エアバス=「空飛ぶバス」なぜメーカー名に 50年前の大逆転劇の第一歩 始まりは“コンコルドの失敗”?
- 乗りものニュース |

ヨーロッパの航空機メーカー、エアバス社は、なぜ米ボーイング社とシェアを二分するまでに、大きく成長したのでしょうか。同社初の旅客機A300が初飛行して半世紀、この機が生み出された背景には、エアバスの社運を駆けた賭けがありました。
半世紀前に生まれたエアバス社初の旅客機「A300」
ヨーロッパの航空機メーカー、エアバス社が最初に手掛けたA300が1972年10月28日初飛行に成功。それから50年がすぎ、いまや同社はアメリカのボーイング社と肩を並べるほどの、言わずと知れた巨大メーカーに成長しました。なぜここまで大きく成長することができたのでしょうか。
「エアバス(Airbus)」が正式な社名になったのは、2001年に株式会社化されてからで、その前は「エアバス・インダストリー」という名称が、1970年の創立以来、長らく正式な社名として使われていました。創立当時は、民間旅客機を開発・製造・販売する国営企業だったものの、その後世界有数のヘリコプター・メーカーである「ユーロコプター」社を傘下に納めるなど、すそ野を広げ、今ではヨーロッパを代表する航空機産業企業となっています。
エアバスA300(画像:エアバス)。
ただ社名の「エアバス」は、ライバル企業だったボーイング社やダグラス(現ボーイング)社、ロッキード社などが創業者の人名に由来するのとは異なります。「エアバス」はもともと、「“空飛ぶバス”のような一定以上の大きさを持つ旅客機」を意味しており、他メーカーもこの言葉を使用していました。エアバス社でこれに相当するのが、まさにA300でした。
なぜエアバスは国家間をまたぐプロジェットとなったのか
草創期のジェット旅客機は、おもに長距離国際線を担当していました。その後1960年代には、それにつぐ次世代機として、近距離向けのジェット旅客機が次々に生み出されます。代表的なものは、アメリカのボーイング727、737やダグラスDC-9など。こうした旅客機はヨーロッパでも開発され、イギリスのホーカー・シドレー「トライデント」、フランスの「シュド・カラベル」、そしてダッソーの「メルキュール」などが開発されました。ただ、これらはアメリカのモデルほどのメガヒットは記録しませんでした。
その後、世界では機体の大型化がトレンドになり、これがいわゆる「エアバス」と呼ばれるカテゴリのモデルになります。「ジャンボ・ジェット」と呼ばれたボーイング747を筆頭に、DC-10、ロッキードL-1011「トライスター」などが該当します。しかし、これらの旅客機はアメリカ製ばかりで、ヨーロッパ単独の国に属するメーカーでは、開発能力の大きな要素を占める資金が足りませんでした。振り返れば、ECというヨーロッパ共同体が成立したのもこの頃です。
英仏共同開発「コンコルド」(松 稔生撮影)。
一方ほぼ同時期には、超音速旅客機の開発もトレンドに。イギリスとフランスは協力して、アメリカに対抗し「コンコルド」を開発しました。ヨーロッパ各国の国力の関係から、一社、一国ではジェット旅客機を開発する力がなかったことから、2国共同となりましたが、結局超音速旅客機の時代がやってくることはなく、商品としては失敗に終わりました。
ただ、こうした背景から、「コンコルド」のように国家間の共同開発で新たなジェット旅客機を生み出す道が見出されました。そこから、国家間がタッグを組んだ旅客機メーカー、エアバス・インダストリー社の発展へとつながります。
エアバス・インダストリー社は、最初の作品であり、かつ欧州製初の「エアバス」系旅客機であるA300の開発に社運をかけていました。これには筆者(種山雅夫、元航空科学博物館展示部長 学芸員)の推察も含まれるのですが、世界初の双発複通路旅客機として生み出されたA300は、先述したフランスのダッソー社の「メルキュール」の大型版といえるようなモデルだったように思われます。
A300をどう売った? その後エアバスは欧州の巨人に
しかし「メルキュール」は、ライバルの737シリーズに販売で大きな差をつけられ、製造はわずか12機でとどまっています。A300の開発は、この「メルキュール」の借りを、新型機で“倍返し”するためヨーロッパの航空機メーカーの技術を結集したのではないかとも考えられるのです。
A300を開発することに社運をかけたエアバス・インダストリー社。もちろん諸説あるものの、こういった経緯を見ると、何となく会社名にインダストリー(産業)をつけた訳が分かるような気がします。
エアバス・インダストリー社は、とくに米国・そして日本を含む東アジア地域において、まさに粉骨砕身の覚悟で、A300の販売に挑みます。たとえばTDA(東亜国内航空。のちにJASとなり、現JALの一部に)へは支払い条件などの価格面で大幅に譲渡をしたほか、機材維持のために手厚いサポートをするなど、相当有利な条件を提示したともされています。また、アメリカのエアラインはヨーロッパ製の機体に関心が無かったことから、イースタン航空からの無償貸し出しに応じるなどの斬新なセールス方法を展開していたそうです。
そのような努力もあり、エアバスはA300を約550機売り上げ、経営が安定したことで、新型機を次々と生み出していきます。
エアバス社の大ヒット機「A320」(乗りものニュース編集部撮影)。
エアバス・インダストリー社はその後、電気制御で動翼を動かす「フライ・バイ・ワイヤ」技術を搭載するなど革新的な技術を用いた「A320」を開発し、1988年にデビュー。この機は世界一の売上を誇るメガヒット作となり、エアバス社の名前を世界に大きく知らしめました。このベストセラー機が生まれたことにより、737への“倍返し”にも成功し、エアバス・インダストリー社は旅客機メーカーの2大勢力の一角を占めるまでに規模を大きくすることができたのです。
その後、A330(約1500機)やA340(約400機)、A380(約250機)などを開発。様々なエアラインの用途に対応できる機種構成を展開しており、2003年以降、ボーイング社のジェット旅客機の受注機数で凌駕して、世界一位を記録し続けています。
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