どうせ読むならポイント貯めない?

戦車砲なぜ「ツルツル」がいい? 西側の戦車は全て“先祖返り”に「最後の砦」英国が採用した理由とは

2,286 YOU
  • 乗りものニュース
  • |

戦車の砲身は、ライフリング(溝)が刻まれていない滑腔砲です。この形式は19世紀以前のトレンドでしたが、溝付きの普及により一度は廃れ、また主流になったのです。

イギリスもついに“ツルツル”砲身のテストを行う

 イギリスの兵器関連企業RBSL(ラインメタル・BAEシステムズ・ランド)がテストを進めているイギリス陸軍向け主力戦車「チャレンジャー3」。この戦車の大きな特徴は、主砲がイギリス伝統の120mmライフル砲から、ついにラインメタル製の120mm滑腔砲に換装された点です。

Large figure1 gallery4テスト中の「チャレンジャー3」戦車の試作車。同車には滑腔砲が採用される予定だ(画像:イギリス陸軍)。

「チャレンジャー3」は2027年頃から運用されるとみられており、これによりイギリス陸軍は、戦車砲の種類に関して北大西洋条約機構(NATO)の加盟国など、ほかの西側陣営の国と足並みを揃えることになりました。「ライフル砲」とは、砲身内部に溝(ライフリング)が施された砲全般を指し、砲身内部に溝が入っていなツルツルなものは「滑腔砲」と呼びます。そもそも、砲や銃など火器の歴史を振り返ると、滑腔砲の方が先に登場し、その後はライフル砲が主流となったものの、戦車砲については溝なしに先祖返りしているのです。

 戦車は、第一次世界大戦中の1916年9月に世界で初めて実戦投入されました。当時、命中精度と射程に優れることから砲兵の装備する野戦砲は、ほぼ全て砲身内に溝が刻まれていました。

 以前は、砲弾が先込め式だったため、溝が刻まれていると弾を奥に押し込めにくく、装填に手間取る、砲身の耐久力に問題があるといった理由でライフル砲の使用は限定的でしたが、19世紀中頃以降に砲尾を開閉できる後装式大砲が登場すると、ライフル砲は瞬く間に広がりました。当然、戦車は登場当初から後装式の砲が付けられていたため、最初からライフル砲を使用していました。

 第二次世界大戦になると砲身は急速に大口径化していきますが、砲はライフル砲のままでした。しかし、戦後しばらくすると、大きな変化を迫られることになります。APFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)と呼ばれる種類の砲弾が登場したからです。

 この砲弾は、分厚くなる戦車の装甲をいかに簡単に貫通させるかに主眼が置かれた砲弾です。それまでの徹甲弾と違い、発射後に装弾筒から、タングステンなど硬い素材で作られた侵徹体とよばれる矢のような弾体が分離するタイプの砲弾となっています。

 APFSDSは細長いため、着弾時の速度が速く、着弾面積も通常使う装甲貫通用の徹甲弾よりも小さいのが特徴です。そのため、一点に力を集中することができ、装甲への貫通力が格段に向上しています。APFSDS自体はライフル砲でも使えますが、無駄な回転が加わることで威力が減衰してしまうという問題がありました。

ソ連が最初に採用! 西側では西ドイツ製がスタンダードに

 この問題は最初に解決したのは西側諸国ではなく、ソビエト連邦でした。同国陸軍は1961年、世界に先駆けてAPFSDSをT-62戦車に採用しました。

Large figure2 gallery5先端が尖っているAPFSDS。発射後は弾体と装弾筒が分離する(画像:ラインメタル)。

 同戦車ではAPFSDSの威力を損なわずに使用するため、戦車砲の「55口径115mm U-5TS」を、内部がツルツルな滑腔砲としました。また、滑腔砲には砲弾を強力にしやすいという利点のほか、ライフルのように砲弾が砲身内で回転して砲を傷めないため、ライフル砲身よりも長持ちという利点がありました。

 このT-62の情報を受けた西側諸国は、それまで標準だったイギリス製の105mm戦車砲「ロイヤル・オードナンス L7」というライフル砲を更新する必要性に迫られます。

 当初これは、1964年からアメリカと西ドイツが新しい戦車と戦車砲を共同開発するという方針で進みますが、後に性能要求の不一致から断念。ただ、このとき西ドイツ側が提案した120mm砲滑腔砲は、同国のラインメタルで研究が続けられ、後にラインメタル製の「120mm L44」となり、1979年に配備を開始した西ドイツの「レオパルト2」に装備されます。

 この砲は、APFSDSのほかに、歩兵用の対戦車ロケット砲弾にも見られる成形炸薬弾(多目的対戦車榴弾)なども使用できます。さらに、戦車が動いている状態での射撃「行進間射撃」でも120mmという大口径でありながら高い命中精度を誇っています。

 同時期に誕生したアメリカ軍のM1「エイブラムス」戦車は、当初105mm戦車砲を使用していましたが、火力強化版のM1A1には「120mm L44」をライセンス生産した「M256」を採用。その後、西側陣営のほとんどの国で「120mm L44」はライセンス生産されることなり、西側戦車砲のスタンダードとなります。日本の陸上自衛隊も同様で、90式戦車の砲に同砲のライセンス生産品を採用しました。さらに、陸上自衛隊の10式戦車やフランスの「ルクレール」などに搭載されている戦車砲も、国産ではありますが同砲を参考にしたものです。

 これらの砲は製造国こそ違うものの、NATO規格の砲弾とは互換性があります。そのため、複数の国が共同作戦を取る場合にも砲弾が共有できかるという利点もあります。また、射撃システムに関しても共有が可能です。「チャレンジャー」シリーズはこれまで砲身の種類が異なるため、射撃システムの共有に関して特に問題を抱えていましたが、「チャレンジャー3」はほかの西側戦車と同じ砲身になるため、性能向上に関して大きなメリットがあります。

 なお、滑腔砲が戦車に採用された当初の弱点として、装弾筒と砲身に隙間があると弾道が安定しないというものがありました。しかし、この問題も技術発展により、砲身の隙間がほぼない状態で発射できるようになっています。イギリス軍の「チャレンジャー3」が配備されれば西側主要国の主力戦車は全て滑腔砲となるため、画期的な技術革新でもない限りは滑腔砲の天下は続きそうです。

実は損している?

ニュースを読んでポイントが貯まるサービスがあるのを知っていますか?ポイントサイトのECナビでは好きなニュースを読んでポイントを貯めることができるのです。(※ECナビはPeXの姉妹サイトです。)今日読んだニュースが実はお小遣いになるとしたら、ちょっと嬉しいですよね。

ポイントの貯め方はニュースを読む以外にも、アンケート回答や日々のネットショッピングなど多数あるので、好きな貯め方でOK!無料で登録できてすぐに利用できます。貯まったポイントはPeXを通じて現金やAmazonギフトカードなどに交換できます。

運営実績も15年以上!700万人以上の方がポイントを貯めています。毎日好きなニュースを読んでお小遣いを貯めてみませんか?

YOUの気持ち聞かせてよ!

いいね いいね
ムカムカ ムカムカ
悲しい 悲しい
ふ〜ん ふ〜ん
NEWS一覧へ
PeXポイントで賞品を当てよう!

ポイント ポイント獲得の流れ

ポイント獲得の流れ

ポイント ルール・注意事項

ポイント獲得!!