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CO2排出ゼロ「アンモニア燃料船」燃料代は結局いくらに? 現実的なんですか? 日本郵船社に聞く今後

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  • 乗りものニュース
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日本郵船が脱炭素へ向けた新たな船舶燃料としての「アンモニア」の活用に取り組んでいます。なぜアンモニアなのか、そして“いくら”になるのか――同社の曽我社長が今後のビジョンを話しました。

燃やしてもCO2が出ない「アンモニア」

 日本郵船が世界初となる国産エンジンを搭載した「アンモニア燃料アンモニア輸送船(AFMGC)」の開発に取り組んでいます。同社はすでにアンモニア燃料タグボート(A-Tug)「魁」(278総トン)を東京湾の曳船事業に投入。アンモニア燃料供給(バンカリング)船の基本設計承認(AiP)も取得しました。

Large figure1 gallery13アンモニア燃料アンモニア輸送船のイメージ。2026年11月竣工(画像:日本郵船)。

 同社の曽我貴也社長は「我々はCO2(二酸化炭素)を吐きまくりながら事業を行っている。 CO2 排出を減らすことが世界中の人々への貢献に繋がると考えた場合、いちばん効果的なのは船の燃料を転換することだ」と力を込めます。その“答え”の一つがアンモニアです。

 世界的な気候変動対策が求められる中、大量のCO2を排出する重油を燃料として使う船舶と国際海運には厳しい目が注がれていました。こうした中で同社は長期目標として「2050年までにグループ全体でのネット・ゼロエミッション達成」を掲げ、GHG(温室効果ガス)を「減らす」「出さない」「取り除く」の3つの側面から脱炭素に向けた取り組みを進めるとともに、脱炭素技術の研究開発を推進しています。

「世界で排出されているCO2のうち2~3%が国際海運で発生していると言われている。数量にすると7億トンから8億トンで、ドイツ1か国のCO2排出量に相当する」

 曽我社長は脱炭素化の必要性をこう強調したうえで、「現在の重油からLNG(液化天然ガス)焚きに変え、その次のゼロエミッションの燃料としてメタノールや水素などさまざまなオルタナティブがあるが、我々はアンモニア船の開発に尽力している」と話しました。

 アンモニアは燃焼してもCO2を排出しない環境に優しい次世代のゼロエミッション燃料として注目を集めています。日本郵船はアンモニア燃料船を2030年までに3隻、2031年から2033年にかけて12隻整備する方針です。

「アンモニアは、今は危険物という扱いの中で、どういうふうに舶用燃料として運用するか、安全基準ガイドラインというのはまだ出来上がっていない。我々としてはこれを世界に先駆けて、アンモニア燃料タグの『魁』を作り、実装というところまで来た。この知見を生かした形で国際ルール作りにも先行していきたい」(曽我社長)

もともと「肥料」です

 しかし、課題となるのはアンモニア燃料の安定的な供給です。アンモニアは主に農業用の肥料としては流通していますが、舶用燃料として使用する場合は新しい燃料アンモニア市場の形成とサプライチェーンの構築が必要です。

Large figure2 gallery14アンモニア燃料アンモニア輸送船の建造契約締結時。中央が曽我社長。2024年1月(深水千翔撮影)。

 曽我社長も「燃料供給のためのネットワークがなければ、技術が開発され船ができても、燃料がない、商用運航ができないということになる。供給のネットワークや船舶への補給の体制作りなどを行うのが次のステップだ」と話します。

 そのためアンモニア燃料船も、「2隻目が完成したら、その後もじゃんじゃん作っていくということにはならない。供給ネットワークをどういう風に作るか、出来そうかというのを踏まえた上で次の建造計画にタッチしていきたい」と慎重な姿勢を見せます。

 ただ次世代燃料はいずれも、調達コストが高いという点も導入が進まない理由の一つ。GHGを排出しない新しい燃料を使用する船舶を商業的に成り立たせるためには、実際に運航する船社が耐えられるところまで燃料の値段を下げなければなりません。そうなると、大量生産と大量消費が可能か、ということが鍵となります。

 その点で、日本郵船がグリーン系の新エネルギー新燃料でいちばん「マスプロダクション(大量生産)に合致しているもの」として、グリーンアンモニアを選択し、同分野に注力して投資を進めています。

「アンモニアは世界で年間 2億トンが作られていると言われている。グリーンアンモニアを作るために必要なのは、このアンモニアの製造工程にクリーンな電気を入れるということで、基本的には出来てしまう。そのためファシリティはとりあえずある」(曽我社長)

 すでにインドや中東諸国などではグリーンアンモニアやグリーン水素を生産しようという動きがあり、日本郵船はまず供給基地をいかに押さえるかということを検討しています。

 クリーンな電気をどうやって持ってくるのか、ファシリティをどうやって拡大するのかという課題はあるとしつつも、グリーンアンモニアの増産が可能との仮説を立てていると曽我社長は話します。価格については「今の重油の倍ぐらいになると、かなり目処が立つだろうなと思っている」との見解を示しました。

一気に作るぞ「アンモニアインフラ」

 現在、日本郵船は世界初の商用アンモニア燃料船である内航タグボート「魁」と、外航船の4万立方メートル型アンモニア燃料アンモニア輸送船(AFMGC)を新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション(GI)基金事業である「次世代船舶の開発」プロジェクトの一環として開発を進めています。

 最初の一手となる「魁」は2024年8月に竣工。新日本海洋社が運航するタグボートとして、東京湾で曳船業務に従事しています。

 次のAFMGCは、ジャパンエンジンコーポレーション、IHI原動機、日本シップヤード(NSY)、日本海事協会と共同で開発を進め、ジャパンマリンユナイテッド(JMU)有明事業所で2026年11月の竣工を予定しています。同船は全長180m、全幅32mで、アンモニアの国際海上輸送における主要な船型である中型のガス船です。アンモニア製造・販売の世界最大手ヤラ・インターナショナル・グループ(ノルウェー)と定期用船契約を結んでおり、舶用燃料としてのアンモニア需要創出など、アンモニアサプライチェーンの構築を図っていきます。

 また、NEDOのプロジェクトではありませんが、日本郵船はシンガポールとのシートリウムと共同でアンモニア焚きのアンモニアバンカリング船(供給船)を開発しており、すでに日本海事協会からAiPを取得。これも、燃料アンモニアのバリューチェーンと実用化に不可欠な存在です。同船には「魁」に搭載されたIHI原動機製のアンモニア燃料エンジンが搭載されます。

 これらに加えて将来的にアンモニアを燃料として使用できる「アンモニアレディーLNG燃料船」や、燃料アンモニアの貯蔵・再ガス化を海上で行うA-FSRB(浮体式アンモニア貯蔵再ガス化設備搭載バージ)の実現にも取り組んでいます。

 曽我社長は「魁」とAFMGCに触れ、「プロジェクトを通じて、アンモニア燃料と供給のネットワークをどういった形で作っていくかという、バリューチェーンを確立する道筋が見えて来るのではないか。このようにチームジャパンとして新技術を開発し、普及していくことは、日本の海事産業の強化に繋がると考えている」と話しました。

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