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ロシア最新「自爆ドローン」を分解→海外製部品がゾロゾロ! 制裁中なのになぜ入手できる?

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  • 乗りものニュース
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ロシアの最新兵器を分解したら「外国製品」がゾロゾロ

 ロシア軍が2026年5月からウクライナへの攻撃に投入している、最新のジェット推進式の自爆型ドローン「ゲラン4」。2026年9月24日、国際報道機関RFE/RL(ラジオ・フリー・ヨーロッパ/ラジオ・リバティ)は、この機体を実際に分解し、内部を調べる映像を公開しました。

Large figure1 gallery2 ウクライナで撃墜されたゲラン4の残骸(ウクライナ国防省情報総局〈HUR〉)

 ゲラン4は全長約3.5m、翼幅約3mの無人機です。ウクライナ国防省情報総局(HUR)によると、最高速度は最大500km/hに達し、50kg級に加えて90kg級の弾頭を搭載できる仕様も確認されています。従来のプロペラ推進のゲラン2とは異なり、ターボジェットエンジンを搭載しているのが大きな特徴です。

 ゲラン4のようなジェット推進型ドローンは、ウクライナへの攻撃でその投入数が急増しています。ウクライナ空軍によると、2026年7月にロシアが使用したジェット推進型ドローンは前月の約5倍に増加しました。また8月下旬には、4日間に飛来した1500機以上のドローンのうち、800機以上がジェット推進型だったとされています。

 RFE/RLの映像では、機体内部からターボジェットエンジンのほか、カメラ、通信装置、航法装置などが次々と取り出されています。高速化によって従来型より迎撃が難しくなっており、ウクライナ側にとって新たな脅威となっています。

 ところが、その中身を見ると興味深いことが分かります。搭載されている電子部品を調べると、ロシア製兵器でありながら、外国メーカーの製品が多数確認されているのです。

 HURが公開しているデータベースでは、中国Telefly製のターボジェットエンジンや中国製通信機器のほか、米Texas Instruments製半導体、英国Raspberry Piのコンピューターなどがゲラン4から確認されています。さらに日本メーカーでは、東芝製フォトトランジスターやニチコン製コンデンサーも掲載されています。

 最新鋭の軍用ドローンと聞けば、特殊な軍用部品ばかりで作られていると思うかもしれません。しかし、その実態はかなり違うようです。

「シャヘド」から数年でジェット化 なぜこんなに開発が速い?

 そもそもゲランシリーズ自体、ゼロからロシアが開発した兵器ではありません。

Large figure2 gallery3 ウクライナで撃墜されたゲラン4の残骸(ウクライナ国防省情報総局〈HUR〉)

 原型となったのはイランが開発した自爆型ドローン「シャヘド136」です。ロシアは2022年にイラン製シャヘドをウクライナ戦線へ投入し、その後、国内でゲラン2として生産を拡大していきました。

 しかし、単純にコピーして大量生産しただけではありません。ウクライナ側が電子妨害や迎撃ドローンなど新たな対策を導入するたび、ロシア側も航法装置や通信機器、カメラ、飛行方法などを変更してきました。

 米シンクタンクCSISは、ゲランシリーズについて「完成した兵器を作って終わり」にするのではなく、改造型を実戦で試し、効果のあったものを量産型へ取り込み、うまくいかなかったものは捨てるという継続的な改良が特徴だと分析しています。そのサイクルは「年」ではなく「数週間」単位で進んでいると指摘しています。

 その急速な変化を象徴するのがジェット化です。

 ゲラン3では、プロペラ推進のゲラン2を基にジェットエンジンを搭載しました。しかしHURによると、従来の機体構造では高速飛行に対する強度が足りず、大きなGがかかる機動にはさらに不向きであることが分かりました。

 そこでゲラン4では、単にエンジンを載せ替えただけではなく、高速飛行に適した専用の機体へ設計を変更。機体構造を強化するとともに、翼を機体へ固定し、空気抵抗を減らすため胴体のハッチ類も減らしています。300~400km/hで機動し、最大500km/hまで加速できるとHURは説明しています。

 つまりロシアは、実戦で問題点を見つけ、それを次の機体へ反映するという改良を繰り返しているわけです。

なぜ「海外製部品」なのか? 既製品を使えば開発が速い

 こうした異常ともいえる開発速度を支えている要素のひとつが、世界中ですでに生産されている電子部品の利用です。

Large figure3 gallery4 迎撃ドローンが捉えたゲラン4。ウクライナ軍第1020高射ミサイル・砲兵連隊が迎撃した際の映像(画像:ウクライナ軍)

 そもそもロシアにも電子産業は存在しますが、半導体や電子部品だけでなく、それらを製造するための装置や材料などでも外国技術への依存が残っています。すべての部品を国内だけで大量かつ安価にそろえることは容易ではありません。

 しかし、外国製品が使われる理由は「ロシアでは作れないから」だけではありません。

 新しいドローンを作るたび、通信装置や半導体、センサーまで専用品を一から開発していては時間がかかります。そこで、世界市場ですでに大量生産されている製品を組み合わせれば、開発期間を短縮できます。必要な性能を持つ別製品が見つかれば、それに合わせて設計を変更することも比較的容易です。

 特に、戦況に合わせて数週間単位で改良を続けるゲランのような兵器では、性能や価格、供給量を見ながら既存部品を使い分ける方が、すべてを専用品として国産化するより合理的な場合があります。

 RFE/RLがHUR関係者に取材したところ、ゲランシリーズではロシア製部品への置き換えも進められているものの、米国、日本、ドイツ、スイスなどの企業が製造する部品も依然として大きな割合を占め、中国製品も約3分の1を占めるとされています。

 では、なぜ経済制裁を受けているロシアがこうした製品を入手できるのでしょうか。

 ポイントは、ゲランに使われている部品の中には、兵器専用ではなく、民生用の電子部品も数多く使われていることです。こうした製品は世界中に大量に流通しているため、最終的に誰の手に渡り、どのような用途に使われるのかを完全に追跡するのは容易ではありません。

 RFE/RLによれば、ロシアは第三国を介した複雑な調達網も構築しており、ゲランから回収された外国製部品の中には、製品の出所や供給経路を追跡しにくくするためとみられる、製造番号などのマーキングをレーザーで消した部品も確認されています。

 このような問題は日本政府も警戒しています。経済産業省は、日本を含む主要国がウクライナで回収されたロシア軍兵器の部品などを調査してまとめた「Common High Priority Items」を公表しています。ロシア以外の国や地域へ輸出する場合であっても、第三国を経由した制裁迂回に利用されないよう注意することを企業に求めています。

 つまり、日本を含む外国メーカーの部品がゲランから見つかったからといって、それらの企業がロシア軍向けに直接供給したとは限りません。一般市場に流通した製品が複数の業者や国を経由し、最終的に兵器へ組み込まれる可能性もあるため、その流通を完全に遮断するのは容易ではないのです。

日本も無縁ではない「買っただけでは終わらない」ドローン兵器

 そして、このゲランシリーズの急速な変化は、日本にとっても無関係ではありません。

Large figure4 gallery7「ゲラン4」のCGモデル(画像:ウクライナ国防省)

 防衛省・自衛隊も無人機の導入を急速に進めています。2026年版防衛白書では、2027年度中に「SHIELD」と呼ばれる無人アセットによる多層的沿岸防衛体制を構築する方針を示し、「安価かつ大量」のUAV(無人航空機)、USV(無人水上航走体)、UUV(無人水中航走体)を取得する計画を明記しています。

 一方、同じ防衛白書がウクライナ戦争の教訓として強調しているのが、装備品の更新速度です。白書は、ウクライナの戦場では「従来と比べ、極めて短いサイクルで装備品や戦術が更新」されていると指摘しています。さらに、ウクライナが2024年だけで少なくとも230万機のUAVを生産したとする同国政府の発表も紹介しています。

 つまり、ドローン兵器は一度導入すれば、同じ機体をそのまま長期間使い続けられるとは限りません。ある通信方式への妨害が始まれば通信装置を変え、迎撃方法が変われば飛行速度や高度、場合によっては機体そのものを変更する。ゲランシリーズの変化は、その競争が数週間単位で進む可能性を示しています。

 しかもドローンは、大量使用と大量損耗を想定しなければならない兵器になりつつあります。防衛白書も、ウクライナ戦争では装備品や弾薬が急速なペースで消費されていると指摘し、備蓄だけでなく、装備品の開発・生産・維持整備を担う防衛生産・技術基盤を強化し、持続的に戦える能力を確保する重要性が浮き彫りになったとしています。

 その意味で、日本の無人機整備でも「どのドローンを何機買うか」だけではなく、戦場で得られた情報を短期間で設計へ反映できるのか、必要に応じて部品やソフトウェアを変更できるのか、そして大量に失っても補充できる生産体制をどう構築するのかという点も重要な論点になりそうです。

 ゲラン4から見つかった数多くの外国メーカー製部品は、単なるロシアの制裁回避を示しているだけではありません。世界中にある既存技術を取り込み、戦況に合わせて「作り続け、変え続ける」。ゲランシリーズは、ドローン兵器の普及によって、兵器に求められるものが「完成時の性能」だけではなく、「どれだけ速く改良し、どれだけ大量に作り続けられるか」へと広がっていることを示す一例といえるでしょう。

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