どうせ読むならポイント貯めない?

スターリンに嫌われた「スホーイ」…なぜ? 実は1度潰れていた東側戦闘機メーカーの雄

5,325 YOU
  • 乗りものニュース
  • |

ロシアの航空機メーカーとして、旧ソ連時代からその名をとどろかせる「スホーイ」ですが、実は1度、歴史からその名を消しています。そしてそれは、いまなお同社内で尾を引くある問題の原因になりました。

老舗航空機メーカー スホーイの「冷遇時代」とは?

 旧ソ連から続く、ロシアの戦闘機開発メーカーとして知られるスホーイ社。大型双発戦闘機Su-27「フランカー」シリーズで世界の戦闘機市場を席捲し、さらにステルス戦闘機の開発でアメリカに次ぐ地位にあるなど、いまや「スホーイ」ブランドはロシア最大の輸出品のひとつとなっています。

 正式名「株式会社(JSC)スホーイカンパニー」は旧ソ連時代、第51実験設計局(OKB-51)、通称スホーイ設計局という名の国家機関でした。

Large 200807 su 01スホーイ最初の成功作Su-2攻撃機。主力攻撃機イリューシンIl-2が揃うまでの時間稼ぎ的機体ではあったが、大戦初期の劣勢なソ連には貴重な攻撃機だった(関 賢太郎撮影)。

 実は旧ソ連には、もうひとつ「スホーイ設計局」と名乗った戦闘機開発組織があります。2020年現在、存続しているスホーイはふたつ目のスホーイ設計局です。

 最初のスホーイと第2のスホーイ、どちらもそのリーダーは航空技師パベル・オシポヴィッチ・スホーイであり、まったくの同一人物です。なぜ同じ人物が同じ名前の、違う航空機メーカーを率いることになったのでしょう。それは、第1のスホーイ設計局は一度、完全に「潰れた」ためでした。

 航空技師スホーイは、1939(昭和14)年の第2次世界大戦勃発直前にその能力を認められ、初めて設計局長に任命されました。「ハリコフ第135工場設計局」、それが彼にとっての最初の「スホーイ設計局」でした。第2次世界大戦中はドイツ軍襲来を避けるためモスクワへ疎開、第289工場設計局へ改名され、終戦後はさらに第134工場設計局となります。

 そして1949(昭和24)年。第1のスホーイ設計局である第134工場設計局を悲劇が襲います。当時、開発中であった新しいジェット戦闘機Su-15が墜落事故を起こしたことを理由に、設計局ごと閉鎖が命令されたのです。残念ながら戦闘機開発において事故はつきものです。それを理由に閉鎖されるのはあまりに理不尽でした。

スターリンの逆鱗に触れた? スホーイが1度閉鎖された経緯

 あまり有名ではありませんが、スホーイが最初に開発したSu-2は約1000機を量産するなど、一応の成功作もありました。もっとも競合機はけた違いの3万6000機を生産したイリューシンIl-2ではありましたが。ほかの設計局も、最初のジェット戦闘機は特にひどく、ミグMiG-9は機銃を撃つとエンジンが止まるため射撃禁止、ヤコブレフYak-15はエンジンを回すと機体が焼けるため2度も完全な再設計を必要とするなど、どちらも飛びはしたものの、まともに運用不可能な欠陥機でした。

Large 200807 su 02最初のスホーイが開発したSu-9はドイツ製ジェットエンジンをコピーした。ドイツのMe262と酷似していることがスターリンに嫌われたという(画像:スホーイ)。

 このスホーイ設計局閉鎖の決定には、スホーイがドイツのMe262ジェット機にそっくりなSu-9を開発し、独裁者スターリンに嫌われたため、とも噂されます。またヤコブレフのリーダーであるアレクサンドル・ヤコブレフは、スホーイより11歳も若くスターリンのお気に入りであり、ミグのリーダーのひとりアルチョム・ミコヤンは実兄が閣僚とあって、政治的な予算削減のしわ寄せが必然的にスホーイへ回ってきたともされます。

 ともあれ1949年に第1のスホーイ設計局である第134工場設計局は閉鎖され、スホーイはツポレフ設計局の副主任へと事実上、降格させられます。しかしスホーイはツポレフにおいて自身の仕事をこなしつつ、裏で戦闘機の技術研究を続けました。

 スホーイの野心は1953(昭和28)年3月5日、意外にも早く結実します。スターリンが死去したのです。スターリンの死に対してスホーイがどう感じたのかは分かりませんが、事実としてはスターリン死後わずか2か月で、彼は第1実験設計局(OKB-1)の主任へ返り咲きました。

復活のスホーイ そして「戦闘機の王」へ

 スホーイは、かつて第134工場設計局に在籍していた技術者たちをすぐに呼び寄せます。そして1954(昭和29)年1月、彼はついに新生スホーイ設計局である第51実験設計局(OKB-51)の名を正式に獲得しました。

 この事実はスホーイ社さえ「運命的な布告」「戦闘機の王の栄光」と呼んでおり、彼らはすぐにミグに次ぐ地位を得ました。スホーイの凋落にはひとりの独裁者の存在があったことはほぼ間違いなく、もし歴史が少し違ったら、現在の「戦闘機の王」を自称するスホーイは存在しなかったかもしれません。

Large 200807 su 03マッハ2級迎撃戦闘機Su-9。MiG-21と同等機だが搭載電子機器で勝った。スホーイ社では同名の違う機体と混同しWW2中に開発開始したことになっている(関 賢太郎撮影)。

 雌伏の時を経て見事、復活したスホーイですが、あえて苦言を呈すなら、機体のSuナンバーをまた1から振りなおすことだけはやめておくべきだったということです。心機一転したかったのかもしれませんが、後に開発されたSu-7、Su-9、Su-11、Su-15、Su-17といった冷戦時代のスホーイ成功作の名は全てすでに使われており、スホーイ設計局は自身だけではなく「同じ名前の別の機体」まで大量に生み出してしまいました。

 2020年現在、スホーイ社公式サイトの過去の開発機体紹介ページでさえ、最初のスホーイが命名した機体と、現スホーイが命名した機体とを混同しており、「第2次世界大戦中に(本来は冷戦中)マッハ2級のSu-9を開発し、冷戦中に(本来は第2次世界大戦中に)Me262そっくりな亜音速のSu-9を開発していた」という、「どうしてこうなった」と頭を抱えたくなるような状況になってしまっています。

実は損している?

ニュースを読んでポイントが貯まるサービスがあるのを知っていますか?ポイントサイトのECナビでは好きなニュースを読んでポイントを貯めることができるのです。(※ECナビはPeXの姉妹サイトです。)今日読んだニュースが実はお小遣いになるとしたら、ちょっと嬉しいですよね。

ポイントの貯め方はニュースを読む以外にも、アンケート回答や日々のネットショッピングなど多数あるので、好きな貯め方でOK!無料で登録できてすぐに利用できます。貯まったポイントはPeXを通じて現金やAmazonギフトカードなどに交換できます。

運営実績も15年以上!700万人以上の方がポイントを貯めています。毎日好きなニュースを読んでお小遣いを貯めてみませんか?

YOUの気持ち聞かせてよ!

いいね いいね
ムカムカ ムカムカ
悲しい 悲しい
ふ〜ん ふ〜ん
NEWS一覧へ
PeXポイントで賞品を当てよう!

ポイント ポイント獲得の流れ

ポイント獲得の流れ

ポイント ルール・注意事項

ポイント獲得!!