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世界中で売れる「南米生まれプロぺラ軍用機」A-29「スーパーツカノ」元々の敵は“反社”だった!? その誕生経緯とは

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  • 乗りものニュース
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A-29Nは、NATO(北大西洋条約機構)加盟国での運用要件を満たすよう、A-29「スーパーツカノ」を新たにアップデートした機体ですが、元々同機はブラジルの犯罪組織に対応するために開発された機体になります。

対反社特化の攻撃機として開発が開始される

 ブラジルの航空機メーカー、エンブラエルは2025年7月17日、ポルトガル空軍向けに開発中のA-29N「スーパーツカノ」の飛行試験キャンペーンを開始したと発表しました。

Large figure1 gallery11ブラジルでは密輸などの監視に従事しているA-29「スーパーツカノ」(画像:ブラジル空軍)

 このA-29Nは、NATO(北大西洋条約機構)加盟国での運用要件を満たすよう、A-29「スーパーツカノ」を新たにアップデートした機体です。同機は母国ブラジルでは、通常の軍事行動に加え、特定の反社会勢力への対処能力の高さが評価されています。こうした勢力には、麻薬密輸や違法伐採・違法採掘などを行う組織が含まれます。実際、A-29はもともと、こうした組織への対応を念頭に開発されました。

 A-29のベースとなったのは、エンブラエルが開発したEMB-312「ツカノ」練習機です。EMB-312は、旧式化したT-37練習機の後継として、1983年9月より「T-27」の名称でブラジル空軍への引き渡しが始まりました。ターボプロップ機でありながら、ジェット機に近い操縦感覚が得られるとして、導入後すぐに高い評価を受けました。

 その後1990年代に入り、ブラジルはアマゾン地域での麻薬密輸や違法伐採・採掘による環境破壊に悩まされるようになります。

 これらの違法勢力は、自前の航空機を保有し、違法に建設した滑走路まで整備するなど、かなり大規模に活動していました。こうした航空機に対処するには、ヘリコプターでは速度が遅く、ジェット機では滑走路の制限により遠方の基地から出動せざるを得ず、加えて低空を継続的に監視するには速度が速すぎるという課題がありました。

 この問題を解決するためには、ヘリとジェット機の中間を担う新たな軽攻撃機の導入が必要と判断され、ブラジル政府は1997年、アマゾン地域の防衛力強化を目的とした「アマゾン監視システム(SIVAM)」を立ち上げました。そして、操縦性の良さがすでに証明されていたT-27をベースに、新型の軽攻撃機を開発・導入することになったのです。

 こうして誕生したのが、A-29「スーパーツカノ」でした。単発プロペラ機という外観は、一見すると第二次世界大戦時代の機体を彷彿とさせますが、実際には各種の最新技術が盛り込まれた、極めて現代的な軽攻撃機です。

卓越した性能を持ち早期警戒管制との連携も可能

 SIVAM(アマゾン監視システム)では、広大なアマゾン地域を監視するため、早期警戒管制機に加えて、人工衛星や航空機によるリモートセンシングの導入も計画されていました。A-29「スーパーツカノ」には、これらの特殊機との共同任務を遂行する能力が求められたほか、低速・低空域での高い操縦性、不整地や短滑走路での離着陸性能も重視されました。

Large figure2 gallery9対地攻撃訓練をするA-29「スーパーツカノ」(画像:ブラジル空軍)

 武装面では、両主翼内に12.7mm機関銃を各1挺、計2挺を装備。さらに、兵装を搭載できるハードポイントは、胴体下に1か所、左右の翼下に各2か所ずつ、計5か所が用意されています。これらには、ブラジル国産のピラニア空対空ミサイル、ロケット弾ポッド、レーザー誘導爆弾、20mm機関砲ポッドなど、さまざまな武装を搭載することが可能です。

 また、空対空戦闘だけでなく、低空飛行時に地上から発射されるミサイルへの対処も想定されており、レーダー警戒装置やミサイル警報装置、チャフおよびフレアのディスペンサーなど、防御システムも充実しています。エンジンも、従来のプラット・アンド・ホイットニー・カナダ製PT6A-25Cから、出力が約2倍のPT6A-68へ換装され、出力は750馬力から1,600馬力へと大幅に強化されました。

 A-29は2003年に実戦配備が開始され、すでに運用が始まっていたエンブラエル製の早期警戒管制機E-99や、リモートセンシング機R-99と連携することで、その真価を発揮するようになります。

 国内の犯罪組織相手にこれほどの軍用機を用いるのは過剰にも思えるかもしれませんが、相手は侮れません。ブラジルの反社会勢力は、日本の犯罪組織とは次元が異なり、違法改造された航空機や高速船、地上支援施設をはじめ、ミサイルや対戦車ロケットといった重火器まで保有しています。

 そのため、ブラジル空軍も、通常の軍隊とはいかないまでも、準軍事組織やテロ組織に相当する勢力としてこれらに対処しています。特に、E-99との連携による防空網は非常に強力で、標的がレーダーに捕捉されると、即座にA-29「スーパーツカノ」が迎撃に向かいます。

 12.7mm機関銃で撃たれたひとたまりもないため、多くの場合違法な航空機は慌てて違法滑走路に着陸し、犯人たちはジャングルに逃走します。時には積荷ごと機体に火を放ち、証拠隠滅を図る――といったケースも少なくありません。ちなみに、大量のコカインが毎年のように押収され、報道でも取り上げられています。また、警告を無視した密輸組織の航空機が、撃墜された事例も実際に存在しています。

もはや南米ではスタンダードといえる機体

 2023年1月末、違法採掘業者による暴力や環境破壊によって深刻な危機に瀕していたヤノマミ族を支援するため、ブラジル政府と軍は「ヤノマミ・シールド」と呼ばれる“準軍事作戦”を発令しました。この作戦では、北部アマゾン地域の上空に防空識別圏(ADIZ)を設定し、衛星とE-99早期警戒機を中核とした厳格な監視体制を敷くという、まるで対外軍事作戦のような方法が採用されました。

Large figure3 gallery12犯罪組織が火をつけた違法航空機(画像:ブラジル空軍)

 作戦は同年4月初旬まで続けられ、その中でA-29「スーパーツカノ」は、低空域での監視・警戒活動において重要な役割を果たしました。現地の報告によれば、この作戦によって違法採掘業者の約8割が活動停止に追い込まれたと推定されています。

 しかし、それでもなお違法滑走路の建設や、再び活動を再開する勢力は後を絶たず、ブラジルにおける麻薬問題やアマゾン地域での違法行為がいかに根深いかが浮き彫りとなりました。

 こうして、反社会勢力への対応を通じて実戦経験を積んできたA-29「スーパーツカノ」は、その優れた兵装搭載能力と、低速域での安定した飛行性能を活かし、地上近くでの偵察・監視任務や対テロ作戦支援にも有効であることが証明されました。この性能は評価され、チリ、コロンビア、エクアドルなど、南米の他国でも採用が進み、2024年8月にはウルグアイも導入を決定。南米の攻撃機としてスタンダードな存在となりつつあります。軽攻撃、近接航空支援のほかジェット機を操縦するパイロットの初期訓練なども同機で可能で、汎用性の高さも評価されているようです。

 2020年代に入ってからは、巡航速度約520km/hという、ジェット機より遅く、しかし低速域では非常に安定するという特性を活かし、ドローン迎撃機としての活用にも注目が集まっています。こうした背景のもと、エンブラエルはNATO向けに開発したA-29Nの販売を、ポルトガルにとどまらず他の加盟国へも拡大する構えで、各国へのアピールを強化しています。

 NATO仕様のA-29N「スーパーツカノ」には、先進的なアビオニクス(航空電子機器)やNATO準拠の通信・操縦システムが搭載されています。さらに訓練デバイスには、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)といった最新の技術が導入されており、世界最高水準の教育・訓練環境を提供できるよう改良されています。

 ポルトガルは同機を、船舶による密輸対策に加え、空軍戦力の多層化(ハイ・ロー・ミックス)に対応する機体として導入する考えです。

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