“2024年問題”実は「ドライバーの待遇が良くないから」だけじゃない! 企業だけじゃ解決できない切実な事情とは
- 乗りものニュース |

トラックドライバーの人手不足は「2024年問題」とも呼ばれ、ここ数年ニュースに取り上げられることが多くなりましたが、実際のところはどうなのでしょうか。
ドライバー減る様々な理由とは?
自動車に関する問題は様々ありますが、トラックドライバーの人手不足もそのひとつです。既に、「2024年問題」と呼ばれ、ここ数年ニュースに取り上げられることが多くなりましたが、実際のところはどうなのでしょうか。
荷物を運ぶトラックのイメージ(画像:写真AC)
国土交通省の調査によると、半数以上の企業がドライバー不足を感じているそうです。そもそも、2021年にはすでに有効求人倍率も全職業の平均で1.1であったのに対し、貨物自動車運転手は2.0。「2024年問題」が叫ばれる前の段階における調査で、既に人手不足は分かりやすく数値に出ています。
この業界における人手不足の理由は、賃金と長時間に及ぶ労働内容が見合っていないという指摘が以前からありました。事実、全産業と比べ年間の労働時間も平均で400時間ほど多く、年間所得額も43万円ほど少ないのが現状です。また若手が少ないというのも問題で、企業にもよりますが、既にドライバー平均年齢が40代後半から50代とかなり高めになっています。これでは、将来的に人手不足が深刻化してしまいます。
この問題を改善すべく、2024年4月からトラックドライバーの残業時間に関して月45時間以内、年360時間以内の上限規制が適用されるに至りました。
ただし、この改正により、輸送力の低下も指摘されており、需要に対する輸送力は2030年度には34%(約9億トン)不足する可能性があるとも言われています。しかし、短期的な雇用を意識していると、ドライバーは減るばかりであるため、こうした改正に踏み切った訳です。
そして、待遇面の改善以外に、長距離輸送に関しては、これまでトラックが担っていた一部長距離輸送を鉄道貨物などに切り替える「モーダルシフト」の導入、大手企業の場合は同業他社で輸送方法に統一規格を設け、トラック、およびそのドライバーをシェアリングする試みなども行っています。さらに今後高速道路などでの自動運転による輸送も計画されるなど、“仕組み”の構築によってこの課題の解決を目指しています。
深刻な「ラストワンマイル」問題
これらの取り組みによって改善されている部分もありますが、実は最も深刻な部分にはまだ大きな問題を抱えています。それが「小口配送(ラストワンマイル)」です。
モーダルシフトの恩恵は大きいが長距離輸送のみでの利点といえる(画像:JR貨物)
トラックドライバーの人手不足と聞くと、長距離を走る大型トラックドライバーをイメージするかもしれませんが、小口配送を中心とした小型・中型トラックを使う現場の方が改善は困難といわれています。規格やルールの統一が難しく、自動化も現状の技術では望めないため、どうしてもマンパワーに依存する部分が大きいからです。
ある宅配業者の社員に話を聞くと、2020年の新型コロナウイルス流行により、このラストワンマイルの負担はさらに大きくなっているそうです。
「輸送量が増えた原因は、ECサイト市場規模の拡大ですね。拍車をかけたのがコロナ禍でした。宅配取引数が急増しました。コロナが収まった後も、小口配送のニーズは増加傾向にあります。日本の宅配による再配達率は10%と言われています。かなりの数の荷物を再び持ち帰る必要があります。置き配・宅配ボックスが普及しましたが、業者によってはそれを許可しない場合もあります」(宅配業者の社員)
その他にも小口配送を始めとした小型・中型トラックを扱う事業者を取り巻く環境は悪化しています。それが免許制度の変更です。
2007年までに普通免許を取得した人は総重量8トンまで運転できますが、2017年までに取得した人は総重量3トン以下、2017年以降だと総重量3.5トン以下となっています。
小型・中型トラックを業務で使っている運送会社の人事担当によると、この問題は深刻なようです。法改正により若者が現用のトラックを運転できなくなっていて、それが理由でなかなか人材の確保が難しい側面があるそうです。
さらにこれに拍車をかけているのが、運転方法の変化です。
「2007年6月に元々、事業者が取り扱っているトラックにはまだMT(マニュアル)車が多いというのも若手がなり手として入ってこない理由のひとつです。いまや半分以上の人がAT(オートマ)で、1991年にオートマチック限定免許が導入され、新たに免許を取得する人の多くがオートマチック限定免許となっています。それに加えて4月からの法改正でマニュアル免許を取得するのはより難しくなりました」(人事担当)
普通免許でも乗れるトラック 懸念材料とは
このような状態に対応すべく、トラックメーカーも対策を打ち出しています。
いすゞエルフミオ(画像:いすゞ)
いすゞは2024年7月に2017年以降に普通免許を取得した人でも運転できる総重量3.5トン以下のトラック「エルフミオ」の販売を開始しました。なお、このエルフミオはATのみの設定となっていて、これからの時代を見据えたトラックと言えます。
ただ、対応できる新車が登場したからといって、多くの事業者が新たに一括で導入するのは現実的な話ではありません。エルフミオのようなトラックがすぐに救世主になる訳ではないのです。
「エルフミオは確かに、今後の運送業界のドライバー確保のひとつだとは思います。乗りやすいという話も聞きますね。ただ、車幅はエルフと同じにも関わらず積載能力は落ちます。これだと、中小企業の限りある車庫や駐車場で置くには適さない車両と感じる業者もいるかもしれません」(人事担当)
単純に、色んな免許の人が乗れるから良いという訳でもないのが中小企業の悩みではあるようです。
ほかに、免許制度に関しても、今後進展があるかもしれません。
普通免許を取得した人が、将来的に中型や大型の免許を取得しやすいように、警察庁は2026年を目途に、オートマチック限定の中型や大型免許の導入を考えているようです。これは運送業など業界からの要望も多かったようで、今後の進展が注目されるところです。
2024年問題と言われているように、喫緊の課題であるトラックドライバーの人手不足。その背景は働く環境や給与などと思われがちですが、事業者や業界そのものだけでは解決することのできない免許制度の壁もあるのです。一概に事業者と業界だけを非難することは出来ないと言えます。
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