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明石海峡大橋の「新幹線計画」が幻に終わったワケ 今も残る「謎の巨大空間」

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  • 乗りものニュース
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瀬戸大橋は道路の下を鉄道が通っていますが、明石海峡大橋に鉄道はありません。しかしかつてはここに新幹線が通る計画があり、それを思わせる構造が現地に残っています。

もともと新幹線を通すはずだった明石海峡大橋

 本州四国連絡橋(本四架橋)ルートの1つ、「神戸・鳴門ルート」(兵庫県明石市~同淡路島~徳島県鳴門市)の一翼を担う「明石海峡大橋」は、1998年4月の開通以来20年以上にわたり「中央支間(2本の主塔の間)1991m」で世界一を誇っていました。現在そのトップの座は、2022年3月18日に開通したダーダネルス海峡に架かるトルコの吊り橋「チャナッカレ1915橋」(同2023m)に明け渡しています。

 その明石海峡大橋、今でこそ神戸淡路鳴門自動車道の自動車専用橋ですが、実は約50年前の計画段階では、四国新幹線の通行も想定した道路鉄道併用橋でした。

Large 220601 akashi 01本州と淡路島をむすぶ明石海峡大橋(画像:写真AC)。

 具体的には橋桁を上下2層構造として上層に高速道路、下層に新幹線をそれぞれ通すというスタイルです。その姿は瀬戸大橋の一部をなす南北の備讃瀬戸大橋(上層は瀬戸中央自動車道、下層は本四備讃線)や、東京港に架かるレインボーブリッジ(上層は首都高速道路、下層は一般道および新都市交通「ゆりかもめ」)と酷似しています。

 そしてその構想の面影が、現地に残っています。明石海峡大橋の神戸市側の展望室「舞子海上プロムナード」に行けば、橋桁の下部に謎の巨大空間があることがわかります。訪れた人のほとんどは「どうして桁の下にこんなにも無駄な空間があるのか」と怪訝に思うのではないでしょうか。

違和感がある明石海峡大橋の構造

 常識で考えれば、吊り橋の桁は軽い方が有利で、となれば桁の厚さは薄いに越したことはありません。もちろん例外はありますが、世界一となったチャナッカレ1915橋はもちろん、世界3位の「武漢楊泗港(ようしこう)長江大橋」(2019年完成、中央支間1700m)や同4位の「西澳門(せいおうもん)大橋」(開通2009年。同1650m)、「大ベルト橋・イーストブリッジ」(同1998年。同1624m)など世界有数の吊り橋のほとんどは、桁が薄いことが分かります。

 しかし明石海峡大橋の場合、桁が比較的「ゴツい」印象があります。これは強風時に安定性を持たせるため、1層式の桁の下へさらにトラス構造の桁「補剛桁」を設けているからです。周囲の地理的条件が強風を起こしやすいことや、例年の台風に備えなければならないためのようです。

 ところがこれを勘案しても、この橋の補剛桁は大袈裟な印象が拭えません。補剛桁には中央部に管理用通路が設けられているものの、よく見ると、その通路は真ん中ではなく片側に寄るなど不自然さが漂っています。また天井までの高さは優に7~8mあり、真ん中部分にぽっかりと空いた空間も「何かを通すゾ」感が満載で、橋梁の強度などはともかく、鉄道を複線で通すのも問題がなさそうです。

 これらを勘案すると、やはり前述のとおり新幹線を通そうとした設計の一部の”残滓”が、そこはかとなく残っているのかもしれません。

 事実、神戸・鳴門ルートのもう1本の吊り橋で、明石海峡大橋と対をなす姉妹橋・「大鳴門橋」(淡路島~四国、全長1629m、最大支間長さ876m)は明確に2層式で建設されています。そして、こちらの下層には、将来的にフル規格の新幹線を複線で敷設できる準備がされているのです。

高度経済成長期に夢見た徒花か

 このように姉妹橋の鳴門大橋には新幹線を通すためのバッファーがちゃんと用意されているのですが、なぜか明石海峡大橋の方は、2層式による新幹線の敷設は最終的に白紙となってしまいました。

Large 220601 akashi 02淡路島と四国をむすぶ大鳴門橋(画像:写真AC)。

 最大の理由は「費用対効果」だと言われています。本四架橋プロジェクトは高度経済成長末期の1970年代初めに盛り上がりを見せますが、1973(昭和48)年の石油ショックで一転します。 

 莫大な建設費(当時「1ルート・1兆円」と言われていた)はもちろん、四国の有力政治家による我田引水ならぬ“我田引橋”がまかり通って、瀬戸内海に合計3本の連絡ルートを建設し、うち最低でも2本を道路・鉄道併用橋(在来線共用)とする構想が出されていました。

 ただし、さすがの政府もこれは「無理・無茶・無謀」と危機感を抱いたようです。すでに国鉄の赤字は天文学的数字で、分割民営化は避けられない状況に陥り、本四連絡橋の運営を国鉄が引き受けるなどもっての外の状況でした。それ以前に採算性を度外視した「政治路線」の発想はもはや時代が許さない状況で、四国の人口規模を考えれば四国新幹線の黒字化は「夢のまた夢」であったのです。

 最終的に道路鉄道併用橋は現行のように瀬戸大橋1本だけとし、しかも鉄道は在来線だけで新幹線敷設は中止、という姿で決着したわけです。

 それでも四国の政治家や地元は最も採算性が望めそうな神戸・鳴門ルートでの新幹線敷設に固執しましたが、逆にこのままの状態では吊り橋の完成は延期するばかりでいつまでたっても橋はかからない、という危機感から、ついに道路鉄道併用橋を諦め道路単独の吊り橋へと大きく舵を切りました。

 そして地元を説得させるためだったのでしょうか、大鳴門橋のほうは将来新幹線を敷設できる設計とし、1985(昭和60)年に開通。一方で、明石海峡大橋の方は「中央支間が極めて長く、技術的にかなり難しい工事になる」や「新幹線を敷設しても本州側の山陽新幹線の新神戸駅にスムーズにアクセスできるほどの距離がない」などを理由に、最終的に幻となってしまいました。

 ちなみに「四国新幹線」構想自体はまだ地元四国で息づいており、瀬戸大橋を活用する案を中心として、現在でも地元政財界で検討や国への要望が続けられています。

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