もともと「さんふらわあ」でした――日韓航路で23年 まもなく“別の国際航路”へ 波乱万丈すぎる功労船
- 乗りものニュース |

23年にわたり“日韓の懸け橋”として活躍した元「さんふらわあ」のフェリーが、新造船の就航に伴い日韓航路を引退し、別の国際航路へ“転身”します。就航のときを待つフェリーの半生を振り返ります。
新造4年で売りに出された「さんふらわあ」その後
韓国パンスターグループが釜山(プサン)―大阪の国際航路へ新造フェリー「パンスターミラクル」(2万2000総トン)を投入し、既存船の「パンスタードリーム」(2万1535総トン)が引退しました。このパンスタードリームは、もともと日本の「さんふらわあ」フェリーの一つで、こんどは「日本-台湾」のあいだで新設される国際航路への投入が決まっています。
20年以上にわたり日韓航路で活躍した「パンスタードリーム」。元「さんふらわあ くろしお」(深水千翔撮影)
日本国内のフェリーとしてデビューし、日韓の架け橋として20年以上にわたり活躍、さらに今後は“日台の架け橋”を担うパンスタードリームの半生を振り返ります。
パンスターが日本と韓国を結ぶ国際フェリー航路の運航を始めた背景には、日本と韓国の共同開催となった2002年のサッカーワールドカップ(日韓W杯)が挙げられます。
当時、日韓W杯を前に両国の交流拡大に向けた大量輸送手段の必要性が高まっており、2001年に両国の海運会談で海上交通の拡充に合意します。これにより、すでに運航を始めていた釜山―博多(福岡市)、釜山―下関に加えて、釜山-大阪航路の開設が決まりました。
当初は貨物船の定期運航を行おうしていましたが、日韓で定期航路を手掛けていた既存の貨物船社が反対したため、代案として旅客と貨物を同時に輸送するカーフェリーに方向転換します。
もう一つの問題は投入する船の確保でした。フェリーはコンテナ船より船価がはるかに高く、建造期間も長いため、当時は新興船社だったパンスターは新造船を建造するよりも中古船を導入する方が合理的で経済的だと判断します。
この時、ちょうど日本ではブルーハイウェイライン(現・商船三井さんふらわあ)が大赤字となっていた東京―那智勝浦―高知航路から撤退。三菱重工業下関造船所で1997年に竣工してから4年に満たないフェリー「さんふらわあ くろしお」が売りに出されることになりました。
パンスターは同船を購入することを決め、国際航路にふさわしいパブリックスペースなどを設置する改造を経て「パンスタードリーム」と命名し、2002年4月から大阪―釜山航路の運航を開始します。
パンスターグループのキム・ヒョンギョム会長はこの時、三菱造船の北村 徹会長にお世話になったことに謝辞を述べつつ「23年間にわたり大韓海峡(対馬海峡)と瀬戸内海を横断しながら、両国間の人的・物的交流拡大と友好促進に貢献してきた」とその役割を称えています。
震災支援、空港代替輸送…歴史刻んだ23年
パンスターグループは「パンスタードリーム」の導入によって定時運航、専用埠頭の使用といった旅客船のメリットを得ることができました。さらに日本の税関通関免許を取得し、当日通関体制などを整えることで、航空便よりも速い高速輸送サービスとして成長の基盤を築いています。
「さんふらわあ くろしお」時代(画像:商船三井さんふらわあ)
旅客部門では、単に乗客を目的地まで輸送するだけでなく、船旅自体を目的にする「クルーズ」という概念を導入。これは新造船の「パンスターミラクル」にも引き継がれています。
運航会社であるサンスターラインの舎野祝光社長は、パンスタードリームの23年間を振り返り、特に東日本大震災での支援物資輸送と、関西国際空港が閉鎖した時の代替輸送を挙げています。
「2011年3月に発生した東日本大震災の時、釜山南部の小学校6年生の児童が文房具を集めて、小さな段ボール2つを日本に送ろうとしました。しかし、物が小さく、震災直後だったため、どの団体もOKしませんでした。そこで釜山から大阪に走っているフェリーで運ぼうということになり、『パンスタードリーム』で大阪に持ってきて、被災地の小学校へ文具を届けました」(舎野社長)
た、2018年9月には台風21号の影響で関西国際空港の多くの施設が浸水し閉鎖されました。この時は連絡橋へタンカー『宝運丸』が衝突する事故も発生し、帰国困難者があふれる中、『パンスタードリーム』が多くの旅行者を大阪から釜山へ運んでいます。
新天地・台湾へ
パンスタードリームの就航以降2024年までの累計旅客数は155万人余り。コロナ禍で2020―2023年に旅客輸送が中断された点を考慮すると、年間平均旅客数は約10万2000人となっています。2024年の旅客数は約5万4000人で、コロナ以前の水準を回復しました。
貨物量はパンスタードリーム就航初年の2002年は7135TEUでしたが、現在は4倍の水準に増加しています。
2025年4月にパンスターミラクルが就航した後も、同船の船体トラブルに伴うピンチヒッターとして日韓航路に入っていたパンスタードリームですが、その役目を終えて次に向かうのは日台航路です。「商船やいま」が2025年秋の開設を目指す石垣(沖縄)―基隆(台湾)航路の「YAIMAMARU(やいま丸)」として、デビューの時を待っています。
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