安くしてもダメ「アメ車タレント起用も意味ナシ!」強大な販売力でも無理… 日本で売れなかった伝説のトヨタ車とは
- 乗りものニュース |

1996年に日本で販売を開始した「キャバリエ」は、GMとトヨタがタッグを組んで日本で販売したモデルでしたが、日米のニーズの違いから販売は低迷。5年ほどで終売しました。この失敗から日本で売れるアメリカ車について考えてみます。
大き過ぎても小さ過ぎてもダメ! アメ車にとっては難しい日本市場
1996年に日米の自動車メーカーがコラボして誕生したトヨタ「キャバリエ」は、1990年代の日米貿易不均衡を解消する役割を与えられたクルマでしたが、日米のニーズの違いから販売は低迷。2000年に販売を終了しました。キャバリエの失敗から日本で売れるアメリカ車について考えてみます。
トヨタ「キャバリエ」2ドアクーペ(画像:トヨタ)。
そもそも、多くの日本人がアメリカ車に対して抱いているイメージといえば、「サイズや排気量が大きすぎる」「燃費が悪すぎる」「品質が良くない」などで、けっして芳しいものではありません。
こうしたアメリカ車に対するマイナスイメージには、多少の偏見が混ざっているとはいえ、アメリカで人気の大型乗用車をそのまま日本に輸入しても、道幅が狭く、駐車スペースにも限りのある日本国内で使うのに適したクルマとは言えないことに変わりはないでしょう。
もちろん、アメリカ車は大型車ばかりではなく、日本で使うのにサイズ的にも排気量的にも適した中・小型車も生産しています。その中にはクライスラー「ネオン」やサターン「SL2」のように、右ハンドル化するなどのローカライズを施したうえで、日本で販売されたクルマもありました。しかし、日米のニーズの違いからこれらは販売が低迷し、短期間で生産を終了しています。
対して、アメリカのGMはまったく異なるアプローチによって日本市場でアメリカ車を販売しました。それは日本市場のリーディングカンパニーであるトヨタに自社製品をOEM供給し、トヨタのバッジにつけ変えて強力なトヨタの販売網を通じて売り込もうと考えたのです。その際にGMが選んだのが、当時アメリカで人気を集めていたシボレーの小型車「キャバリエ」でした。
ことの始まりは、1992年にジョージ・H・W・ブッシュ大統領(当時)が自動車大手3社、いわゆる「ビッグスリー」(GM・フォード・クライスラー)の経営トップとともに来日したことです。
慢性的な対日貿易赤字に悩んでいたアメリカ政府は、このときに貿易不均衡の解消を日本政府に求めており、アメリカ車の輸入促進や現地生産車におけるアメリカ製部品の使用割合の引き上げなどを求めました。
トヨタのディーラー網でシボレー車を販売
アメリカの要求に屈した日本政府は、国内メーカーに対して自社の販売網を通じてアメリカ車を販売するよう要求。それを受けてトヨタはGMとの交渉に入ります。GMにとっても日本市場での拡販に繋がるハナシであり、両社の利害が一致したことで交渉は順調に進みました。
トヨタ「キャバリエ」4ドアセダン(画像:トヨタ)。
GMとトヨタによる日本導入モデルの選定にあたり、日本国内で使うのに適したサイズ・排気量の小型車として候補に上がったのが、シボレー「キャバリエ」とポンティアック「サンファイア」の2車種でした。しかし、後者のスタイリングはアクが強く日本人には好まれないとトヨタが申し入れます。結果、最終的に「キャバリエ」が選ばれました。
しかし、トヨタの厳しい社内基準では「キャバリエ」をそのまま自社ブランドで販売することはできませんでした。そこで右ハンドル化のほか、日本の法規制に合わせたフロントフェンダーの大型化(タイヤのはみ出し規制への対応)とターンシグナルの追加、ウインカーレバーの変更、オレンジ色のウインカー付きコンビランプなどへのパーツ交換に加えて、本革巻きのステアリングホイールやシフトノブ、電動格納式ドアミラーが日本市場向けに追加装備されることになりました。また、その際にチリ(隙間やつなぎ目の段差)などの品質がトヨタ基準に改められています。
こうして誕生したトヨタ「キャバリエ」は1996年に販売を開始します。トヨタは同車の年間販売目標を2万台とし、新車価格を149万円からと、かなり当時の目で見てもリーズナブルな価格設定にしました。しかし、もともと北米市場では廉価なコンパクトカーとして販売されていたクルマということもあり、日本人がイメージする「3ナンバー車=高級車」というイメージからはほど遠く、販売が伸び悩みます。
トヨタは打開策として、アメリカ車好きとして知られるタレントの所ジョージ氏をCMキャラクターに起用して巻き返しを図ったものの販売は上向かず、2000年に販売を終了。1996年以降の累計販売台数は3万6228台にとどまりました。
アメ車らしい個性、ほど良いサイズ、価格の安さが日本で成功するための条件か
アメリカ車のみならず輸入車にとって日本市場は厳しく、1972年の統計開始以来、輸入乗用車のシェアが10%を超えたのは1995年の1度だけです。クルマを単なる移動手段として捉えず、一種のステイタスシンボルの要素も欲しがるユーザーの多くは日系ブランド、それも圧倒的な販売力と市場占有率を持つトヨタを選ぶことでしょう。そうした市場にあって輸入車を選ぶ動機は、実用性や経済性ではなく日本車にはない個性とそのブランドが持つ独自の世界観となります。
トヨタ「キャバリエ」2ドアクーペのインテリア(画像:トヨタ)。
残念ながら日米のコラボで販売されたトヨタ「キャバリエ」は、アメリカ車らしい力強さや存在感、そして個性を際立たせるデザインがなく、さりとてトヨタブランドの信頼性や品質、経済性などの長所があるわけでもない、なんとも中途半端なクルマとなってしまったきらいがあります。それが、アメリカで乗るには悪くない選択だったコンパクトカーの「キャバリエ」が、日本で受け入れられなかった理由なのでしょう。
翻って考えると、過去に日本でヒットしたアメリカ車、それこそシボレー「カマロ」や「アストロ」、キャデラック「セビル」、フォード「トーラスワゴン」や「エクスプローラー」、ジープ 「チェロキー」などは、全長5m、全幅1.8m前後と、日本で乗るのに不都合のないギリギリのサイズで、なおかつアメリカ車らしい個性を前面に打ち立てたクルマでした。しかも、これらは手頃な価格だったことも日本でヒットした理由でした。
トヨタ「キャバリエ」のように、車体サイズや排気量が小さく価格が安いだけではわざわざアメリカ車を選ぶ理由になりませんし、アメリカで人気の大型SUVでは狭い日本の道を運転するのに持て余してしまいます。
大き過ぎず小さ過ぎず、アメリカ車らしい存在感と使い勝手との折衷によるジャストフィットなサイズ、V8エンジンに代表される迫力と個性、そして右ハンドル化などのローカライズとリーズナブルな価格設定……。現在、販売が堅調な「ジープ」ブランドの成功を考えると、これこそが日本で売れるアメリカ車の条件となるのではないでしょうか。
そのことを「日本でアメリカ車は売れない」との不満を持つドナルド・トランプ米大統領に伝えたいところです。
実は損している?
ニュースを読んでポイントが貯まるサービスがあるのを知っていますか?ポイントサイトのECナビでは好きなニュースを読んでポイントを貯めることができるのです。(※ECナビはPeXの姉妹サイトです。)今日読んだニュースが実はお小遣いになるとしたら、ちょっと嬉しいですよね。
ポイントの貯め方はニュースを読む以外にも、アンケート回答や日々のネットショッピングなど多数あるので、好きな貯め方でOK!無料で登録できてすぐに利用できます。貯まったポイントはPeXを通じて現金やAmazonギフトカードなどに交換できます。
運営実績も15年以上!700万人以上の方がポイントを貯めています。毎日好きなニュースを読んでお小遣いを貯めてみませんか?
簡単無料登録はこちらYOUの気持ち聞かせてよ!
いいね | ![]() |
|
---|---|---|
ムカムカ | ![]() |
|
悲しい | ![]() |
|
ふ〜ん | ![]() |
