都電の線路を移設しての大工事 何を造っている? 雑司ヶ谷は「大正~令和の3階建て」に
- 乗りものニュース |

都電荒川線の鬼子母神前~都電雑司ヶ谷付近で、線路の移設を伴う道路などの大がかりな工事が行われています。完成すると、大正から令和まで4つの時代の「都市計画」が、「3階建て」で実を結びます。
2つの性格を持つ工事
都電荒川線の起終点、早稲田から2つ目の学習院下停留場。ここを発車した都電の電車は、学習院大学の林を横目に見ながら、目白台の丘へと上っていきます。
線路に並行して明治通りが伸び、途中、線路と明治通りは、丘上を横切って伸びる目白通りの千登世橋をくぐり抜けます。アーチスタイルが美しい千登世橋は、日本最初の幹線道路どうしの立体交差橋(1932〈昭和7〉年竣工)です。
鬼子母神前~都電雑司ヶ谷間。線路の逆S字カーブが線路移設を示している(2022年2月、内田宗治撮影)。
丘を上った先の停留場が鬼子母神前。現在、この付近から次の都電雑司ヶ谷停留場付近まで、都電の線路を十数メートル移設しての大規模な道路工事が行われています。現場には、「環状第5号線工事」との看板が。環状7号(環七通り)、環状8号(環八通り)の名はよく知られていますが、環状5号とはどういう通りで、線路を移設しての工事はどのようなものなのでしょうか。
工事区間は、明治通りの千登世橋付近(豊島区高田3丁目)~豊島区役所付近(南池袋2丁目)の延長1400mです。この工事には、おおざっぱにいうと2つの性格があります。
1つは、池袋駅前を通る明治通りのバイパスの建設です。この道路ができれば、同駅の東側500mほどの場所を通り抜けることになり、池袋駅前の混雑が緩和されるはずです。もう1つは、今から90年以上前、昭和初期に東京特別都市計画委員会により告示された環状1~8号線道路の未完成部分の建設です。上記の工事区間は、環状5号の未開通区間にあたります。
けっこう途切れている「環状線」
昭和初期の都市計画決定にあたり、環状7号と8号は、原則として大きな道路のなかった所に計画されましたが、とくに環状1号から4号は、既存の道路をいわば無理やりつなぎあわせて命名したものでした。東京はもともと江戸城を中心とした城下町で、環状1号が皇居内濠付近を一周、環状2号が外濠沿いにほぼ半周など、同心円状に道路が造られていた区間が存在します。以下、外周に向かって順に3号~8号へと続きます。
・環状3号…外苑東通り、言問通り、三ツ目通りなどにより構成
・環状4号…外苑西通り、不忍通り、明治通り、丸八通りなどにより構成
・環状5号…明治通りなど
・環状6号…山手通り
環状3号・4号の場合、山手線の内側エリアでも、つながっていない区間が長くあり、たとえば播磨坂(文京区小石川)は環状3号の一部ですが、その両端から先の数kmは未完成です。
明治通りは港区南麻布から江東区夢の島まで、都心のやや外側を半周していますが、西側では環状5号の一部区間、北側では環状4号の一部区間に位置づけられる一方、東側では「環状○号」といった位置づけはなされていません。また西側でも、池袋駅付近の明治通りは環状5号から西に飛び出る形になっており、本来の環状5号区間は、今回バイパスのような形で建設する区間でした。
「大正の線路」、令和の時代も共存に向け
この未完成区間の環状5号は平成時代に計画のアレンジがなされ、千登世橋付近から池袋方面に向けて845mがトンネルへと変更されました。ちょうど東京メトロ副都心線が下を通っている区間です。
環状5号のルート(国土地理院の地図を加工)。
鬼子母神停留場の付近では、地上に都電と環状5号の側道、地下1階に環状第5号の本線、地下2階に東京メトロ副都心線といった、地上地下あわせて3階建てとなります。都電の雑司ヶ谷~鬼子母神前間が1925(大正14)年、鬼子母神前~面影橋間が1928(昭和3)年の開業(いずれも当時は王子電気軌道)、東京メトロ副都心線が2008(平成20)年開業(池袋~渋谷)なので、大正、昭和、平成、そして令和の環状5号という、4つの時代にわたる交通機関・施設が地上と地下に折り重なることになるわけです。竣工は2027(令和9)年度が予定されています。
なお、都電荒川線の東池袋四丁目~向原間でも線路を移設しての大がかりな工事が行われていますが、こちらは補助81号線(道路)の工事に伴うものです。
都電は、全盛期の1962(昭和37)年には全40系統(26系統はトロリーバス化で欠番)、営業キロ数213kmの路線が都心に張り巡らされていました。道路の渋滞緩和のために1967(昭和42)年からものすごいペースで廃止が始まり、1972(昭和47)年以降は都電荒川線だけになってしまいました。
そうした時代を経て生き残ってきた都電荒川線も、他の交通手段と共存するために、今回のような線路を移動させての工事などで、その姿を変えてきているのです。
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