糖尿病と歯の健康、実は深くつながっている──佐賀県・元町歯科診療所 古賀先生に聞く「医科歯科連携」のいま
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医科歯科連携が糖尿病の重症化を予防
歯周病と糖尿病、実は“相互に悪影響”がある関係です
糖尿病は、血糖値のコントロールが難しくなる病気ですが、実は歯周病があるとその血糖コントロールがさらに難しくなることが研究でわかってきました。逆に、歯周病を治療すると血糖値が改善するというデータも。つまり、歯の健康は糖尿病の治療・予防と深く関係しているのです。
古賀先生は次のように話します:
「歯周病の治療を受けると、血糖値が改善したり、しっかり噛めるようになることで食生活も良くなり、結果的に肥満や糖尿病の重症化を防ぐことにつながるんです」
さらに、定期的に歯科医院を受診している方は、そうでない方に比べて年間医療費が少ないという報告もあるのだそう。歯科は糖尿病対策の“入り口”になりうるのです。
佐賀県が県ぐるみで“歯科と医科の連携”に乗り出した理由
佐賀県では2015〜2019年にかけて、糖尿病および予備群の割合が全国で最も高い状況にありました。古賀先生は「佐賀は車社会で、歩かない文化がある」と話し、生活習慣がその一因ではないかと指摘します。危機感を抱いた県は、2019年に医師会・歯科医師会・薬剤師会・看護協会とともに「5者連携協定」を締結。県ぐるみで糖尿病の重症化予防に取り組む体制を整えました。
古賀先生は当時から歯科医師会の地域保健委員会委員長として、医科歯科連携の推進をリード。自らも「糖尿病療養指導士」の資格を取得し、歯科からできるサポートを模索してきました。
「制度を整えるだけで連携は生まれません。“人と人のつながり”が何より大切なんです」
歯科から医科へも紹介する──情報共有を支える“佐賀県独自の仕組み”
医科歯科連携でカギとなるのが「情報共有」。そこで佐賀県では、紹介状を書くハードルを下げるために、チェックリスト形式で簡単に記入できる診療情報共有フォーマットを作成し、歯科医師向けに提供しています。医科側にも返書テンプレートを整備し、双方向のやりとりがしやすい環境を整えました。
また、糖尿病の管理には、医科・歯科・患者の三者で情報を共有できる「佐賀県糖尿病連携手帳」を活用。歯科医師会でも、歯科での注意点をまとめた「診療ガイド」を配布するなど、現場を支える工夫が進められています。

医師と歯科医師がつながる「顔の見える関係づくり」も推進
「紹介したいけど、どの歯科医院に送ればいいかわからない」 「医師と話すのがちょっと苦手」
──そんな声を埋めるため、県では医師・歯科医師の交流会や研修会を開催。顔の見える関係を築くことで、連携が生まれやすい環境を作ってきました。
「医師と歯科医師が顔を合わせる機会があると、自然と連携も進みやすくなります」
こうした地道な取り組みによって、少しずつではありますが、医科歯科連携の実績が積み上がってきているそうです。
また、連携が進みにくい背景として、歯科医師と医師との間にある“意識や知識の差”も指摘されています。糖尿病に関する最新のガイドラインを十分に知らない医師や、連携手帳の使い方に慣れていない歯科医院もあり、相互理解を深める継続的な情報共有や啓発が求められています。
糖尿病に不安がある人へ──「まず歯科の定期検診に行ってみてください」
「糖尿病の疑いがあり、普段歯科医院へ通院していないのであれば、まず歯医者に行ってみる。それがすごく大きな一歩になると思います」
と古賀先生。歯の痛みがないと足が向きづらい歯科医院ですが、定期的な歯科検診は糖尿病の早期発見や重症化予防にもつながります。
「医科歯科連携に強い歯科医院」を見分けるポイント
連携に力を入れている歯科医院を探すには、以下のようなポイントも参考になります:
●有病者歯科や歯周病、老年歯科の学会認定医や専門医が在籍しているか
●糖尿病など全身疾患への対応を明記しているか
●「糖尿病療養指導士」「日本糖尿病協会登録歯科医師」などの資格保有者がいるか
古賀先生によると、下記のような学会に所属している歯科医師は、医科歯科連携への理解が深いことが多いとのことです。
●日本有病者歯科医療学会
●日本老年歯科医学会
●日本歯周病学会
●日本口腔外科学会
【糖尿病以外の事例】がん治療で求められた“歯科の力”
佐賀県鳥栖市には、重粒子線がん治療の施設「九州国際重粒子線がん治療センター」があります。ある患者さんの放射線治療を始めるにあたり、口の中の金属(銀歯など)がCT撮影の妨げになるため、短期間で除去してほしいという依頼があったそうです。
「がんの治療を控えた患者さんの依頼で、放射線治療に支障が出ないよう、短期間で金属除去を行ったことがあります。通常のペースでは間に合わず、優先して対応しました。患者さんの予後にも関わるため、歯科が迅速に動く必要があるケースもあります」
このように、糖尿病だけでなく、がんなど他の疾患においても、医科歯科連携の重要性は今後ますます高まっていくと考えられます。
古賀先生は、長年にわたり大学で歯科口腔外科学を専門にされてきました。日本がん治療認定医機構のがん治療認定医(歯科口腔外科)の資格を持ち、久留米大学医学部歯科口腔医療センターの講師も務められていた経歴から、がん治療における初期対応の重要性を深く理解されています。治療開始のタイミングが患者の予後に大きく関わることを十分に認識しているため、迅速な対応が求められる場面でも的確に判断・対応されています。
歯科タウン編集部より──お口のケアから全身の健康を守る時代へ
取材を通じて感じたのは、歯の健康が糖尿病とこんなにも密接に関わっているという事実。そして、佐賀県のように地域ぐるみで連携を進めることで、患者さんがより安心して医療を受けられる仕組みが少しずつ形になってきているという希望です。
歯科タウンでは今後も、「医科歯科連携」や「お口と全身の健康の関係」について、わかりやすく伝える記事を発信していきます。
各地域で活躍する歯科医師や、歯科医師会・医師会・大学病院・自治体などによる連携の取り組みも紹介しながら、全国の皆さんにとって参考になる情報をお届けできればと思います。
不安を感じたその時に、まずは“歯医者さんに相談してみる”こと。 それが、糖尿病対策の第一歩になるかもしれません。
▼取材協力
元町歯科診療所 院長
「皆さんに信頼される歯科医師を目指して、日々努力しています。これまで学んできたことをいかして、誠実な治療をこころがけています」
1999年 九州大学歯学部卒業。歯科口腔外科を専門とし、大学病院では口腔外科手術や有病者歯科治療に長年従事。日本口腔外科学会認定専門医・指導医、日本口腔診断学会認定指導医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医(歯科口腔外科)。久留米大学医学部歯科口腔医療センター講師を歴任。現在も佐賀県鳥栖市にて地域医療に携わる。佐賀県歯科医師会・地域保健委員長、日本糖尿病協会歯科医師登録医、鳥栖市立若葉小学校 校医(2014年~)。
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元町歯科診療所医院住所:〒841-0051 佐賀県鳥栖市元町1300-1 |
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