自衛隊にドローンが襲ってきたら「小銃で撃ち落としますから!」と未だに言われる……「今すぐ作れる防空システム」北欧サーブの提案とは
- 乗りものニュース |

日本も例外じゃない! どうするドローン対処
ウクライナ戦争が始まって以降、各国では急速に進化する小型無人機(ドローン)の脅威への対処を迫られています。島国である日本もその例外ではなく、有事の際には上陸してきた敵との地上戦や、重要インフラに対する襲撃で、ドローンを用いた攻撃が行われる可能性が指摘されています。こうしたドローンの脅威に対処するための「C-UAS(無人航空機対処)能力」の獲得を、自衛隊は急ピッチで進めています。
陸上自衛隊の03式中距離地対空誘導弾(改善型)(画像:陸上自衛隊)。
たとえば、陸上自衛隊では普通科部隊などが装備する20式小銃に射撃管制装置である「SMASH(スマッシュ)」を装備しはじめたほか、装甲車にアメリカのエコダイン社製C-UASレーダー「エコシールド」と30mm機関砲を搭載した試験車両「遊弋(ゆうよく)型UAV対処器材」を試作しました。
また、海上自衛隊では基地防衛などを念頭にドローンを撃ち落とすための迎撃ドローンとして、テラドローン製のTerraB1を取得することとしています。航空自衛隊でも、日本周辺の空域を常時監視するレーダーサイトを敵のドローン攻撃から防衛するため、迎撃ドローンの一種であるレーダーサイト防衛用UAVを導入する予定です。
しかし、こうした備えに加えて、迫りくるドローンを迎撃するためにさらなる多層的な防衛手段を講じる必要があることもわかっています。しかしながら、「特に部隊の方々とお話をしている中で一つ明確に思うのは、部隊レベルで今、即実用可能なC-UASの手段がないということです」――
こう話すのは、スウェーデンの防衛大手サーブの日本法人サーブテクノロジーズジャパンのカントリーマネージャー兼代表取締役である宇梶 慧氏です。同社が自衛隊のニーズを汲みながら提案するC-UAS能力について話を聞きました。
宇梶氏によると、サーブ社の対ドローンシステムは「小型で低速で低空を飛ぶような脅威にどう対処していくか」が本質であるとして、北大西洋条約機構(NATO)による無人機の分類のうち、クラスI(機体重量150kg未満)およびクラスII(機体重量150kg以上600kg未満)にあたる無人機への対処を念頭に置いているといいます。日本においても、特に陸上自衛隊ではそうしたC-UASのニーズが高まっているとのこと。
しかし、なぜ彼らが自分たちのニーズを分かっていても最適な手段を獲得し得ないのかといえば、「装備品の取得が常に中央が定める大きな装備体系に紐づいてしまっているということが一つの足かせになっていると思っています」と宇梶氏は指摘します。
「特に陸上自衛隊を念頭に我々が思っているのは、ドローンの脅威が迫りくる中で、C-UAS能力についてはその導入を優先して、今まさに各現場が独立して運用できる機動的な個別のシステムを取得してもいいのではないか、ということです」(宇梶氏)
「ドローン来たら小銃で撃ち落とします」でいいの?
宇梶氏によると、サーブ社が最も重要な課題と考えているのは、防空の中核となる装備、特に長距離・中距離防空を担う地対空ミサイルシステムを、増大するドローンの脅威からいかに防護するか、という点だといいます。
サーブテクノロジーズジャパンのカントリーマネージャー兼代表取締役である宇梶慧氏(稲葉義泰撮影)。
「弊社の対ドローンシステムは可搬型で、もちろん普通科部隊や駐屯地の防衛も含むものですが、もう少し幅広い形で防空能力を提供する中核の部隊、例えば高射特科部隊は誰が守ってくれるのでしょうか。03式中距離地対空誘導弾や11式短距離地対空誘導弾など、主力の防空システムがあって初めてミサイルや航空機に対処できるわけですから、当然そうした防空システムを狙ってドローンが飛来します。
しかし、部隊に行くと『ドローンが来たら小銃で落とします』というような話をされるのです。当然、普通科をはじめ前線の部隊や駐屯地を守らなくてはいけないけれども、そもそも防空システムの要になっている部隊ですら、自らを小型ドローンから守ることができてないというのは、考え方として改善の必要があるのではないでしょうか。足元を固めるといいますか、統一感を持ってちゃんと現実的なC-UAS能力を急いで配備しないといけないのではないか、という危機感があります」
そこで気になるのは、果たしてサーブ社はC-UAS能力を自衛隊に対して迅速に提供できるのか、という点です。その答えとなるのが、同社が開発した対ドローンシステム「Loke(ロキ)」です。
北欧神話に登場する神の一人「ロキ」に由来する名称のこのシステムは、サーブ製のコンパクトな多用途の地上配備型レーダーであるGiraffe 1Xと、30mm機関砲を搭載した射撃用のリモート・ウェポン・ステーション(RWS)を、指揮統制システムで連接したものです。
注目は、サーブ社がスウェーデン国防物資管理局(FMV)による発注からわずか84日間でこのロキを開発したということです。宇梶氏によると、これにはサーブ社のモノづくりに関する考え方が大いに関係しているといいます。
「ロキは、基本的には弊社製の小型レーダーで360度の覆域を持つGiraffe 1Xと、同じく弊社製のRWSであるTrackfireに搭載している機関銃を重機関銃から30mmの機関砲にアップグレードして、そこにドローンを見つけて撃つようなソフトウェアを入れたというシステムです。このGiraffe 1Xも、それからTrackfireも、すでにこれまで運用されてきたものです。それを全部ガチャっと持ってきて、それぞれが別の用途で使われていたものを、ロキという形に再編成したのです。
じつは、弊社におけるモノづくりは、こういった段階的で迅速なアップデートを可能にするようにできています。サーブのシステムは、ある時々の変化に応じて必要なものを足したり引いたりしながら、有機的にシステム構成を変えることができる、ブロック玩具のようなオープンアーキテクチャが特徴です。たとえば、Giraffe 1Xはもともと対ドローン用レーダーではありませんでしたが、小型かつ低速で飛翔するドローンを探知するためにELSSというドローン追跡モードを付加しました。
そのため、現在では例えば鳥とドローンをかなりの高確率で見分けることができるほか、優先的にそこにキューイングをするような指揮統制システムも統合されています。こうしたことがあったために84日で実装できたということになります」
「それもう日本で出来ちゃいます」のワケ
さらに、このロキを基盤として、サーブ社はスウェーデン軍の新たなC-UAS能力構築を支えています。それが「Gute II(グーテII)」と呼ばれるプログラムです。グーテIIは、前述のロキに加え、BAEシステムズ・ボフォース社製の40mm対空機関砲を搭載したトラック、さらにこれらを統べる指揮統制システムから構成されます。
サーブ社が84日間で開発したC-UASシステム「ロキ」(画像:サーブ)。
じつはこのグーテIIに関して、日本にはすでにその構成要素となる装備が個別に存在していると宇梶氏は言います。
「たとえば30mm機関砲に関しては、陸上自衛隊のAH-64Dに搭載されているM230であればすでに日本製鋼所でライセンス生産されていますし、弾薬も日本工機で製造されています。40mm機関砲も海上保安庁の大型巡視船に装備されていて、こちらは住友重機械が製作し、弾薬もダイキンが製造しています。さらに、これらを搭載するトラックも、19式装輪自走155mm榴弾砲に用いられているMAN社のものを活用すれば良いでしょう。
そうすると、トラックの上に40mm機関砲を載せて、陸上自衛隊の装輪装甲車であるパトリアAMV用のRWSに30mm機関砲を付けて、そこにドローン探知と指揮統制を行うGiraffe 1Xを置けば、もう瞬間的にグーテ2は日本でも実現できてしまうのです」
もちろん、より効果的な防空体制の確立には自衛隊が使用している既存の指揮統制システムとの連接も必要です。宇梶氏は、たとえば陸上自衛隊の対空戦闘指揮統制システム(ADCCS)などへの連接は可能としながらも、それは「弊社の能力に加え、受け手となる日本側のシステム構成や、情報開示のレベルによる」ところがあり、実際には防衛省側のニーズと技術的な評価次第になるとの見方を示しました。
このように、サーブ社は日本に対して自社の「製品」を売り込むばかりではなく、既存の装備を別の目的のために活用するという「アイデア」を提案しているところが、非常に興味深いところです。しかし、こうしたアイデアを実装するためには、調達制度のあり方を含め、自衛隊における装備品導入の考え方そのものを大きく変化させる必要があるでしょう。とくに、現場のニーズがあり、かつすぐにでも導入可能なシステムを迅速に試験し、配備するという調達制度が、日々進化するドローンの脅威に対処するC-UAS能力の獲得には必要なのではないでしょうか。
実は損している?
ニュースを読んでポイントが貯まるサービスがあるのを知っていますか?ポイントサイトのECナビでは好きなニュースを読んでポイントを貯めることができるのです。(※ECナビはPeXの姉妹サイトです。)今日読んだニュースが実はお小遣いになるとしたら、ちょっと嬉しいですよね。
ポイントの貯め方はニュースを読む以外にも、アンケート回答や日々のネットショッピングなど多数あるので、好きな貯め方でOK!無料で登録できてすぐに利用できます。貯まったポイントはPeXを通じて現金やAmazonギフトカードなどに交換できます。
運営実績も15年以上!700万人以上の方がポイントを貯めています。毎日好きなニュースを読んでお小遣いを貯めてみませんか?
簡単無料登録はこちらYOUの気持ち聞かせてよ!
| いいね | ![]() |
|
|---|---|---|
| ムカムカ | ![]() |
|
| 悲しい | ![]() |
|
| ふ〜ん | ![]() |







