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「1160kmを5日かけて走破する特急」が進化を遂げて再始動! 鉄道車両とは思えない「超豪華個室」がスゴい

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JR九州の観光特急「36ぷらす3」の6号車がリニューアル

 九州の5つのルートを5日間かけて巡る観光特急「36ぷらす3」が運行開始から6年を迎え、リニューアルされた6号車が2026年9月6日から運行を開始しました。大分→博多を結ぶ「青の路」ルートに試乗し、どのような空間なのか確かめてみました。

Large figure1 gallery4ホーム上で特産品の販売が実施される杵築駅に停車中の観光列車「36ぷらす3」(乗りものニュース編集部撮影)

 列車名の「36」は九州が世界で36番目に大きい島であること、そして列車で提供される35のエピソードに加え、旅を通じて乗客自身が36番目のエピソードを作ってほしいという願いに由来します。

 また「ぷらす3」には、乗客に驚きや感動、幸せをプラスして届けること、そして「乗客・地域・JR九州」の3者が繋がるという思いが込められています。

 5日間で九州を回るスケジュールでありながら、すべて日中の時間帯に運行されるため、1日(1ルート)単位から気軽に分割して乗車できることが特徴です。そのため、旅程や予算に合わせて、一部区間だけを旅行に組み込むことも可能です。

 総運行距離は約1160kmにおよび、曜日ごとに以下のルートを巡ります。

・木曜(赤の路):博多→熊本→鹿児島中央
・金曜(黒の路):鹿児島中央→霧島神宮→宮崎
・土曜(緑の路):宮崎空港・宮崎→大分→別府
・日曜(青の路):大分・別府→門司港・小倉→博多
・月曜(金の路):博多→佐賀・肥前浜→佐世保→佐賀・博多

※令和8年熊本地震の影響により、2026年9月中は「赤の路」と「黒の路」が運休。「緑の路」は9月12日(土)から運転を再開予定。「青の路」「金の路」は9月6日(日)から通常運行。

 ランチプラン(1~3号車)、プレミアムランチプラン(6号車)はJR九州の旅行商品として販売されます。5号車はグリーン席プランとして、JR券(普通運賃+グリーン料金+指定席特急料金)のみで利用が可能です。なお、4号車は車内イベントなどが楽しめる「マルチカー」となっています。

 車両は、かつて博多~西鹿児島(現・鹿児島中央)を結ぶ特急「つばめ」として一世を風靡した787系。車体色は往時のグレーから、「黒い森」をイメージした気品あるメタリック塗装へ姿を変え、九州の旅を優雅に彩ります。工業デザイナー・水戸岡鋭治氏が手掛けた名車が、同氏の手により再び刷新されました。

 このうち6号車は元々、畳敷きでリクライニングシートが設置された仕様となっていました。今回のリニューアルでは、このリクライニングシートを撤去し、新たに1~2人用の個室を10室設置。さらに、乗客の「靴の着脱が煩わしい」という声などを踏まえ、床面は畳からフローリングへと変更されました。

 JR九州によると、「36ぷらす3」はリピーターも多く、車内に少しずつ変化を加えていくことで、新たな価値を提供していきたいという思いもあるそうです。6号車の改造工事は2025年5月から室内の解装作業が始まり、6月頃から艤装(ぎそう)作業に着手。約1年以上の期間を経て、2026年8月に竣工を迎えました。

「プライベート感」と「開放感」を両立させた秀逸な空間

 大分→博多を結ぶ「青の路」ルートは、大分駅を10時48分に発車し、博多駅に16時41分に到着。所要時間は5時間53分におよびます。同区間は特急「ソニック」が最短2時間1分で結んでおり、「36ぷらす3」はゆっくりと走ることが特徴です。

Large figure2 gallery56号車で提供される「プレミアムランチプラン」。厳選された地域の食材をふんだんに使用した4段重を車窓の景色と共に堪能できる(乗りものニュース編集部撮影)

 今回は8月30日に開催された報道関係者向けの試乗会に参加し、リニューアルで生まれ変わった6号車を確かめてみました。

 6号車の車内へ一歩足を踏み入れると、そこにはパーテーションで区切られた個室がずらりと並んでいます。その空間はもはや「列車の座席」という枠を超え、気品ある調度に囲まれたサロンのようです。

 客室の床には、北米産の針葉樹・米松、通路には世界三大銘木の一つであるウォールナット、そしてテーブルの側面やハットラック(蓋付き荷物棚)にはスギが贅沢にあしらわれています。個室は全10室がそれぞれ異なる座席と床のデザインになっており、遊び心を感じさせます。

 座席はリクライニング機能がありませんが、幅が広いためゆとりは十分。電源コンセントも備えています。長時間乗車しても疲れることはなく、「列車に乗っている」というより、「応接間で過ごしている」かのような贅沢な感覚に包まれます。

 JR九州によると、個室パーテーションの高さは、1・2号車の個室より20cm程度低めに設定したとのこと。通路と個室の間には「すだれ」が仕切りとして採用され、自由に上げ下げが可能です。個室でありながらも決して閉鎖的ではなく、プライベート感と開放感を高い次元で両立させた、秀逸な空間だと感じました。

 6号車のもう一つの特徴が、車内で提供される「プレミアムランチプラン」です。大分市のイタリア料理店「RISTORANTE Oba (リストランテ オオバ)」による、厳選された地域の食材をふんだんに使用した4段重を車窓の景色と共に堪能できます。

 重箱には「ズワイ蟹とキャビアのカッペリーニ」「大分産蛸のマリネ」「佐伯産真鯛のセモリナ粉焼き」「奥豊後豚の自家製ロースハム」など、色鮮やかな食材がぎっしり。4段重を自分の手で広げる楽しさも相まって、特別な旅の思い出になること間違いなしです。料理は油や香辛料をあえて使わず、素材が持つ本来の旨みや良さが活かされています。実際に食べてみたところ、想像以上のボリュームで、列車内でこのレベルの食事が楽しめることに、ただただ驚かされました。

 さらに「プレミアムランチプラン」では、使い捨ての割り箸だけではなく、記念に持ち帰ることができるオリジナルデザインの箸も用意されています。これは、熊本県で半世紀以上も純国産の天然竹の箸を作り続けている「ヤマチク」が制作したもので、乗車後も旅の余韻に浸ることができる粋なアイテムです。

「青の路」ルートでは途中、杵築駅と中津駅のホームで特産品の販売があるほか、門司港駅には約80分も長時間停車します。門司港駅ではレトロな街を散策したり、鉄道駅として日本で初めて重要文化財に指定された駅舎内のカフェで過ごすこともできます。

 また4号車の「マルチカー」では、西日本唯一の金平糖製造会社である入江製菓の金平糖を試食できるイベントや、有料体験メニューとして小倉織の風呂敷包み体験も開催されます。乗客を飽きさせない客室乗務員のおもてなしも、この列車の大きな魅力。全区間を乗り通すと5時間を超える長旅となりますが、実際に乗ってみると意外と「あっという間」でした。

 近年の夏は暑さが厳しく、屋外を歩く観光は敬遠されがちですが、地域の魅力が凝縮された「36ぷらす3」の旅であれば、涼しい車内で五感を使って地域の魅力を堪能できます。この列車に乗るためだけに九州を訪れる価値があると感じました。

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