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「阪急電車?どれも同じじゃないですか!」のルーツ 60歳超の最古参車がついに引退へ 最後の「電車でD」

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「阪急と能勢電の電車はどれも同じ?」の原形

 能勢電鉄で1990(平成2)年から使用されていた1700系電車が、2026年中に引退する予定です。もともと初代の阪急2000系として1960(昭和35)年に登場し、それから60年以上、能勢電鉄が譲り受けてからも30年以上も使用された車両の見納めが近づいています。

Large figure1 gallery62026年に引退予定の能勢電鉄1700系(柴田東吾撮影)

 阪急宝塚線の川西能勢口(兵庫県川西市)から分岐する「のせでん」こと能勢電鉄では、阪急電鉄から車両を譲り受けて使用しています。両社ともさまざまな電車が走っていますが、どれもマルーンに塗られているためか、どれも同じに見えてしまうようです。特に、長く活躍している車両ほどよく似ていて、コアな阪急ファンや能勢電鉄のファンでないと見分けることが難しいのかもしれません。

 今回引退することになった能勢電鉄1700系は、その“どれも同じ電車”の原形とも言える車両です。阪急の電車は片側3か所に扉があり、扉の間も窓が3つ、前から見ても窓が3つというデザインの車両ばかりです。

 最初に阪急の初代2000系として導入された際は、両開きの扉が阪急の車両で初めて採用されました。また、比較的角張った阪急電車のデザインを最初に取り入れたのも阪急の初代2000系からで、この車両のデザインが後につくられた阪急の車両に引き継がれたことで、“どれも同じ”に見られてしまうのかもしれません。

 この初代阪急2000系は登場当時、「人工頭脳電車」や「オートカー」とも呼ばれていました。新しいデザインとともに、走行機器でも革新的な技術が導入されたことが理由です。当時では珍しく、ブレーキの際に発生した電力を架線に戻す回生ブレーキの機能や、運転士の操作によって一定の速度で走行できる定速度運転制御の機能がありました。

 なお、能勢電鉄1700系は全てが元阪急の初代2000系というわけではありません。実際には初代2000系の宝塚線版の2100系と、初代2000系を基に架線電圧1500V・600Vの双方の電源で走行できた2021系に由来する車両もありました。2100系・2021系とも、見た目は初代2000系と同じです。

 こうした機能は複雑で、のちの改修で初代2000系・2100系ともども回生ブレーキや定速度運転制御の機能がなくなり、2021系は走行機器を外して2071系に改めています。

じつはマルーン1色じゃなかった能勢電鉄1700系

 今でこそ能勢電鉄1700系はマルーン1色ですが、移籍当初はオレンジとグリーンの2色に塗られていました。この色は比較的短い期間で終わり、塗り替えが行われています。その塗り替えにあたって、1993(平成5)年から翌年にかけてクリーム色を基にした試験塗装の車両が登場し、1700系以外の車両も含めて6種類の塗装がありました。

 この中から、クリーム色の車体に扉のまわりを淡い茶色とした塗装が採用され、前面の塗り分けを手直ししたものが本採用となりました。この色はファンの間から「フルーツ牛乳」とも呼ばれていました。

 しかし2003(平成15)年にはフルーツ牛乳の塗装をやめ、チョコレート色のマルーン1色に戻っています。

 車体色以外では、前面に行先表示器が追加され、のちにスカートも追加されています。車内は木目調の内装にゴールデンオリーブと呼ばれる緑色の座席のままですが、のちのワンマン化で運転台まわりに機器が追加されています。

6両編成もあった1700系

 1700系は4両編成9本が阪急から譲渡され、能勢電鉄の全車両を冷房付車両で揃えるのに役立ちました。能勢電鉄では4両編成を中心に、終点側の山下(兵庫県川西市)~日生中央(猪名川町)・妙見口(大阪府豊能町)間では2両編成も使用されています。

Large figure2 gallery7能勢電鉄1700系の運転台。ワンマン運転の機器が追加された(柴田東吾撮影)

 また、阪急からは2代目の2000系などが能勢電鉄直通の特急「日生エクスプレス」として、8両編成で大阪梅田から乗り入れています。

 かつては能勢電鉄で6両編成の列車が運行されていた時期があり、1700系も4両編成3本を6両編成2本に組み換えて使用していました。1700系の6両編成の営業運転は1996(平成8)年から行われ、2000(平成12)年に終了して翌年には4両編成に戻っています。

 その後、運行体制の縮小と後継車両の登場によって2005(平成17)年から廃車がはじまり、2025年以降は1757編成の残り1本となっていました。この編成は1962年製で、関西私鉄の一般電車でも最古参車の一つです。

 ちなみに、『頭文字D』という、走り屋の世界を描いた漫画がありますが、20数年前、クルマに代わって電車で速さを競うという同人誌『電車でD』が一部の界隈で流行りました。この『電車でD』の主人公が運転する電車が阪急の初代2000系でした。能勢電鉄1700系の引退によって『電車でD』のモデルとなった電車がなくなることになります。

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