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米軍のイージス艦に見慣れないハコ見っけ!「アレ何?」←士官「答えられません」その正体は?

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  • 乗りものニュース
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シンガポールでレーザー兵器を積んだアメリカ海軍の駆逐艦に乗ることができました。しかし、乗員に詳細を聞こうとすると途端に口ごもり、最終的に「グーグル」で調べろとの答え。一体どのようなものなのでしょうか。

詳細は「グーグルで調べて」ナゾの新型装備を発見!

 シンガポールで2025年5月に開催されたIMDEX(国際海軍防衛展示会)では、アジア太平洋地域の各国から様々な軍艦が参加し、イベントの一環でそれら艦艇の一般公開も行われました。アメリカ海軍からは、日本の横須賀基地を事実上の母港としているアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「デューイ」が参加。そこで筆者(布留川 司:ルポライター・カメラマン)は、乗艦してきました。

Large figure1 gallery4IMDEXに参加したアメリカ海軍のアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「デューイ」。赤い矢印で指したものが「ODIN」(布留川 司撮影)。

 デューイの前部甲板に行ったとき、そこに見慣れない機器があったのに気がつきました。それは艦橋の前方下付近にあるステージのような張り出し部分に設置されていました。ここには、本来ならば20mmバルカン砲と射撃レーダーを組み合わせた個艦防空システム「CIWS」(近接防空システム)が設置されている場所です。しかし、「デューイ」はこの場所に、ターレット型のセンサー装置のようなものを搭載していたのです。

 その見慣れない機器について筆者は案内をしていた女性士官に「あれは何ですか?」と聞いてみました。その質問の意図は積極的なものではなく、団体行動で次の見学のための待ち時間を潰すためであり、「今日はいい天気ですね」といった世間バナシ程度のものでした。しかし、彼女の回答は非常に不可解なものでした。

「あれは……、『オーディン』という名前です……。詳細な情報は伝えることができないのでグーグルで検索して下さい」

 軍隊など安全保障に関わるものを取材する場合、軍事機密を理由に「答えられない」と言われることは間々ありますが、「ネットで調べて」というのは珍しいケースで、逆に筆者はこのターレット式の機器に強い興味を持つことになりました。士官が教えてくれた「オーディン」という名前をヒントに調べると、その答えは簡単に出てきました。

 結論から先に言えば、この機器は「AN/SEQ-4 ODIN(オーディン)」という名称のレーザー兵器です。

目くらましが目的の非殺傷兵器

 レーザー兵器といえば、一般の人々はSFの世界に登場する光線兵器をイメージすることでしょう。銃弾やミサイルの代わりに光体が飛翔し、目標に命中すると爆発して対象物を破壊するというもの。しかし、「ODIN」はそのような攻撃兵器ではなく、レーザーを使用して目標のカメラセンサーを妨害する非殺傷兵器です。

Large figure2 gallery5駆逐艦「デューイ」の前部甲板。手前にあるのがミサイルを収納したVLS(垂直発射装置)で、その後ろの台座に設置されているのが「AN/SEQ-4 ODIN」(布留川 司撮影)。

 名称の「ODIN」と は「Optical Dazzling Interdictor, Navy」(オプティカル・ダズリング・インターディクター・ネイビー)の頭文字を取った造語で、日本語に訳すと海軍用光学目眩まし妨害装置となります。ダズリング(Dazzling)の原型であるダズル(dazzle)とは「強烈な光で目をくらませる」という意味があり、このことから「視界を奪う非致死性兵器」をダズラー(Dazzler)と呼んだりもします。

「AN/SEQ-4 ODIN」はレーザーを使ったダズラー兵器で、飛来する無人機のカメラセンサーにレーザーを照射して、その無人機を撃墜することなく偵察能力だけを奪うことを目的にしています。

 近年、無人機の活用は陸海空のあらゆる戦場で進められており、海軍においても無人機に対抗できる兵器の開発は急務となっていました。「ODIN」も2017年に承認され、約2年半という短い期間で実用化された装備で、駆逐艦「デューイ」以外のアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦にも搭載が進められており、最終的に8隻の艦に装備される予定です。

 ただ、「AN/SEQ-4 ODIN」はアメリカ海軍のレーザー兵器開発において実用化を急いだ急造の兵器ともいえ、すでに、より高性能なレーザー兵器の開発が進められています。

将来的には攻撃も可能なレーザー兵器へ進化

 それが「HELIOS」(High Energy Laser with Integrated Optical-dazzler and Surveillance)と呼ばれるシステムで、こちらは60キロワット級(将来的には120キロワットへ拡張可能)の高出力レーザーを照射可能です。センサー妨害に加えて、無人機や小型ボート、巡航ミサイルの物理的破壊も可能とされています。

Large figure3 gallery6駆逐艦「デューイ」の艦橋部分。中央に設置されたターレットが「AN/SEQ-4 ODIN」。中央の本体はセンサー窓を破損させないために、後ろ向きになっている(布留川 司撮影)。

 アメリカ海軍は2007年から艦載用レーザー兵器の開発に着手しており、最初の技術実証モデルである「AN/SEQ-3 LaWS」(Laser Weapon System)は、2014年にドック型輸送揚陸艦「ポンス」(退役済)に搭載して試験を実施しています。

 その後、開発リスクの分散と段階的な戦力化を図る形で、複数のモデルが並行して開発されており、「AN/SEQ-4 ODIN」は2020年に駆逐艦「デューイ」に搭載して実用化され、得られた技術的知見は、より高出力な「HELIOS」開発へと反映されるようになっています。

 さらにアメリカ海軍では、「HELCAP(High Energy Laser Counter Anti-Ship Cruise Missile Project)」と呼ばれる別の計画で、300キロワット以上の大出力レーザー兵器の研究も進行中です。

 「AN/SEQ-4 ODIN」は、こうした艦載レーザー兵器開発の過渡期における重要な装備であり、その成果は今後の艦隊防御戦術や技術革新に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 冒頭で出会った女性士官が多くを語らなかった理由も、「ODIN」がアメリカ海軍にとって極めて重要な存在であることを物語っているのかもしれません。

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