北朝鮮の駆逐艦もハデに横倒し! 古今東西「進水式あちゃ~事件簿」 日本も複数“やらかした”
- 乗りものニュース |

北朝鮮で発生した進水式が失敗し、新造の駆逐艦が横倒しになった姿が衛星写真にとらえられました。かつて日本海軍でも、進水式の失敗は複数ありました。
進水式、縦か横かドックか
2025年5月21日に北朝鮮の最新鋭駆逐艦が進水式で横転し話題になりました。進水式は船を建造する過程において最も重要なセレモニーです。技術が進歩した現代ではめったに起こりませんが、過去には様々な失敗がありました。
護衛艦「もがみ」進水式の様子(画像:海上自衛隊)
進水式には大きく分けてドック進水と船台進水があります。ドック進水は扉船(ぼうせん)と呼ばれる水門で閉じられた乾ドックで船体を建造し、注水後に水門を開けて曳船(タグボート)で引き出します。
一方、古代から進水式の主流だったのが船台進水です。これは地上の船台で建造し、傾斜のついたレール状のスリップウェイ(滑り台)を使って船体を水面に浮かべる方法です。通常は船尾から滑らせる縦向き進水になります。比較的狭い湾など制約のある地形では、大型船が勢い余って対岸に衝突しないようワイヤーで制動をかけるときもあります。
また、船台で縦向き進水する水面のスペースが取れない場所では、側面から滑らせる横向き進水を行います。これはもっぱら小型船で用いられる方法で、河川や河口に造船所が多いアメリカでは現在でもよく用いられています。
第2次世界大戦中のアメリカで輸送船のほか護衛空母に改造するベースとしても大量に建造された1万トン級のリバティ船が、横向き進水で有名です。また、米海軍が現在も横向き進水している軍艦には排水量3500トンのフリーダム級沿海域戦闘艦があります。
横転させるように船台から進水し、姿勢を戻すという横向き進水は派手ですが、うまくいかないと転覆するリスクが高く、かつては失敗がよくありました。
もちろん横向き進水に限らずの失敗した例は過去に多数発生しています。
「船が全然動かない!」
それでは旧日本海軍を中心に、失敗した進水式の例を見ていきましょう。
第2次大戦中に行われたガトー級潜水艦「ポギー」の横向き進水(画像:アメリカ海軍)
先に解説した船台進水で最もありがちなのは「船体が滑らない」というトラブルです。日露戦争終終結直後の1905(明治38)年12月11日、皇太子(のちの大正天皇)が臨席し、呉海軍工廠で行われた巡洋戦艦「筑波」の進水式では、船体が船台から動かず12月26日にやり直しています。
また、初春型駆逐艦「初霜」は1933(昭和8)年10月31日に民間造船所の浦賀船渠(ドック)で船台進水を行ったところ、こちらも同様に船体が滑らずやり直しになっています。
ドック進水の直前にアクシデントを起こした事失敗例として、大和型3番艦を空母に改造した「信濃」があります。「信濃」は1944(昭和19)10月8日に横須賀海軍工廠の第4船渠でドック進水をしたのですが、進水式前の10月5日、乾ドックに半分注水するため作業を開始したところ、水門が外れて流れ込んだ海水で船体がローリング。艦首と艦尾がドックの壁面と水門に衝突して損傷する事故が起こしました。
ちなみに、進水式の段取りでは、シャンパンなどの酒瓶を艦首で叩き割り、そのあと支綱を斧で切断してから滑り始めるのですが、ドイツの装甲艦「ドイッチュラント」や英空母「フォーミダブル」では、酒瓶を割る前に滑り出すという珍事が起こっています。
ところで北朝鮮艦は「なに進水」を失敗したのか?
先頃進水に失敗した北朝鮮の崔賢(チェ・ヒョン)級ミサイル駆逐艦は排水量5000トン級で、1番艦と2番艦が2024年に起工、2026年に就役を予定しています。
進水式を行う空母「蒼龍」(画像:パブリックドメイン)
事故が起こったのは朝鮮半島北東部の清津(チョンジン)造船所で、衛星写真では進水前の船台に設置された船体と、事故後に艦首を船台に残したまま右舷を下に横転した姿が写っていました。事故を起こしたこの崔賢級2番艦は、滑らなかった艦首を軸に振り子の要領で船体が横転したと思われます。
Google Earthの衛星写真を見ると、清津造船所の現場は細い水路で外洋につながった横長の堀になっています。堀は縦向き進水ができる幅はないため、船の進水は横向きで行っていたことが分かります。
なお、1番艦「崔賢」を建造したのは黄海に面した南浦で、2番艦に先立ち4月25日に進水しています。ここは軍の主力造船所といわれており、日本海側の清津造船所は新たな軍の造船所にする計画とされています。
つまり、いままで民間船を建造してきた清津造船所にとって、北朝鮮で最も大型の艦艇である崔賢の進水は、これまでにない経験だったはずです。報道で指摘された技術的な面の問題と経験不足は、横向き進水の方法に関するものと思われます。
船体に穴が開いていたという当初の報道はその後、否定されており、浸水の原因は横転して流入した海水と見られます。しかし、横転によりキール(竜骨)など船体の構造に重大な損傷があれば復旧は難しくなるでしょう。
進水式は「命名および進水式」であり、無事進水したと思われる1番艦「崔賢」は艦名が公表されています。事故を起こした2番艦も進水式で命名されたはずでずが、あらためて進水式をやることになれば、この2番艦は改名されるのかもしれません。北朝鮮当局の発表では、6月末の党中央員会総会までに復旧が言明されています。
最新ニュースでは6月2日に撮影された衛星写真から、横転した船体が “直立に”戻ったと報じられ、船体の引き起こしに成功した模様です。果たして船体を船台に戻し進水式をやり直すのか、今後の動きが注目されます。
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