吾撮影)

 2023年に登場したレイバックは、ステーションワゴン「レヴォーグ」の派生モデルです。ベース車よりSUV志向の強いモデルであり、全高はレヴォーグ比でプラス70mmの1570mm、最低地上高は200mmを確保。その一方、パワーユニットはレヴォーグと共通の排気量1.8L、直噴ターボの水平対向エンジンのみでした。

 そうした事情もあってか、スバルにはレイバックの発売以降、主に都市部のユーザーから「こうだったら嬉しいのに……」という、さまざまな要望が寄せられたといいます。

 なかでも熱望されたのが、新世代パワートレインであるS:HEVの搭載です。S:HEVはスバル独自のAWD(4輪駆動)システムと、トヨタのハイブリッド技術「THS」を掛け合わせた機構で、2024年末に「クロストレック」へ初搭載されました。2025年にはフルモデルチェンジに伴い「フォレスター」にも導入されていますが、「都会派なレイバックにこそ、燃費性能や静粛性に優れるS:HEVを」という声が大きかったそうです。

 また、ほかにも「ボンネットのターボダクトをなくしてほしい」「全高を(一般的な機械式立体駐車場にも入庫できる)1550mm以下にしてほしい」など、デザインや実用面でのフィードバックもあったとのこと。そこでスバルは、これらのユーザーボイスに応えるモデルとして、レイバックS:HEVを開発しました。

 本モデルを迅速に市場投入するため、スバルはレイバックの車両設計に大胆な改変を加えました。なんと車両フロント周りの基本骨格を、クロストレックS:HEVのものへと丸ごと変更したのです。これにより開発期間が大幅に短縮できただけでなく、フロント周りはクロストレックと共通のヘッドライトを持つ、より都会的な雰囲気の専用デザインに。

 また排気量2.5Lの自然吸気(つまりターボなし)エンジンを採用したため、ボンネットからはターボダクトもなくなり、車高も20mmダウン(レヴォーグよりは50mm高い)の1550mmとなりました。

 こうしてレイバックS:HEVは、通常モデル発売から約2年7か月、クロストレックS:HEVの発売から約1年半というスピード感でデビューすることができたのです。

さらに快適で運転が楽しい1台に!

 そんなレイバックS:HEVの仕上がりを、試乗を通じて検証していきます。今回は勾配が急なクローズドのワインディングコースが舞台。残念ながら実際の燃費データは計測できませんでしたが、通常のレイバックと比べて、S:HEVは「よりコンフォート性が高く、余裕のある乗り味」だと感じました。

Large figure2 gallery3スバル「レヴォーグ レイバックS:HEV」(西川昇吾撮影)

 エンジンこそ排気量1.8Lのターボと、2.5Lの自然吸気という差がありますが、実は動力性能自体には大きな違いはありません。ただ、S:HEVは加速時のパワーに余裕があり、楽に乗れる印象です。モーター主体で加速するため、当然ながらトルクが豊かであり、車速の伸びに対して相当に静かなクルマでした。

 また、全高が通常のレイバックより低く抑えられたのに合わせて、サスペンションもセッティング変更されています。乗り心地は今までよりも「しっとり感」が強められており、静粛性の高さも加味すれば、S:HEVのほうがコンフォート性能でより優れているのは明らかでしょう。

 そして、自らハンドルを握ったときの運転フィールもS:HEVのほうが好印象でした。そう感じた要因は主にふたつ。まず、今回のモデルからパドルシフトのチューニングが変わり、シフトダウン時の減速の度合いが強くなりました。これにより、パドル変速でエンジンブレーキを掛けるような減速がしやすくなりました。

 また、パワーステアリングのシステムも通常のレイバックとは異なる供給元の機構を採用したそう。操舵感覚が従来モデルより自然な印象になったと感じました。結果、車両とドライバーとの情報のやり取りがさらに密なものになり、これまで以上にクルマとの対話が楽しめる1台へ進化した感触がありました。

 既存のコンポーネンツを上手く活用した、スピード感のある開発によって誕生したレイバックS:HEV。短期間でまとめられたモデルながら、その仕上がりのレベルは高いと実感できました。また本モデルの登場によって、レイバックシリーズそのものが一段階先へ進化したようにも感じます。近年のスバルの強さがよく表れた1台だといえるでしょう。

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