冬に鼻詰まり続く…実は「副鼻腔炎」の可能性　特徴的な症状＆風邪との見分け方とは【医師解説】

　冬は風邪をひきやすく、鼻水や鼻詰まりといった鼻の症状が悪化しやすいといわれています。SNS上では「くしゃみと鼻水が止まらない」「鼻詰まりがひどい」という声が上がっています。

　ところで、「鼻詰まりが続く」「ドロドロした鼻水が出る」という症状がみられるとき、風邪による症状ではなく、「副鼻腔（びくう）炎」という病気の可能性があります。副鼻腔炎の原因や主な症状などについて、耳鼻科・総合診療医の五藤良将さんに聞きました。

副鼻腔炎が原因で発熱の症状が出ることはない

Q.まず「蓄膿（ちくのう）症」と「副鼻腔炎」の違いについて、教えてください。これらは違う病気なのでしょうか。

五藤さん「実は『蓄膿症』というのは正式な医学用語ではありません。『副鼻腔炎』という病気の俗称として広まった言葉で、『蓄膿症』と言うと慢性の副鼻腔炎のことを指す場合が多い印象です。

鼻の周囲には『副鼻腔』と呼ばれる空洞がいくつもあり、自然口という通り道で鼻の中とつながっています。鼻から空気を吸い込み、副鼻腔の中にウイルスや細菌、アレルギー物質などが入りこむと、炎症を起こしてしまい『副鼻腔炎』と診断されます。

副鼻腔炎は急性と慢性の2種類があるのですが、急性の場合は抗生物質の投与などで炎症が早く治まることもあります。一方で、慢性と診断される状態では、中にたまった膿（うみ）が粘膜の炎症などで排出できなくなり、さらに膿がたまるという悪循環が起こってしまいます」

Q.副鼻腔炎の具体的な症状について教えてください。

五藤さん「先述の通り、副鼻腔は鼻の周囲にある通り道や空洞のことなのですが、通常であれば、鼻水などの分泌物や異物は副鼻腔を通り、自然に外へと排出されていきます。しかし、この部位に炎症が起こると、多量の鼻水や鼻が詰まる感覚が長期的に続くほか、後鼻漏（こうびろう）といって鼻水が咽頭の方に落ちてしまう症状などが見られます。

また、炎症が長引いて『嗅裂部』と呼ばれるにおいを感知する部分が炎症を起こすと、においを感じにくくなる嗅覚障害などが現れることもありますね」

Q.副鼻腔炎と風邪、花粉症は症状にどのような違いがあるのでしょうか。見分ける方法はありますか。

五藤さん「最も大きな症状の違いとしては、副鼻腔炎が原因で発熱やくしゃみの症状が出ることはないという点です。また、炎症が起こる場所も副鼻腔炎は副鼻腔、風邪や花粉症は固有鼻腔という息の通り道で起こるという違いもありますね。

そして、鼻水の状態も異なり、副鼻腔炎による鼻水は黄色や緑色をしていてどろっとした、まさに膿といった見た目をしています。透明でサラサラした鼻水の場合は花粉症やアレルギーなど、他に原因があると思いますので、そういった面でも見分けがつきやすいと思います」

オトナンサー編集部

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