なぜフランスは戦闘機の共同開発で揉めるのか? 次世代戦闘機「FCAS」でも「絶対に折れない!」と空中分解しかけている理由とは
- 乗りものニュース |

早くもFCASに暗雲 なぜ!?
世界各国では次世代戦闘機の開発計画が進んでおり、欧州ではフランス・ドイツ・スペインが共同でFCAS(将来戦闘航空システム)という計画が進行中です。この計画で開発される機体は、フランスの「ラファール」と、ドイツ・スペインの「ユーロファイター」を更新する次世代戦闘機として期待されています。
FCAS の主体となるNGFの実物大モックアップ。ミサイルを機内に収納できるように大きな機体が特徴(布留川 司撮影)。
しかし、昨年頃より3カ国間において足並みの乱れが表面化しており、特にフランスとドイツは計画の主導権や作業分担を巡って対立しています。2025年末に決まるはずだった実証機(デモンストレーター)の製造・試験に関する基本合意も今年に延期されており、海外メディアでは関係者のコメントを引用して計画自体の継続をあやぶむ報道までなされている状況です。
FCASに限らず、多国間で行なわれる共同開発計画においては、関係各国の対立による遅延や計画中止は珍しいものではありません。しかし、本計画に関わるフランスにとっては、主体的に戦闘機を開発しなければならない、譲れない重要な理由が存在しているのです。それは世界中でも9か国しか保持していない核戦力のためです。
フランス軍は現在、約290発の核弾頭を保有しており、その投射手段としてM51 SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)と、航空機搭載のASMP-A空中発射巡航ミサイルを運用しています。この内、ASMP-Aを搭載・発射できるのは、フランス製戦闘機「ラファール」(複座型のB型と艦載型のM型のみ)だけです。
つまり、フランスにとっての国産戦闘機は、ただの航空戦力だけではありません。同国の国際的な地位、さらに欧州のみならず、海外領土のあるインド太平洋地域、南米・カリブ海においての影響力を維持するために不可欠な、核抑止力としての立場も担っています。これは、「ラファール」のみならず、1960年以降に開発されたフランス製戦闘機の多くにも当てはまり、これから開発される次世代戦闘機にも同様の能力が求められています。
戦闘機部分はフランスが主体的に開発
FCASはその名前の中に「航空システム」という単語が含まれており、単体の戦闘機を指すものでなく、実際には第6世代有人戦闘機、無人航空機、指揮統制ネットワークを組み合わせたシステムを表した名称です。そして、この新型有人戦闘機は「NGF(次世代戦闘機)」と呼ばれており、これをフランスが主体となって開発を進める予定です。
パリ・エアショー2025で展示された「ラファール F5」。展示用に部品を付けたもので、実機は現在も開発中(布留川 司撮影
2025年にフランスで開催されたパリ・エアショーにおいても、FCASとNGFは明確に区別されており、会場内に展示されていた実物大の新型戦闘機のモックアップはNGFと表記されていていました。筆者がフランスの軍や企業関係者に「次世代戦闘機FCAS……」と発言すると「NGFですよ」と即座に指摘されるほどで、フランス側は「FCAS=システム全体」、「NGF=機体本体」という区別に強いこだわりを持っていました。これがドイツとの対立の大きな原因ともいえます。
NGFを元々主導していたフランスの航空宇宙企業ダッソーは、有人機の開発に関してドイツの資本が強いエアバス・ディフェンスやスペインのインドラの意見を取り入れると、フランスの運用思想にあった機体が開発できなくなるのではと危惧している部分があります。
実は1980年代のユーロファイター「タイフーン」開発計画においても、イギリス、西ドイツ(当時)、イタリア、スペインとの合意に至らず、最終的にダッソーが独自に「ラファール」を開発したという経緯があります。
この際は自国のスネクマ製のエンジンの使用可能性の有無や、艦載機としての能力を付与するかについて最終的に合意が得られなかったことが原因となりました。今回はその問題を繰り返さないため、無人航空機、指揮統制ネットワークはほかのメーカーと共同でも構わないものの、有人機の主導的な役割は絶対に譲りたくない訳です。そのため、ダッソーのエリック・トラピエCEOは2025年9月に、「ドイツが文句を言うのは構わない。もし彼らが単独でやりたいなら、そうすればいい」とまで言いました。
事実、NGFの開発はすでに部分的に進められており、「ラファール」のアップグレード型である「ラファール F5」では、NGFに採用されるAI支援機能や無人機との連携機能(リモートキャリア)が実装される予定で、先進技術を既存機のアップグレードで先行開発することで、開発遅延のリスクを軽減させる狙いがあります。
核兵力についても、ASMP-Aの後継となる次世代航空機発射型核ミサイル「ASN4G」が開発中ですが、この搭載能力は「ラファール」 F5とNGFにも付与され、今後のフランスの核戦力となる予定です。
FCASが中止になったらどうなるの?
FCASの全体の開発予算の金額は現時点で不明ですが、一部の報道の中には約1000億ユーロ(約17兆円)と試算しているものもあります。もし、仮にFCASが中止となった場合、フランスのみでFCAS やNGFを開発するのは予算規模的にも難しいでしょう。
パリ・エアショーでデモフライトを行なうフランス空軍の「ラファール」。イベント用に特別な塗装がされている(布留川 司撮影)
現状、FCASの計画進捗は遅れており、最近の報道を信じるならば計画中断の可能性もあります。
しかし、フランスにとっては核戦力という重要な任務を担わせる以上は、何らかの形で次世代戦闘機の開発を継続するものと考えられます。
先行して開発している「ラファールF5」は、NGF配備まで核戦力の空白を生まないための繋ぎ的な意味合いもあります。FCAS/NGFの計画が中止となった場合も、「ラファールF5」があれば空白期間のない時間的な余裕はあり、規模と仕様を変更した上で、新しい戦闘機の開発計画を立ち上げることも十分に可能だと思われます。
FCASの参加国の中で、現在も戦闘機の開発と生産を単独で行えるのはフランスだけであり、これは世界規模で見ても限られた国だけが持つ産業的に貴重な能力だといえます。国産品というフレーズは、あらゆる製品においてある種のブランド的な意味合いを持っていますが、兵器開発の場合はその国の産業育成や外交・安全保障にも影響を与えます。
フランスにおける戦闘機開発は、世界で9カ国しかない核保有国という重要な外交安全保障状の手札を支えるものであり、困難な条件があっても簡単に中止できないのです。
実は損している?
ニュースを読んでポイントが貯まるサービスがあるのを知っていますか?ポイントサイトのECナビでは好きなニュースを読んでポイントを貯めることができるのです。(※ECナビはPeXの姉妹サイトです。)今日読んだニュースが実はお小遣いになるとしたら、ちょっと嬉しいですよね。
ポイントの貯め方はニュースを読む以外にも、アンケート回答や日々のネットショッピングなど多数あるので、好きな貯め方でOK!無料で登録できてすぐに利用できます。貯まったポイントはPeXを通じて現金やAmazonギフトカードなどに交換できます。
運営実績も15年以上!700万人以上の方がポイントを貯めています。毎日好きなニュースを読んでお小遣いを貯めてみませんか?
簡単無料登録はこちらYOUの気持ち聞かせてよ!
| いいね | ![]() |
|
|---|---|---|
| ムカムカ | ![]() |
|
| 悲しい | ![]() |
|
| ふ〜ん | ![]() |







