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タクシーで「上司&取引先の人」どこに座ってもらえばいい? 席次だけじゃないタクシーの“必携ビジネスマナー”

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タクシーは「席次」以外にも注意が必要?
タクシーは「席次」以外にも注意が必要?

 ビジネスシーンで利用する機会も多い「タクシー」。上司や取引先の人と乗車するとき、「席次」に気を付けているビジネスパーソンは多いと思いますが、実は席次以外にも注意が必要なマナーがいくつかあるようです。

 そこで、ビジネスシーンでの印象を左右する「タクシーのマナー」について、一般社団法人「マナー&プロトコル・日本伝統文化普及協会」(東京都港区)代表理事で、皇室のマナー解説やNHK大河ドラマのマナー指導などでも活躍する、マナーコンサルタントの西出ひろ子さんに教えていただきました。

“座りたい席”が上座となる場合も

Q.まず、ビジネスシーンでタクシーを利用する際の、基本的な「席次」のマナーを教えてください。

西出さん「基本的には、運転手の後ろが『上座』といわれています。上司や取引先の人と乗車する際、2名の場合は、上座に上司や取引先の人が座り、自身は助手席の後ろに座るのが一般的です。

3名の場合は、後部座席の真ん中の席が『下座』となります。しかし、例えば、上司・取引先の人・自身の3名で乗車する場合、自身が真ん中の下座に座ると両端に目上の方が座っているため、おこがましいと感じる人もいらっしゃるでしょう。そして緊張もしますね。加えて、窮屈と感じる可能性もあります。そこで、このようなケースでは運転手に、助手席に座ってもいいか伺いを立ててもよいでしょう。承諾してもらえたら、若手の人は助手席に座ることもあります。また、あなたの上司が気を使って真ん中に座ってくれる場合もあるかもしれません。その際には上司に『恐縮です』などの一言を伝えましょう。

さらに、4名の場合は、一般的なタクシーの大きさでは、後部座席に3名しか座ることができません。そこで、最も若手の人が助手席に座るのが一般的な席次です」

Q.その他、タクシーの「席次」で気を付けることはありますか。

西出さん「『運転手の後ろが上座』と先述しましたが、日本では、車は左側通行のため、タクシーは進行方向に向かって左側のドアが開きます。また右ハンドルが主流のため、上座に座るには奥まで移動することが必須となります。

中には『奥に座りたくない』という人もいらっしゃいます。そのときは、上司や取引先の人が“座りたい席”が上座となります。マナーはルールや形式以前に、相手中心の気持ち、心を優先させるものです。そうして、相手の方に心地よく過ごしていただくことを可能とします。マナーは、お互いがそれを心得ていることが大切です。

上司や取引先の人も、自分が上座に座る立場だと分かっていると思いますので、一般的にはスムーズに、基本的な上座に座ることになるかとは思いますが、場合によっては『手前の席がいい』という人もいらっしゃいます。そういうときには『恐れ入ります。それでは、お先に失礼いたします』と言って会釈をして先に乗ることで、その場がスムーズに進みます。

また、体調などの問題を抱えていることが事前に分かっている場合は、『奥と手前、どちらがご都合よろしいでしょうか』などと伺ってもよいでしょう。あなたの気遣いはきっと伝わるはずです」

同乗者は「言葉遣い」「やりとり」を見ているもの

Q.席次マナー以外に、注意すべきタクシー乗車時のマナーはありますか。

西出さん「ビジネスシーンで、上司や取引先の人とタクシーを利用する際に気を付けたい5つの注意点をご紹介しましょう」

【(1)率先してタクシーを探し、止める】

上司や取引先の人に手を挙げて止めさせないように、素早くタクシーを探して止めましょう。アプリでタクシーを呼んだり、予約をしたりする手配は、上司に確認・了承を得た上で行いましょう。

【(2)交差点や横断歩道の付近で手を挙げて乗らない】

歩行者や後続車に迷惑をかけ、危険です。

【(3)行き先は、誰もが分かる地名やビル名などを伝える】

自分は知っている場所でも、運転手が知らない場合もあります。運転手の立場に立った場合、カーナビの普及に伴い、住所を伝えて差し上げるとスムーズなケースが多くなっています。また、その方が間違いも防ぐことができます。ただし、住所を間違って伝えると目的地に行けないので、住所を正確に伝えるとともに、正しく伝わっているかの確認が必要です。

【(4)雨や雪の日は、上司や取引先の人が濡れないように配慮する】

上司などがタクシーに乗り込む際に濡れないように傘を差し、自身が乗り込むときは傘の水滴がシートにつかないように気を付けましょう。シートを濡らすと、降車時に後から降りる上司などの洋服を濡らす原因となります。

【(5)支払い方法を事前に確認しておく】

ビジネスシーンで、上司や取引先の人と同乗する可能性がある場合は、事前にタクシーの支払い方法を上司に確認しておくと安心です。確認事項は「誰が支払うのか」「クレジットカードか現金か」などは必須となるでしょう。会社の経費として精算する際に、スムーズに行えるようにしましょう。領収証を頂くことも忘れないようにします。

Q.その他、ビジネスシーンでのタクシー利用時に覚えておくとよいこととは。

西出さん「タクシーを止めるところから、乗車時、車中での振る舞い、降車時まで、その狭い空間でもあなたの印象をアップさせることは可能です」

(1)タクシーを止めるとき……タクシーが近づいて止まろうとしているとき、運転手に対し、感謝の会釈をする
(2)乗車するとき……「お願いします」と言って乗車する
(3)行き先を告げるとき……「◯◯までお願いします」「住所をお伝えします」など丁寧な言葉遣いをする。「◯◯まで」や、いきなり住所を言い出すなどの態度は避ける
(4)行き先の確認をされたとき……運転手が「◯◯までですね」と復唱したら「はい、そうです。お願いします」と丁寧な対応を行う
(5)支払い時や降車時……レシートやおつりを頂くときや、降車時に「ありがとうございます」とお礼を伝える

西出さん「マナーとは、相手の立場に立つことです。タクシーに乗車するときや、車中での言葉遣い、振る舞いが横柄であったり、命令口調のような言い方をしたりする人は、スマートな印象にはなりません。同乗者も、その狭い空間でのやりとりや振る舞いを見ています。そこから、今後のビジネスに発展するかどうかのきっかけになることもあるかもしれません。

ビジネスシーンに限らず、どんなときでも、どんな場所でもお互いに、相手の立場に立った思いやりの気持ちを表現し合えば、互いに気持ちよく過ごせる社会になりますね」

オトナンサー編集部

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