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「産まない選択」はわがままですか? 結婚・出産の価値観に苦しむ女性の葛藤

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  • マイナビウーマン
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今、日本の合計特殊出生率は過去最低を更新し続けています。深刻な少子化が進行する中、国や自治体が子育てのための制度を打ち出しても、なかなか出生率が上がらない背景には、金銭的に余裕がないこと以外にも、子育てに積極的になれない若者なりの理由があるのでは……なんて論争も、お昼のワイドショーなどでよく見かけます。

では、実際に「産まない選択」をしようとしている女性は、何を考え、どんな将来を思い描いているのでしょうか。

■「生まれた家庭が好きではなかった」から、結婚にも否定的だった

今回お話を聞いたのは、甲信越地方出身で、現在都内企業で事務職として働くはるさん(仮名・31歳)。とある理由から、彼女はそもそも「結婚に憧れを持てないまま大人になった」のだと言います。

「父が医者の家庭に生まれて、金銭的には恵まれていたのだと思うのですが、物心ついた頃から両親の仲は良くなかったと思います。父と母が二人で何か喋っているのはあまり見たことがなく、幼い私の目には父はあまり私に興味を持っていないようにも見えました。母と一緒にいる時間が長かったのですが、母は私に厳しく、勉強に習い事、マナーまで、まるで管理するかのように接しました。母と父の関係は私にとって理想的な夫婦像ではなかったし、私の存在が呪いになって、一緒にいるしかないようにも思えました」

家庭が複雑だったからこそ、青春時代から結婚に憧れを持てなかったというはるさん。まずは息苦しい実家から出ることを目標に勉学に励み、大学からは東京に上京することができたのだそう。

「母からは地元を出ることをあまり応援されませんでしたが、東京で一人暮らしを始めた時にはうれしかったです。しかし、地元でも友人が少なかった私は大学でもスタートダッシュに失敗し、サークルに入ることもなくひたすらバイトする日々。学生時代は恋愛する時間もなく、初めての恋人ができたのは24歳の時でした」

交際経験は2人、いずれもマッチングアプリが出会いのきっかけ。初めての彼氏は「家族観の違い」が理由で、破局してしまいます。

「初めての彼氏は家族が大好きと話していて、自分とは全く違う家庭環境も含めて、明るい人柄に惹かれました。ですが育ちが違うがゆえに、私のネガティブな価値観を理解してもらえず、私が家族と折り合いが悪いことについても、偏見の目で見られていると感じるようになり、1年で破局してしまいました」

そもそも、世間的な「家族のことは好きで当たり前」という価値観そのものにも、モヤモヤしたり傷ついたりすることもあるのだそう。「家族が好きじゃない自分は、まるで悪い子と言われているみたいで」と、悲しそうに話していました。

■婚活で知り合った彼に「子どもがいなくていいと断言できない」と言われて

そこから数年間は「自分には結婚どころか、恋愛すら向いていない」と諦めていたのだそう。しかし30歳を目前に、再びマッチングアプリに登録します。

「自分が人の子であることを思い知ったといいますか、やはり30代が迫ると同時に、一生を1人で過ごすことを寂しく感じるようになりました。そこで、今度は婚活色の強いマッチングアプリに登録し、生活や結婚の価値観が合う人を真剣に探すことにしました」

そこで出会った現在の彼氏とは、現在2年ほど交際を続けているそう。居心地のいい恋人と過ごすようになり、はるさん自身も結婚を意識するようになります。

「8歳年上の彼は物事に偏見を持たない人で、私と家族の関係や、結婚や出産に対して不安に思っていることも柔軟に受け入れてくれました。しかし交際期間が長くなるにつれ、お互いに結婚を意識するようになっていきました。私自身は、結婚によって家族と今より深く関わることは望んでいませんが、苗字が変わることで、今の家族から離れられる気がすることにも魅力を感じていました」

しかしここで、2人の間にとある問題が発覚します。「子どもを持ちたいかどうか」で、2人の意見が食い違ってしまったのです。

「半年ほど前から、彼は“今すぐに欲しいとは思わないけれど、いなくてもいいと断言する自信もない”と言うようになりました。私はといえば、1人でいるのは嫌で、結婚したいという気持ちはあっても、不仲の両親を見てきた以上、子どもを持つことによってより不幸になってしまう人がいることを実感しています。だからこそ、自分がそうなってしまったら嫌だし、母のように自分の鬱屈を子どもにぶつける毒親になるのだけは嫌だ、という思いもありました」

結局、子どもの話は平行線を辿ってしまい、結婚の話が出てもう半年、2人は今の関係を維持したまま、どうするべきか決められずにいます。

■「自分はまだ子どもが持てるから」と意見を変える男性にモヤモヤ……

また、はるさんは「子どもがいなくてもいいと断言する自信がない」という彼に、とあるモヤモヤを抱えているのだそう。

「彼はアラフォーなので、女性であればすでに“産むか産まないか”を決心し終えているであろう年齢です。私と付き合い始めた時は子どもはいなくてもいいと言っていたのに、今になって決心がつかないなんて言い出すのは、自分がお腹を痛めて産まないから、そして無意識に、年下の女性とさえ一緒になればいつでも子どもは持てると思っているのだろうと思うと、その無責任さに腹が立ちます

子どもを持つかどうかは結婚すれば夫婦で決めるべきことですが、それでも、健康やキャリアのリスクを抱えて出産するのは女性。はるさんは彼氏に対して「子どもを産むことを簡単に考えすぎている」と感じているのだそうです。

「私の周囲にも、産む選択をした子もいれば、私と同じように産まない選択をしたいと言っている子もいます。特に私たちは婚活で出会って、私の考えも最初に伝えた上で一緒に暮らし始めたのに、そんな根本的な価値観を急にひっくり返すのはずるいし、浅はかだと感じてしまいます」

かといって、価値観が合わないなら別れればいい、と簡単に片付けることもできず、はるさんはここ半年、苦しみ続けているのだそう。

「本当は彼は、私のような女ではなく、もっとまっすぐに子どもを持とうと思える子と一緒になった方が幸せになれるのではないかとも思います。だけど、別れてあげる自信もない自分が嫌いです。子どもの話ですれ違う前まで、私たちは考え方も、理想の過ごし方も似ていて、夫婦としてはとてもフィットしていると思うんです。でも、子どもがいたら分からない。どんな子が生まれてくるか分からないし、今よりも時間や体力的な余裕がなくなることも確かです。そうなれば私は、母のように子どもに冷たく当たってしまうのかもしれない。2人のベストな関係を壊したくない、毒親にもなりたくない。だから産みたくない、だけど……彼と別れるのも嫌。私が悪いのでしょうか」

子どもという不確実な存在によって、2人の関係や自身の生活の変化が見えないことに、強い不安を感じているはるさん。現在は経済的にも不便していないものの、インフレの影響が今後さらに強く出てくるかもしれないことなども憂慮しているそう。

「彼のために産もうという決心は、どうしてもつきません。今のところは彼も強く言わないけれど、本気で子どもが欲しいと思うなら、私には無理だと思います。彼は経済的にも自立していますし、いい人が見つかれば家庭は持てるでしょうから。振られる前に自分から振った方が、ダメージって少ないんですかね」

あなたは、はるさんの「産まない選択」、どう思いましたか?

(取材・文 久留米あぽろ)

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