「お下がり」じゃない! 国鉄の「元祖・地方向け電車」は都会向けと何が違う? 45年後の今も健在!?
- 乗りものニュース |

地方路線のために生まれた105系
1980年代、国鉄は地方の電化路線に残っていた大量の旧型電車を置き換える必要に迫られていました。それまでの置き換えは、大都市の線区に最新型を投入し、そこで捻出された中古車両を地方に回してきました。しかしここで問題が――。
105系電車(安藤昌季撮影)
地方の旧型は、電動車1両と付随車1両を組み合わせた「1M1T方式」で運行されています。これに対し、101系以来のいわゆる“新性能電車”は、2両1組のユニット電動車方式を採用。つまり2両とも製造・整備コストの高い電動車にする必要があるため、地方路線だと経済的ではないと考えられていました。
このため、当時大量製造されていた103系通勤形電車をベースに、電動車1両で運行できる「1M方式」で開発されたのが、105系電車です。地方向けの新型電車として1981(昭和56)年に登場しました。翌年登場の119系近郊形電車とともに「新性能1M国電」と呼ばれることもありました。
前面窓付近は、201系などに採用されていた当時流行の黒色ジンカート処理が施されていました。これは鋼板表面に亜鉛めっきを施し、さらに黒色化した防錆処理で、塗装を省略しつつ耐久性を高める目的がありました。貫通扉の設置で黒い部分が分かれていたことから、「パンダ」の愛称が付けられていました。
105系は1M1Tの2両編成を基本とし、必要に応じて1М2Tの3両編成も組めました。車体は103系を基本としつつ、腐食対策などで201系の構造を取り入れ、地方向けのため片側4扉を3扉に改めていました。また、側面に行先表示器が装備されているのも、103系との違いでした。
座席はロングシートですが、長時間の乗車に配慮して座面の奥行を5cm深くし、高さを2cm下げています。これは足が投げ出しやすくなるため、混雑する大都市圏向けの車両には取り入れにくい構造です。
座席鉄である筆者(安藤昌季:乗りものライター)は、国鉄形ロングシートの座り心地を元々高く評価していますが、105系のロングシートは最新式車両に勝ると感じます。
中国地方の路線から投入
1981(昭和56)年、105系が最初に投入されたのは福塩線・宇部線・小野田線でした。これらの路線では長年にわたり105系が運用されています。60両が製造されましたが、1984(昭和59)年からは改造車も登場しました。
改造車は、203系投入で余剰となった常磐緩行線向けの103系を中心に製作され、61両が追加されました。このグループは片側4扉で、側面に行先表示器がなく、側扉の自動/半自動切り換えができないなど、103系の特徴を残していました。改造種車の前頭部構造を残した車両も多くあり、貫通扉を備えた地下鉄用の103系1000番台の顔を最後まで色濃く残していました。
この改造された105系は桜井線・和歌山線・可部線・仙石線などに投入されました。なお、新造された車両グループは中間車であるモハ105形とサハ105形に、1984~1985(昭和59~60)年に運転台が設置され、結果として登場から3~4年で形式消滅しています。
105系は登場当初、製造コスト削減の観点から冷房装置が搭載されていませんでしたが、1985~1992(昭和60~平成4)年に冷房化されています。また1989(平成元)年から、ワンマン運転対応のために車外スピーカーや運賃箱が設置されています。
2002(平成14)年から新造車グループは体質改善工事が行われ、側窓の交換や腐食しやすい場所のステンレス化、冷房装置の換装が行われました。また、この際にクハ104形にトイレが設置されています。
105系は奈良・和歌山地区、可部線・呉線・仙石線からは引退し、103系改造の4扉車両についてはすでに消滅しています。しかし、新造車グループは、現在も福塩線・宇部線・小野田線で使われています。
近接する下関地区の113・115系への新型車両投入が発表され、いよいよ国鉄形の淘汰も最終局面に来ていますが、105系については現在のところ具体的な引退の話は出ていません。今後の動向は不透明ながら、最後まで国鉄の雰囲気を残した車両として活躍するでしょう。事故などなく、走り通してほしいものです。
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