同じ会社の路線なのに80kmも離れてる!? 「日本一の“離れ小島”鉄道」を乗り通してみた 珍編成「JR/三セク/三セク/JR」
- 乗りものニュース |
高知県を走る第3セクターの土佐くろしお鉄道。後免~奈半利間のごめん・なはり線と、窪川~宿毛間の四万十くろしおラインの2路線から成りますが、JR土讃線を挟み一体化しています。なぜ、このような形態なのでしょうか。
なぜ同一会社線で離れているのか
高知県を走る土佐くろしお鉄道は、窪川~中村~宿毛間を結ぶ四万十くろしおライン(中村線、宿毛線)66.6kmと、後免~奈半利間を結ぶごめん・なはり線(阿佐線)42.7kmを有する第3セクター鉄道です。
特急「しまんと」に使われる2700系特急形気動車。筆者の乗車時は4両編成だった(画像:PIXTA)
四万十くろしおラインの窪川駅と、ごめん・なはり線の後免駅はJR土讃線で結ばれており、両駅間は82.5kmあります。同じ会社でありながら、ここまで路線が離れた事例はほかにありません。なお両路線とも土讃線と直通運転しており、JR高知駅では両路線の車両が出会うことが多々ありますし、臨時で両路線を直通した列車もあります。
そもそも、なぜ同一会社の路線が離れ小島になっているのでしょうか。
その始まりは1986(昭和61)年のこと。未完成区間を抱えていた阿佐線と、未着工だった宿毛線について、高知県が第3セクター鉄道を設立して開通させることになったのです。設立された土佐くろしお鉄道は、廃線候補だった国鉄中村線も引き受けました。宿毛線は中村から宿毛を結ぶため、中村線の存続が不可欠だったのです。
1988(昭和63)年に中村線の窪川~中村間43kmを転換し、土佐くろしお鉄道が開業します。1997(平成9)年には宿毛線の中村~宿毛間23.6kmも開通すると、当時は岡山駅からの特急も運行されました。これは所要5時間近い長距離列車でした。
そして2002(平成14)年に阿佐線の後免~奈半利間42.7kmも開通して、現在に至ります。3路線は中村線でも1963(昭和38)年開業と新しいため、ローカル鉄道としてはかなり線形がよく、高速運転が行われます。
筆者(安藤昌季:乗りものライター)は高知8時20分発の特急「しまんと1号」で、中村駅を目指しました。乗車したのは月曜日でしたが、車両は2700系特急形気動車4両編成でした。所定は2両編成です。ユニークなのは、1・4号車がJR四国の車両で、中間の2・3号車が土佐くろしお鉄道の車両であることです。
JR四国と土佐くろしお鉄道 車両の見分け方は?
土佐くろしお鉄道所属の2700系は車号に「2730」「2780」と書かれており、側扉横の号車表示のところにJRマークがないので識別は容易。ただしそれ以外の外観や内装はJR四国2700系とほぼ同じなため、気づくことはまずないでしょう。
2700系の車内(安藤昌季撮影)
9時26分、窪川駅着。ここから土佐くろしお鉄道ですが、同駅発車時点で乗客は4両編成に計24人。かなり空いていました。窪川駅を出ると、四万十川が車窓右側に見えます。9時45分着の土佐佐賀駅で、2000系気動車の特急「あしずり6号」と列車交換しました。
ここからは車窓左側に海が広がります。高所に線路があり、見晴らしは良好。川、海、山の景色がバランスよく、絶景路線だと感じました。
9時53分着の土佐上川口駅で、「1号車がホームから外れます」と車内放送がありました。4両編成が“長い”ためです。10時4分、中村駅着。窪川駅からの43kmを37分で走るのですから、停車時間を含まない平均速度である表定速度は69.7km/h。ローカル鉄道としては高い水準ですが、線路も整備され、乗り心地は良好でした。
中村駅では、同じホームの向かい側に宿毛行き普通列車が停車していました。自社オリジナルのTKT-8000形を使用した列車で、15人ほどが乗り込みました。
こちらは1両ですが、車両中央の大きな3連窓が印象的です。測ってみると、縦100cm、横146cmもありました。あまりに大窓なので、窓上の荷物棚がありません。
座席は転換式クロスシートとロングシートを組み合わせた配置で、転換式クロスシートの座席幅は96cm。1人あたり48cmですから、N700系新幹線のグリーン車と同じ幅です。少し固めですが、ゆったりとした座り心地でした。
途中駅での乗降は、有岡駅で1人下車、平田駅で1人下車、2人乗車したのみ。新線区間だけあり高架が多く線形も良好です。終点の宿毛駅には10時37分に到着しました。中村~宿毛間は普通列車で最速30分、特急で16分ですから、表定速度は47.2km/hと88.5km/h。特急はとても高速です。
オープンデッキで海を感じる
一方、ごめん・なはり線ではJR高知駅を10時15分に出る、普通列車「しんたろう2号」に乗車しました。同社で愛称が付いている列車は、オープンデッキの付いた9640形で運行されます。
ごめん・なはり線の和食~赤野間(安藤昌季撮影)
このオープンデッキは列車の側面にあり、海側に側窓のない通路が設けられて、妨げられずに景色が見られます。もう片側には寝台車のような補助いすが付いているほか、中央の床は10cmかさ上げされ、転換式クロスシートが置かれています。
土佐くろしお鉄道に入る後免駅からはデッキに出られます。高知駅からは16往復がごめん・なはり線に直通しますが、臨時特急「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」として使われる際は追加料金が必要です。
よしかわ駅までは市街地を走りますが、そこから夜須駅までと、西分~球場前間は海のそばを走ります。途中のトンネルを列車はかなりの高速で走るので、吹き飛ばされそうな強い風を体験できました。
球場前駅は、阪神タイガースが練習することもある安芸市営球場の最寄り駅です。各駅にはアニメ『それいけ! アンパンマン』作者のやなせたかし氏がデザインしたキャラクターがおり、駅名標も同一会社である四万十くろしおラインとはデザインが異なります。
車両基地のある中心駅、安芸には11時36分着。高知駅では20人ほどが乗車していましたが、すでに6人ほどになっていました。海の絶景は伊尾木~唐浜間でも続きます。ただし唐浜駅を過ぎると景色が山へと変わり、12時4分に奈半利駅着。2人が下車しました。レストランや土産物屋もある楽しそうな駅です。
快速列車なら高知駅から最速1時間12分ですから、奈半利駅でも充分に通勤圏です。離れた土佐くろしお鉄道の2路線は、どちらも日本有数の絶景路線だと感じました。
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