なんか民間船みたいな雰囲気も… 輸送艦「にほんばれ」自衛艦ぽくない理由とは? 乗員たちの本音を聞いてみた
- 乗りものニュース |

本格始動した自衛隊海上輸送群。その新部隊の目玉装備である輸送艦「にほんばれ」の艦内を取材してきました。外観の見た目は自衛艦ぽいですが、中に入ると民間船の趣きです。その理由を自衛官らが教えてくれました。
排水量2400トンあるけど「小型」です
内海造船の瀬戸田工場(広島県尾道市)で建造していた輸送艦「にほんばれ」が2025年4月6日、海上自衛隊呉基地で防衛省へ引き渡されました。同艦が配備されたのは陸海空共同の部隊で、主に陸上自衛官が船舶の運用を担う「自衛隊海上輸送群」の第2海上輸送隊です。
輸送艦「にほんばれ」(深水千翔撮影)。
「にほんばれ」を見学した中谷 元防衛大臣は省人化を意識したシステムを採用していることに触れ、「従来の船に比べて非常にデジタル化、ハイテク化していることに驚いた。安全性や機能性も向上している」と話していました。
「にほんばれ」が配備された自衛隊海上輸送群は、島嶼部の輸送機能を強化するために新設された部隊です。トップの群司令は馬場公世1等陸佐。第2海上輸送隊司令には中島隆之3等陸佐が、「にほんばれ」艦長には伊藤洋隆1等海尉がそれぞれ着任しました。
「海上自衛隊が持っている艦艇とは特性が違う船であり、自分たちの部隊に配備された最初の船というところで、初めて乗艦したときには非常に感慨深いものを感じた」(馬場群司令)
「にほんばれ」は水深の浅い島嶼部にも輸送が可能な小型級船舶(LCU)として導入が決まりました。大小多くの島々が点在する南西諸島において、迅速かつ確実な輸送が可能になることで、その方面における防衛体制の強化につながることが期待されています。
船体サイズは全長約80mで喫水は約3m、基準排水量は約2400トンです。内海造船は建造にあたって最適な形状を新規に開発。船体下部には形状に合わせたビルジキールを装備しました。
「自衛艦というよりは民間商船」なワケ
「にほんばれ」の速力は15ノット(約27.4km/h)以上で、乗員数は陸上自衛官を中心に約30名。艦尾側には糧食などを積み込むためのクレーンが搭載されています。なお、固有武装はありませんが、12.7mm重機関銃を設置するための銃架を装備しています。
自衛隊海上輸送群司令の馬場公世1等陸佐(深水千翔撮影)。
公表されている輸送性能は数百トンで、居住区前方の貨物甲板に車両十数両または20フィートコンテナ十数本程度の積載が可能です。
「砂浜に直接上陸するビーチング機能を持つことで、小さな島にも車両などを降ろすことができ、輸送力が向上していると感じた」(中谷防衛相)
同艦の大きな特徴としては艦首にドアとランプが設けられていることです。車両を積載する際はビーチングや岸壁に頭付けをした状態でバウランプを下げ、艦首から直接、貨物甲板へアクセスできるようになっています。コンテナの荷役については接岸時に陸上のクレーンを使って行います。
貨物甲板には車両やコンテナを係止する金具を掛けるクローバー・ホールが備えられています。側面には荒波に突っ込んだ際に速やかに排水できるよう、水抜き穴が設けられました。
艦橋の中央前方にはジャイロレピータがあり、そこに当直士官が立って操艦を行います。右舷側にはECDIS(電子海図情報表示装置)やレーダーといった航海用の計器、中央には操舵装置、左舷側に機関の操作盤が置かれました。後ろ側には基本的に陸曹が並びます。
艦内を案内した自衛官は「本艦の特性として、自衛艦というよりは民間商船がベースの構造となっていることがあげられる。当初は商船をベースに値段を抑えていると考えていたが、設計の段階で運用の構想が変わり、自衛艦になったという経緯がある。そのため『にほんばれ』には民間の機材が入っている」と話していました。
中型級船舶「ようこう」いつ引き渡し?
「にほんばれ」の艦名は、任務の完遂と航海の安全への願いを込め、太陽にちなんだ名称から選定されました。陸上幕僚監部広報室は「一点の曇りもなく、晴れ渡った空を表し、日本国を想起させるもの」と説明します。
自衛隊海上輸送群の隊員が付けていた部隊章(深水千翔撮影)。
中谷防衛大臣は「南西地域に機動的に展開できる船の確保は、自衛隊の長年の課題だった。今回新編された自衛隊海上輸送群には輸送艦『にほんばれ』をはじめ、各種船舶が配備されるが、これにより迅速かつ確実な機動展開が可能になる」と、その意義を強調しました。
自衛隊海上輸送群にはLCUの「にほんばれ」に加え、5月ごろに中型級船舶(LSV)「ようこう」(基準排水量約3500トン)も配備される予定です。2026年3月末には、ようこう型LSV1隻と、にほんばれ型LCU3隻の計4隻にまで部隊規模が拡充され、LSV部隊が呉地区に、LCU部隊が海自阪神基地に配置されるようになります。
加えて、小型級船舶では接岸できない小島嶼への輸送を担う輸送艇(機動舟艇)4隻の取得が2027年度末までに計画されているため、今後は部隊規模が輸送艦6隻(LSV2隻、LCU4隻)、輸送艇4隻の計10隻まで拡充する計画です。
群司令の馬場1佐は「陸上自衛隊には、船舶の運航に関する知識や経験がなく、いかにノウハウを蓄積して基盤を確保していくことが課題だと認識している。こうした点において、引き続き人材の育成、教育含めて、海上自衛隊の連携が不可欠であるという風に考えている」と語っていました。
今後数年で急速に規模が拡大する、自衛隊海上輸送群と陸自の船乗り。近い将来、緑の迷彩服を着た船乗りは当たり前の存在となっているかもしれません。
実は損している?
ニュースを読んでポイントが貯まるサービスがあるのを知っていますか?ポイントサイトのECナビでは好きなニュースを読んでポイントを貯めることができるのです。(※ECナビはPeXの姉妹サイトです。)今日読んだニュースが実はお小遣いになるとしたら、ちょっと嬉しいですよね。
ポイントの貯め方はニュースを読む以外にも、アンケート回答や日々のネットショッピングなど多数あるので、好きな貯め方でOK!無料で登録できてすぐに利用できます。貯まったポイントはPeXを通じて現金やAmazonギフトカードなどに交換できます。
運営実績も15年以上!700万人以上の方がポイントを貯めています。毎日好きなニュースを読んでお小遣いを貯めてみませんか?
簡単無料登録はこちらYOUの気持ち聞かせてよ!
いいね | ![]() |
|
---|---|---|
ムカムカ | ![]() |
|
悲しい | ![]() |
|
ふ〜ん | ![]() |
