「とび太くん」が道路に飛び出すと強制終了するアニメが面白い! トヨタ自動車が試みる、新しい視点の子ども向け交通安全啓発活動とは
- マイナビウーマン |

2023年、滋賀県発祥の交通事故防止看板「飛び出し坊や『とび太くん』」の身に危険が迫るYouTube動画が話題となりました。制作したのはトヨタ自動車。現在もとび太くんとのコラボを続けている同社が立ち上げた、SNS時代の交通安全プロジェクトについて聞きました。
飛び出し坊やとのコラボで再生回数119万超え
ーー9月21日から「秋の全国交通安全運動」が始まりますが、現在トヨタ自動車は交通安全啓発プロジェクトの一環として、「飛び出し坊や」(以下、とび太くん)とのコラボを実施中です。とび太くんといえば、古くはみうらじゅんさんが見いだしその名をつけ、近年は映画『翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~』(2023年)に登場したことで一躍全国区となった、滋賀県出身の交通事故防止看板です。意外な組み合わせは、どのように生まれたのでしょう。
一度は誰もが見たことがある? 「飛び出し坊や」のとび太くんを起用
トヨタ・コニック・プロ マーケティング事業本部 野口瞬希さん(以下、野口) 始まりは2023年でした。まず前提として、トヨタ自動車には「交通死傷者ゼロ」という究極の願いがあります。交通事故ゼロに向けての安全な車の開発や、ドライバーや歩行者という人に対する啓発活動、また信号機設置や道路整備といった交通環境整備の分野で、さまざまな交通安全啓発活動を行っています。
トヨタ・コニック・プロで交通安全啓発プロジェクトを担当する野口瞬希さん
野口 そのなかで、子どもの交通事故の約半数は「飛び出し」が原因という事実に着目し、「子どもの交通事故を減らしたい」という思いから、2023年に「【飛び出さないで!とびだし坊や】~とびだすと強制終了するアニメ~」を制作し、公式YouTubeチャンネル『トヨタドライバーズチャンネル』に投稿したんです。
横断違反、信号無視などと比較し、「飛び出し」は圧倒的に多い
ーーほのぼのと始まり、とび太くんがちょうちょを追いかけたり赤信号で横断歩道を渡ったりするたびに、アニメが強制終了するのですよね。最終的には、「開始1秒で強制終了する」というとがった展開も相まって、現時点(2025年9月現在)で再生回数119万を突破しています。
野口 はい。2023年に初めてとび太くんを起用して動画を制作すると、ありがたいことにX(旧Twitter)を中心にSNS上で1000万回以上のインプレッション(表示回数)を獲得しました。多くのお子さんをお持ちの保護者の方やさまざまなユーザーの方から反響の声をいただき、昨年はより具体的に交通安全を学んでいただきたいという思いから、「とびださないで!プロジェクト」を立ち上げ、7歳を迎える前の未就学児に対して楽しく交通安全を学べるプログラムを提供し、より交通安全への理解促進を進めています。
ーー確かに、交通事故死傷者数は7歳が一番多いという「交通事故総合分析センター」のデータがありますもんね。
歩行中の交通事故死傷者数は、7歳が一番多い
ーーとび太くんはトヨタ自動車のみなさんが知っていたんでしょうか。
野口 社内の9割の人間が知っていました。おもしろいなと思ったのが、10人に聞くと「滋賀県のご当地キャラ」「看板でしょ?」「グッズ持ってる!」「滋賀県出身の西川貴教さんのとび太を見たことがある」など、10通りの意見があったんです。認知度も高いし、このギャップは使えるぞと、起用のきっかけになりましたね。
ーー大人を中心におもしろさが見いだされ、たくさんの反響があったのかと思いますが、こうした作風にした理由は?
野口 子どもには「繰り返し」がインプットしやすいという特性に着目しました。構成は「子どもが飛び出す → 飛び出してシーンが終わる」というフォーマットに沿って、シチュエーションを変えながらテンポよく5パターンを展開しています。このテンポが徐々に上がっていくことで、子どもにとって学びやすい構成になっていると思います。
とび太くんと共に、園児に直接交通安全を啓発
ーー子ども向けを意識して作られたんですね。
野口 子どもと、保護者の方ですね。
ーー野口さんもお子さまがいますか?
野口 いえ、だからこそ、社内の子どもを持つ親御さんにいろいろな意見を聞きながら進めました。
ーーどんな意見がありましたか?
野口 「子どもはそもそも、交通安全という題材にあまり興味を持たない」ことが課題だと感じ、どうすれば興味を引けるかを改めて考えました。そして、取り組むべきポイントは大きく2つあると思っています。
ひとつは、先ほどお伝えした「繰り返す体験」が子どもは大好きだということ。絵本の『おおきなかぶ』などがその代表例ですが、こうした繰り返しの体験が、子どもにとって学びやすさにつながるのではないかと考えました。
2つ目も子どもの特性に着目したものですが、子どもは「体を動かしながら学ぶとインプットしやすい」ということで、交通安全教材を用いた座学の中に体操を入れ込みました。
ーーそれが、とび太くんとのコラボ第2弾、昨年の「秋の全国交通安全運動」からスタートした『ピタッとストップ!とびださない体操』ですね。
野口 そうですね、2023年は動画を作り、2年目は動画を見るだけでは伝わりづらい部分のフォローとして、実際に動いてもらうことで学んでいただけるのかなと。そこで、リアルな場で体験できるコミュニケーションを設計してみようと、とび太くんと保育園に出張して交通安全教室を開催しました。
ーー野口さんも一緒に行きましたか?
野口 実は、この出張授業の動画で体操をしているとび太くんの中の人は僕なんです。
ーーあ! これ! 野口さんですか!
野口 はい(笑)。
ーー中の人を明かして大丈夫ですか?
野口 大丈夫です(笑)。会社の会議室で、ダンス動画を見て練習してから行きました。余談ですが、その後公式にアップしたダンス動画では、とび太くんの中に本職のダンサーさんが入り踊っていて、僕のダンスとは段違いのキレでした(笑)。
ーー目の前で見た子どもの反応はいかがでしたか?
野口 「とび太」というキャラクターに興味を持っている子も多かったんですが、「ダンスをしながら交通安全についてわかって楽しかった」というポジティブな声も多くいただきました。保育士さんからも「子どもたちがインプットしやすそうだった」という声をいただきました。
ーーおそらく今後は、このパッケージを使って全国で啓発活動をするのかと思いますが、いかがですか?
野口 まさにそうで、展開していきたいという思いもありつつ、全国となるとなかなか難しいところもあります。ですので、今考えているのが、トヨタの販売店さんにパッケージを配布して、それぞれで交通安全教室を実施してもらうことです。まずはトヨタ内でこのプロジェクトの露出を増やしていこうと考えています。
TikTokでより幅広く「とびださないで!」
ーーそして今年は第3弾として、TikTokで「トヨタ自動車 とびださないで!プロジェクト #とびださない体操【ノリノリミックスver.】」を展開しました。TikTok向けによりリズミカルにアレンジした体操動画を、インフルエンサーの藤田みあさん、北爪美月さん、ひまいぶさくらfamilyさん、セントくんとおねね夫婦さんが投稿して、公開から1週間で合計670万回再生を突破したそうですね。
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さくら1年生になるよ!絶対ダメ!みんなも気をつけよう!
#広報 #トヨタ #勝ち坊や #交通安全 # ゲット #とびださないプロジェクト #とびださない体操【ノリノリミックスver.】
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トヨタ自動車歌って踊って学ぶ交通安全プログラム
「とびださないで!プロジェクト」
野口 はい、テンポ感や思わず振り付けをしたくなるような動きに注力しました。
ーーこれまでのこのプロジェクトは、子どもとその親御さんに向けたものだったと思いますが、今回はティーン世代のインフルエンサーも起用しています。どの世代にアプローチしたのでしょうか。
野口 どこから火がつくのかチャレンジしたといいますか、ファミリーインフルエンサーから広がるのか、またはTikTokライブで踊っているような若い女性からのほうが広がりやすいのか? 若い親御さんの小学生の子どもが親と一緒にスマホで見て広がっていくのではないか? など考えてさまざまな世代のインフルエンサーさんにご協力いただきました。
ーーかつての交通安全啓発といえば、「園や学校に警察の方が来て学ぶ」くらいだったと思います。それがSNSも啓発の手段のひとつになったのはいいことですよね。
野口 2023年にこのプロジェクトを始動した背景には、やはりSNSがありました。僕たちの部署は主にSNSを担当していまして、ミッションは「SNSという媒体を通じて、いかにトヨタへの共感度を高めるか。そして、その共感度を高めるためには、何が必要なのかを突き詰めて考える」ということです。そのための戦略のひとつが、まさにこの取り組みです。
ーーSNSが前提だからこその、キャッチーな動画や体操なんですね。このプロジェクトで苦労した点はありましたか?
野口 「園児が興味を持って参加してくれる体操をつくる」という点がすごく苦労しました。一般的な交通安全講義だとどうしてもなかなかインプットしてくれないし、どうやって体験してもらうか、興味を持ってもらうか、というところに試行錯誤がありました。
どんな試行錯誤があったかというと、先ほどお伝えしたように、実際にお子さんを持つ社内・社外メンバーにヒアリングして子どもの特性を捉えていきました。
現場に足を運ぶ「現地現物」を、啓発活動に活かす
野口 パッケージのプログラムは、動画、交通安全クイズ、ダンス、交通安全を学んだ証として修了証を渡す、という4部構成です。動画をインプットしたあとにすぐにクイズをするのですが、そこでも発話にすごく意識して。出演者が子どもたちに会話のように投げかけていき、興味を持ってもらおうと意識しました。
ダンスの振り付けも「飛び出さない♪ ない♪」をキャッチフレーズのように繰り返し入れ、頭に残ることを意識しましたね。
ーーダンスの振り付けは幼児番組のような完成度で、子どもの踊りやすさと覚えやすさに特化していると思いました。
野口 振付師の方から最初に提案された振付は素敵でしたが、足の動きが複雑で少し難しく感じました。そこで「もっとシンプルにしましょう」と提案し、振付をブラッシュアップしていきました。
ーーまさかトヨタに入社して、ダンスの振り付けを考えるとは思わないですよね(笑)。
野口 はい(笑)。僕も入社前は、振り付けを考えたり着ぐるみの中に入ったりするなんて、まったく思っていませんでした(笑)。本当に多岐に渡る仕事をしていて、考えるのが楽しいですね。今は入社3年目ですが、1年目からなかなか経験できないことを経験させてもらいました。
ーーだからこそ、子ども視点、親視点、若者視点と視野が広く持てるのだと感じました。
野口 トヨタって、「現地現物」という言葉があるんです。
ーー詳しく教えてもらってもいいですか?
野口 はい。「現地=必ず現地に行き」「現物=そこで何かを体験して、現実を把握する」という考え方です。工場で何かあれば工場に行きますし、販売店で何かあれば販売店にも行きます。今回のプロジェクトはそれと同じだと思っていて、お客さまの反応を現地で感じられることってなにより素晴らしいと思い、それがやりがいに繋がっています。
ーーそんな「現地現物」精神が背景にある今回のプロジェクトですが、ローンチ後の反響や実績はいかがですか?
野口 「子どもたちが楽しそうに交通安全を学べてよかった」「楽しく勉強になった」というポジティブな声が聞けたことは非常によかったと思います。また最近、ある県警から「この交通安全プログラムを使ってみたい」と声をかけていただき、プロジェクトの認知が着実に広がっているのかなと感じています。
マイナビ子育て読者のみなさんにもぜひ動画をご覧いただいて、親子で交通安全について考える機会にしていただけるとうれしいです。
トヨタ自動車 とびださないでプロジェクト
https://www.toyota.co.jp/kodomoanzen/tobitapj/
(取材・文:有山千春、撮影:松野葉子、編集:マイナビ子育て編集部)
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