なぜ熊本市電の追突事故起きた? 路面電車に安全システム付け難いワケ “ならでは”の理由も
- 乗りものニュース |

自動車と比べ鉄道は、列車どうしの事故は圧倒的に少ない傾向にありますが、どのような方法で安全運行を保っているのでしょうか。熊本市電で発生した追突事故を例に考察してみます。
電車がぶつからない仕組み
熊本市電の熊本城・市役所前停留所で2025年3月25日、電車どうしの追突事故が発生しました。自動車と比べると、列車の追突事故は全くといってよいほど聞きませんが、ではどのような方法で安全運行が保たれているのでしょうか。
道路と線路を併用している熊本市電(2024年11月、柴田東吾撮影)
日本全国の鉄道では数多くの列車が運行されていますが、これらの列車が互いにぶつからずに走行するため、列車どうしで安全を確保した間隔が厳守されています。「閉そく」という考え方です。
閉そくでは線路を一定の区間に区切り、その区間内には1本の列車だけを走らせると取り決めます。こうすることで、ひとつの閉そくには複数の列車は存在せず、列車どうしの正面衝突や追突を避けられます。
線路を区切った箇所には信号機を設け、線路に列車があることを検知する仕組みを備えます。列車が存在している際はそこを赤信号としておけば、ほかの列車が閉そくへ進入することはなくなり、事故は起こり得ません。
しかし、何らかの事情で運転士が信号を守らなかった場合、事故が起こる原因となってしまいます。このため、信号機と連動した保安装置を設け、列車を減速させたり停止させたりすることで事故を未然に防ぐようにしています。この保安装置としては、ATS(Automatic Train Stop:自動列車停止装置)やATC(Automatic Train Control:自動列車制御装置)が有名でしょう。
また、信号機は線路脇に置かれることが多いのですが、地下鉄のように信号機を設置するのが難しかったり、新幹線のような高速鉄道で信号機の目視が難しかったりする場合もあります。こういった鉄道では、運転台に信号を表示する車内信号方式を採用しています。
路面電車の場合はどうなる?
一方で、熊本市電をはじめとする路面電車では、閉そくによる列車間の安全確保を採用していない事例が多くあります。特に市街地で、自動車やオートバイなどと一緒に道路上を走る併用軌道の場合、路面電車だけに閉そくを設けるという考え方は現実的ではありません。
この場合、運転士が前方の見通しなどを考慮して運転しています。一般的な路面電車の場合では、軌道運転規則によって運転速度が定められているため、先行する車両に接近した際の速度なども、あらかじめ決められています。
路面電車は道路上で自動車と並走することもあり、スペースの観点からも信号機や保安装置を整備することが難しいことから、今回の熊本市電のような追突事故を完全に防ぐことは困難といえるでしょう。
安全運行の新しい取り組み
先述した通り、閉そくは線路を一定の区間で区切っていますが、これを列車や車両の動きに合わせて移動させることで列車間の安全確保を図るという、新しい方法が導入されつつあります。一例を挙げると無線式列車制御システムのCBTC(Communication Based Train Control)があります。これは、列車どうしで常に通信を行うことによって、お互いの位置を把握しあう仕組みです。
西武多摩川線における無線式列車制御システム(CBTC)の実証実験(画像:西武鉄道)
クルマの自動ブレーキのような仕組みを鉄道に応用できる?
地下鉄では、東京メトロ丸ノ内線で2024年12月から本格的に採用されました。ほかにも地方私鉄の伊豆箱根鉄道駿豆線などでも、CBTCに似たシステムで試験が行われています。
多くの鉄道では信号機によって閉そくを設け、列車の安全運行を保っている(2024年3月、柴田東吾撮影)
仮に路面電車でCBTCが採用されると、安全性が高められるのかもしれません。また、自動車ではセンサーによって事故を防ぐ仕組みを搭載した車両が増えていますが、これを路面電車に応用するのもひとつの手なのかもしれません。
ただし、ATSやATCなどの保安装置や、CBTCなどの無線式列車制御システムは、列車や車両のブレーキが確実に働くことが前提となっています。今回の熊本市電の追突事故では、線路上から油分が確認されたという報告もあり、これによって車両のブレーキ性能が低下した場合には別の話となってしまいます。
多数の車両を連結した長い編成の列車では近年、ある車軸でブレーキ性能が低下した際にほかの車軸のブレーキを強くすることで、全体としてブレーキの性能を保つという仕組みが採用されつつあります。ただ、路面電車の場合は1両で走ることが多いので、ブレーキ性能の低下を補う仕組みを備えにくいのが実情です。
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