「車線変更?絶対入れてやらん ブォォォン!!」 意地でも譲らないドライバーの“アタマのなか” 交通心理士がズバリ解説
- 乗りものニュース |
交通ルールに則した正しい車線変更をしようとしているのに、その途端にスピードを上げ、入れてくれないというドライバーに出くわすことがあります。どのような心理なのでしょうか。
自車の前に入ろうとするクルマは「不快」?
交通ルールに則した正しい車線変更をしようとしているのに、その途端にスピードを上げ、入れてくれないという場面に出くわすことがあります。どのような心理なのでしょうか。
写真はイメージ(画像:松田義人)。
まず、車線変更の基本ルールはこうです。
(1)まずはウインカーで意思表示。
(2)ウインカーを表示している3秒間で安全確認(前方を直視→後方をルームミラーで確認→横側をドアミラーで確認→横側を直視)。
(3)十分な安全を確認できたところで、車体が真横に並行移動するように、ゆっくりと移動を開始。
この基本ルールを守り、ようやく上記(3)のところで目当ての車線に入ろうとしたところで、後方のクルマが「絶対に入れてやらんぞ!」と急加速。結果的に「車線変更を諦めざるを得ない」場面があります。
筆者はこのようにして「意地でも道を譲らない」クルマに対し心の中で「ケチ運転」と呼び「あんなケツの穴の小さい運転は絶対にしないぞ」と思っています。車線変更のためのウインカーを出したクルマには、危険を伴わない限りできるだけ道を譲るようにしています。
しかし、この「意地でも道を譲らない」ドライバーの心の中には、どのような潜在意識が隠されているのでしょうか。
交通心理士で近畿大学物理工学部准教授の島崎 敢先生は「あくまでも1つの解釈」としながらも、「意地でも道を譲らない」ドライバーは「他車が自分の車線に入ってくることは、目的の達成を妨げる不快な出来事」として捉えているのではないか、と話します。
“こいつなら譲ってもいいかな”がある?
「ウインカーを出し、車線変更をしようとしているにもかかわらず、加速しそれを阻止するということは、『自分の前に別のクルマを入れたくない』という明確な意思が存在すると考えられます」
島崎先生はこう話します。特に、少しでも早く目的地に到達したいと考えているドライバーにとって、自分の前に他車が入ってくることは、「『目的の達成を妨げる不快な出来事』として認識している可能性があります」とのこと。
まず想像通りの心理状況ですが、その一方、「車線変更をしようとする側のクルマの挙動」を見て加速しているケースもあるのではないかとも言います。
「急加速するクルマの運転者から見た、『前に入ろうとするクルマ』の走り方によって、その心理状況が異なる場合があります。
「自分の前に別のクルマを入れたくない」という明確な意思がある?(画像:松田義人)。
例えば、自分より明らかに速い速度で走行しているクルマに対しては、そのクルマが車線変更をした後も、自分の走行ペースを乱さないことが予測できるため、比較的容易に道を譲るかもしれません。
一方、自分よりも遅い速度で走行しているクルマが前に入ろうとする場合、その後、そのクルマに追従せざるを得なくなることが予想されます。『このような状況は避けたい』という心理が働き、『速度を上げ車線変更を妨害する』という行動につながっている可能性があります」(島崎先生)
交通ルール・マナーを守らないクルマは批判してもしょうがない?
しかし、いずれにしても、交通法規に則した適切な車線変更をし、速度なども制限内であれば、「道を譲る」というのは交通社会のマナーでありルールです。意地でも「前にクルマを入れない!」と自分勝手な行動を取ることは、それに反し、事故のリスクも高まります。
仮に事故が起きなかったとしても、ドライバー同士のトラブルに発展する危険性もはらんでおり、筆者個人的にはこういった行動は絶対にやめて欲しいと思います。
「『クルマを運転する』ことは社会的な活動であり、他者との関わりが不可欠ですから、交通法規・交通マナーを守って周囲に配慮しながら安全に行うべきでしょう。こういった交通法規・交通マナーを守らないクルマ、予測不能な動きをするクルマは、むしろ批判の対象ではなく『危険要素』として捉え、それよりも『自らの安全確保を優先する』姿勢が、結果として安全な交通社会の実現につながるように思います」(島崎先生)
どれだけ急いでいても数台に道を譲ったところで、目的地までの到着時間に大きな差が生まれるわけでもありません
たまに前方に速度の遅いクルマがいたり、さらに先の車間距離がスカスカのクルマがいると、確かに「もう少しスピードを上げてくれないか」「車間距離を詰めてくれないか」と思うことは正直あります。
しかし、そうしたクルマをなんとかして追い越すことができたとしても、結果的に「目的地への到着時間は1分も変わらなかった」といったケースが少なくないのもまた事実。
事故やトラブルのリスクを高めてまで「車線を譲らない!」といった行動を取るよりも、心にゆとりを持ってハンドルを握り、他者・他車への配慮を持って運転するほうが有意義で安全な移動ができるように思います。
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