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栄養価高く、かさ増しに便利な「白菜」は食べ過ぎると危険? リスク&上手な食べ方を医師に聞く

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 冬に旬を迎える食材の一つが「白菜」です。かさ増しに便利だとして鍋料理によく使われます。食感が良く、ついたくさん食べてしまうことがありますが、この場合、体にどのような影響を及ぼす可能性があるのでしょうか。栄養学にも詳しい「SOグレイスクリニック」(東京都品川区)院長で脳神経外科専門医、医学博士の近藤惣一郎さんが解説します。

カルシウムの大量摂取が鉄分の吸収を阻害

白菜を食べ過ぎた場合のリスクとは?
白菜を食べ過ぎた場合のリスクとは?

 白菜は、その大部分が水分で構成されているため非常に低カロリーですが、健康維持に欠かせないさまざまなビタミンやミネラル、そして機能性成分を含んでいます。順番に説明します。

【ビタミン類】
白菜には特に次のビタミンが豊富です。

・ビタミンC
免疫力を高め、風邪予防に役立つほか、強い抗酸化作用を持ちます。また、コラーゲンの生成を助けるため、美肌や皮膚・血管の健康維持にも重要です。

・葉酸 (ようさん)
造血作用があり、特に赤血球の生成を助けます。細胞の分裂や成熟にも深く関わるため、特に胎児の正常な発育に不可欠な栄養素として知られています。

・ビタミンK
血液を固める作用を持つほか、カルシウムを骨に定着させるのを助ける働きがあり、骨の健康をサポートします。

【ミネラル類】
体内の機能調整に必要なミネラルとして、次のものが含まれます。

・カリウム
体内の余分なナトリウム(塩分)の排出を促す働きがあり、高血圧の予防やむくみの解消に役立ちます。水分バランスを正常に保つために重要なミネラルです。

・カルシウム
骨や歯の主要な構成成分であるほか、神経伝達や筋肉の収縮にも関わる重要なミネラルです。

【食物繊維】
白菜には適度な食物繊維が含まれています。これは腸内の環境を整えるのに役立ち、便通の改善(便秘の予防・解消)に効果的です。また、生活習慣病の予防にも寄与します。

【機能性成分】
・イソチオシアネート

ダイコンやキャベツと同じアブラナ科の野菜に含まれている辛味成分です。この成分には、強力な抗酸化作用や、体内の解毒酵素の働きを助ける作用があることが知られており、健康維持への寄与が期待されています。

白菜は、鍋物や漬物などさまざまな料理に活用でき、これらの栄養素を丸ごと摂取しやすい優れた野菜です。

食べ過ぎた場合のリスクは?

 このように白菜はヘルシーで栄養が豊富な野菜ですが、特定の栄養素や性質から、極端に食べ過ぎると、いくつかのリスクが考えられます。主なリスクは次の3点です。

【白菜を食べ過ぎたときのリスク】
・食物繊維の過剰摂取による消化不良

白菜には便通を整える食物繊維が豊富に含まれています。適量であれば腸の健康に良いのですが、一度に大量に取り過ぎると、消化不良を起こしやすくなります。

・下痢のリスク
特に食物繊維の中でも、水溶性食物繊維を過剰に取ると、腸内で水分を吸い過ぎて便の水分量が過剰になり、下痢を引き起こす可能性があります。

・胃もたれ、吐き気
胃の働きを超える量を食べてしまうと、食べ物が胃に長時間とどまり、胃もたれや吐き気につながることがあります。

【塩分の過剰摂取(特に漬物の場合)】
白菜自体は低塩分ですが、日本の食卓でよく登場する白菜漬けやキムチなどの漬物は、製造過程で大量の塩分(ナトリウム)が使われています。

漬物を食べ過ぎると、塩分の過剰摂取につながります。塩分を取り過ぎると、体は水分を多く欲し、多飲につながるほか、体内の水分量が増加してむくみの原因となったり、長期的に見ると血圧が上がるリスクを高めたりする恐れがあります。

【他の栄養素の吸収阻害の可能性】
白菜に含まれる特定の成分、例えばカルシウムが、サプリメントや極端な偏食によって過剰に摂取された場合、鉄や亜鉛など、他のミネラルの吸収を抑制する可能性が指摘されています。ただ、通常の食事で白菜から取る量でこのような深刻な問題が起きることは極めてまれです。

【適切な量の目安】
健康な人が通常の食事で白菜を適度に食べる分には、上記のような食べ過ぎの心配はほとんどありません。目安としては、多くても1日あたり200グラム程度までにとどめるなど、他の食材とバランス良く食べることが大切です。

白菜は水分が多く、カサがあるため満腹感を得やすい優秀な野菜です。これらのリスクを頭に入れつつ、バランスの良い食生活を心掛けてください。

白菜との組み合わせに向く食材、向かない食材

 ここで白菜の調理方法、保存方法に加え、栄養的な観点から一緒に食べた方が良い食材と避けた方が良い食材についてそれぞれ説明します。

【白菜の調理・保存方法と食べ合わせ】
(1)効率的な栄養摂取のための調理方法

白菜の栄養素はビタミンC、カリウム、葉酸など水に溶けやすいものと、ビタミンKなどのように脂溶性のものがあります。

・鍋やスープ、みそ汁のような汁物
水溶性の栄養素が溶け出しても、煮汁ごと摂取できるため最も効率的です。また、加熱することでカサが減り、たくさん食べられます。

・炒め物(中華料理など)
油と一緒に調理することで、脂溶性のビタミンKの吸収率が高まります。

・浅漬け、キムチといった漬物
生のまま食べられるため、熱に弱いビタミンCを効率的に摂取できます。また、細かく切ることで、機能性成分であるイソチオシアネートが生成されやすくなります。

(2)白菜の最適な保存方法
・まるごと保存する場合

新聞紙などで包み、立てて冷暗所または冷蔵庫の野菜室に入れます。芯を上にして立てて保存することで、成長点が活動しにくくなり鮮度が保たれやすいです。

・カットして保存する場合
カットした切り口から水分が蒸発しやすいため、切り口をラップでしっかりと包み、冷蔵庫の野菜室に入れてください。早めに使い切りましょう。

・冷凍保存する場合
使いやすい大きさに切り、水分を軽く拭き取ってから冷凍用保存袋に入れ、空気を抜いて冷凍します。冷凍することで細胞が壊れ、味が染み込みやすくなります。主にみそ汁や煮込み料理に利用するのがお勧めです。

(3)白菜と一緒に食べた方が良い食材(栄養の相乗効果)
白菜の持つ栄養素の吸収を高めたり、不足分を補ったりする食材との組み合わせがお勧めです。

・豚肉、鶏肉(タンパク質)
白菜には少ないタンパク質を補給し、バランスの良い食事になります。ビタミンCが肉の鉄分の吸収を助けます。ミルフィーユ鍋のような鍋物、スープ、中華炒めに調理するのがお勧めです。

・油、キノコ類
白菜のビタミンKは脂溶性なので、油や、ビタミンDを豊富に含むキノコ類、特に干し椎茸と一緒に取るとカルシウムの吸収を助け、骨の健康に役立ちます。炒め物やあんかけにするとよいでしょう。

・魚介類(カキなど)
白菜に少ない亜鉛や鉄分などのミネラルを補給できます。白菜のカリウムが魚介類の塩分(ナトリウム)排出をサポートします。鍋物(海鮮鍋)や蒸し料理にしてみてはいかがでしょうか。

・唐辛子、ニンニク、ニラ
体を温める食材と組み合わせることで、血行促進効果が期待できます。キムチ鍋やキムチなどがお勧めです。

(4)白菜との組み合わせを避けた方が良い食材(注意が必要な食べ合わせ)
健康な人であれば特に「食べてはいけない」食材はありませんが、特定の効果を打ち消す可能性があるものや、特定の疾患を持つ人が注意すべき点があります。

・過度な塩分の摂取
白菜の漬物、特に古漬けやキムチの食べ過ぎは、カリウムの利尿作用を上回るほどの塩分過多となり、高血圧やむくみのリスクを高めます。

・大量の水と一緒に取る
料理で水分が多い白菜を、さらに大量の冷水や冷たい飲み物と一緒に取ると、体を冷やし過ぎて下痢や腹痛を引き起こす可能性があります。

・甲状腺疾患がある人
白菜を含むアブラナ科の野菜にはゴイトロゲンという成分が含まれており、甲状腺機能の低下に関与する可能性が指摘されていますが、加熱調理し、適量であれば通常問題ありません。大量摂取や生のままの頻繁な摂取は念のため控えるのが無難です。

 ご自身の健康状態や食生活に合わせて、白菜をおいしく、そして賢く活用することが大切です。

オトナンサー編集部

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