新幹線なぜアルミ車体? 在来線はステンレスもあるのに…軽さだけじゃない採用理由 トンネルの“耳ツーン”も関係アリ
- 乗りものニュース |

アルミは軽い
電車の車体は、鉄を用いた鋼製をはじめ、最近はステンレスやアルミ(アルミ合金)で造られたものが多数を占めています。ただ、新幹線に絞ると、最近はアルミ製の車体ばかりです。在来線はステンレス車体もあるのに、なぜ新幹線はアルミ製ばかりなのでしょうか。
現在の新幹線車両は、アルミ合金製の車体を採用している(柴田東吾撮影)
新幹線の車体にアルミを使用する理由の一つに「軽い」ことが挙げられます。鋼製やステンレス製よりも、アルミ製の方が軽量化の点で有利です。
新幹線は高速で走るために、大量のエネルギーを使用します。車両を軽く造ると高速で走るためのエネルギーを少なくでき、かつ線路への負担も減らせます。重い車両が線路を走ると、沿線に振動が伝わってしまいますが、車両を軽くすると振動を抑えることもできます。
東海道・山陽新幹線の初代営業用車両である0系は、鋼製の車体でした。後継の100系も鋼製ですが、屋根などの一部にステンレスを用いて軽量化を図りました。300系から車体はアルミ製に変わり、軽くなったことで最高270km/hを実現。以後、東海道・山陽新幹線の車両はアルミ製の車体を採用しています。
一方の東北・上越新幹線は、最初の200系からアルミ製の車体を採用しています。積雪をはじめ寒冷地の対策を強化して車両全体が重くなるため、アルミを採用して重量を抑えた経緯があります。
例外として、200系の2階建て車両や、2階建て新幹線のE1系、初代山形新幹線の400系も鋼製でした。
気密性でも有利なアルミ製の車体
アルミ製の車体は、ステンレス製より気密性の面でも有利です。新幹線のように列車がトンネルに高速で突入すると、気圧の差が発生します。耳がツーンとなるのも気圧の差によるものです。新幹線の車両は気圧が大きく変化しないように、トンネルに入る時は客室の換気を抑えています。この前提として、車体から空気が漏れ出さないよう、気密性を確保する必要があります。
鉄道の車体は数々の部材を溶接して組み立てられています。気密性を保つためには、すき間なく溶接することが求められます。鋼製やアルミ製はすき間なく溶接できますが、ステンレスは容易ではありません。
溶接する時は、部材を高温で溶かします。しかしステンレスは、高温にさらし続けると変質し強度が変わってしまいます。このため、ステンレスは溶接を最低限とする必要があります。
ステンレス車体は、大半の箇所がスポット溶接で施工しています。スポット溶接は、大電流と圧力を局所的にかけて点状に接合する方法です。溶接部分を最低限に抑えられる一方で、溶接で発生する丸い点が表面に残ります。ステンレス車体はこの丸い点々が生じるため、高い気密性の確保が難しくなります。ちなみに、先の100系は気密性が求められる部分に金属を盛って接合する隅肉溶接により対応しています。
なお、1980年代の末期にステンレスとアルミを組み合わせた「ハイブリッド構体」がメーカーで試作されたことがありました。この車体は、床の部分はステンレス、それ以外の屋根や側面などはアルミ製としたものですが、実用化されずに終わっています。
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