「九州最古の駅舎」間もなく見納めか?→実際に見てきたところ「えっ綺麗…」驚異の駅の経緯とは
- 乗りものニュース |

石炭輸送で栄えた時代の生き証人
福岡県に、九州で最も古いといわれる駅舎を持つ駅があります。1895(明治28)年の開業以来、1世紀以上にわたって使われ続けている平成筑豊鉄道の「油須原」駅です。しかし、その長い歴史も終わりを迎えようとしています。現地を訪れ、その姿を見てきました。
油須原駅(鈴木伊玖馬撮影)
かつて、福岡県は石炭業で大きく栄えました。中でも筑豊炭田は代表的な存在で、北九州市や飯塚市、田川市などを拠点に産出された石炭は、明治における日本のエネルギーを支えていました。そして、この石炭を運ぶ役割を担ったのが、開業したばかりの鉄道です。
当時は各炭鉱から専用の鉄道線が敷かれ、多くの石炭輸送列車が行き交っていました。その後、エネルギー革命により炭鉱は閉山し、これらの路線は統合されて1989(平成元)年に平成筑豊鉄道となりました。
そんな石炭輸送の時代から、変わらず営業を続けているのが油須原駅です。そして驚くべきことに、駅舎は開業当時の建物が建て直されることなく、現在まで使われているのです。
筆者(鈴木伊玖馬:乗りもの好きライター)が油須原駅を訪れてまず驚いたのは、その建物の大きさでした。古い木造建築でありながら、普通の一軒家ほどの大きさがあり、地方ローカル線の駅舎としてはかなり大きいと感じます。
駅舎は建て直されていませんが、2022年に木製の建具やレトロ調の灯具を使った復元改装が行われたため、状態はとても綺麗です。壁にツタが絡まっていたり、ペンキが剥がれたりしている箇所もなく、内装もよく清掃されていました。
待合室の近くには、かつての駅員室も残っています。4畳ほどの広さがあり、複数の駅員が働いていたであろうことが想像できました。
衝突防いだ「歴史的装置」も現存
駅舎の随所には、その長い歴史を感じさせる部分も残っています。待合室には右から左へ「傳言板」と書かれた、年季を感じられる伝言板が設置され、ホームへの出入り口にはレトロな鉄製のラッチ(改札口)があり、駅の歴史を物語っています。
中でも見どころなのが、駅員室の隣にある展示スペースです。ここには、単線の区間で列車の衝突を防ぐための「タブレット閉塞機」が置かれています。これは、同じ線路に2本の列車が同時に進入しないようにするための機械で、かなり年季が入っています。実際に長期間使われていたようで、その役目を終えたのは1991(平成3)年のことでした。
明治から令和まで、5つの元号にわたって営業を続けてきた油須原駅。しかし、その長い歴史に終止符が打たれようとしています。
平成筑豊鉄道は、2028年度末に鉄道事業の運行を終了し、バス路線へ転換する予定を発表しています。計画通りに進めば、130年以上にわたって存続してきた油須原駅も、とうとう終わりを迎えることになります。レトロな駅の空気を感じたい人は、今のうちに訪れてみてはいかがでしょうか。
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