バイクのチェーンは「左」←自転車は「右」なぜ逆なの? 似て非なる“それぞれの事情”
- 乗りものニュース |

オートバイの主流が「左チェーン」のワケ
ペダルとチェーンで後輪を回す自転車と、エンジンの力をチェーンで伝えるオートバイ。どちらも同じ二輪車ですが、チェーンの配置に注目すると面白い違いに気づきます。
オートバイと自転車、チェーン配置にまつわる事情とは(画像:PIXTA)
多くのオートバイは進行方向に向かって「左側」にチェーンが付いていますが、自転車は「右側」が多数派です。この違いには、双方の乗り物がたどってきた“似て非なる事情”が隠されています。
オートバイのチェーンが左側にある最大の理由は、「マフラー(排気系部品)」の存在と乗車スタイルの関係です。
安全上の観点から、オートバイの押し引きや乗り降りは「左側」から行うのが基本とされ、サイドスタンドも左側に設置されています。もし、高温になるマフラーが左側にあると、乗り降りの際に足が触れて火傷をしたり、衣服が焦げたりする危険があります。そのため、マフラーは右側に配置されるのがセオリーとなりました。
そして、重量物であるマフラーを右側に置いた結果、車体全体の左右の重量バランスをとる必要が生じます。そこで、同じく重量物である駆動系(チェーンやスプロケットなど)を反対の「左側」へ配置する、という合理的なレイアウトが定着したのです。
もっとも、オートバイは車種によって右側にチェーンを置いたモデルがあるほか、チェーンではなくベルトやシャフトで後輪を駆動するモデルもあります。つまり左側にチェーンを置くかどうかは、エンジンや変速機、ブレーキや排気系など、ほかの構成部品の置き方によって変わってくるといえるので例外も存在します。
自転車は「右チェーン」でないとバラバラに!?
一方、自転車のチェーンが右側にある理由は、「ネジが締まる方向」という物理的な制約と、歴史的な背景にあります。
競技用自転車の後輪周り(画像:PIXTA)
世の中の一般的なネジは、時計回り(右回し)で締まる「右ネジ」です。自転車のペダルを前へ漕ぐ回転は、右側面から見ると時計回りになります。もし駆動ギアやチェーンを左側に配置してしまうと、前へ漕ぐ力(左側面から見ると反時計回り)がネジを緩める方向に強く働き、走行中に部品が分解してしまう恐れがあるのです。
さらに、今日の自転車の原型となった1885年のイギリス製「ローバー安全型自転車」が、右側にチェーンを配した設計で特許を取得し、大成功を収めました。これが世界標準となり、現代の多段変速機(ディレイラー)やスプロケットといった部品群も、すべて「右側駆動」を大前提として発展してきた歴史があります。
ペダルを漕ぐ力で部品が外れないよう、現在の自転車の「左ペダル」には、反時計回りで締まる特殊な「逆ネジ(左ネジ)」が使われています。
なお、BMXなどの競技用自転車には、右側の障害物にチェーンをぶつけて破損させないよう、あえて「レフトドライブ(左側チェーン)」を採用した車両も存在します。ただしこの場合、走行中に部品が緩まないよう、各構成部品を左右逆仕様で専用設計しなければなりません。
同じ二輪車でも、進化の過程で「人間が安全に乗るための最適解」を追求した結果、真逆の配置にたどり着いたというのは、非常に興味深いメカニズムの妙といえるでしょう。
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