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M1「エイブラムス」戦車の動かし方 乗り込むのにもひと苦労? 始動から停止まで

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  • 乗りものニュース
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現代戦車は高度に制御されたオートマチックトランスミッションの導入もあり、操作そのものはさほど難しくないといいます。ただし操縦やその前後の手順は…M1「エイブラムス」戦車の操縦マニュアルから、その動かし方の順を追います。

M1「エイブラムス」戦車 動かす前にひと山あり

 60tの鋼鉄の塊を1500馬力のエンジンで走らせる――戦車の操縦はさぞや難しいだろうと思われますが、実はオートマチックトランスミッションとトルクコンバーター、パワーステアリングのおかげで操作自体は簡単です。

Large 211125 m1t 01アメリカ陸軍のM1エイブラムス戦車。主砲の真下に見えるのが操縦席ハッチ。(画像:アメリカ陸軍)。

 しかし「操作」が簡単だからといって「操縦」が簡単というわけではありません。ここでは、アメリカ陸軍M1「エイブラムス」戦車の操縦手視点から、戦車を動かす手順を追ってみましょう。

 まず、操縦席に乗り込むことからして、実は簡単ではないのです。予備知識無しに戦車に乗ろうとしても、どこをつかんでどこに足をかけたらよいか分かりません。乗降自体が難しく危険でもありますので、一般見学者が試乗する時にはステップが用意されることも多いです。新人戦車乗員の第一歩は乗降を繰り返す訓練から始まります。

Large 211125 m1t 02令和3年度観閲式で岸田総理大臣が10式戦車に試乗するために用意されたステップ(2021年11月27日、月刊PANZER編集部撮影)

 M1戦車の操縦席を目指しましょう。前部サイドスカートのステップに足を掛け、乗降用の手すりを使って車体に上がり、さらに砲塔によじ登り、装填手用ハッチから車内に入り込みます。その際、注意することは、砲塔の旋回がロックされていることの確認です。車内を移動中、砲塔旋回レバーに触れて万一、砲塔が旋回すれば、砲塔下部機器に挟まれて重大な事故につながります。

Large 211125 m1t 03令和3年度観閲式で、10式戦車の車長ハッチから乗車する岸田総理大臣。戦車帽と戦車靴を着用し乗り込み方の説明を受けている(2021年11月27日、月刊PANZER編集部撮影)。

 砲塔を通過し、機器類をくぐり抜けて操縦席に滑り込みます。ドライビングポジションは斜め上向きで、乗用車とはかなり違います。席についたら座席位置と外部視察手段である小さなペリスコープとステアリングの調整を行います。

Large 211125 m1t 04M1戦車の操縦シミュレーター。かなり無理なドライビングポジションだ。上に3つある小窓が外部視察用ペリスコープで170度の視界がある(画像:アメリカ陸軍)。

 ステアリングはT型のバーハンドルになっており、中央にギアセレクタースイッチがあります。ここで、セレクターがN(中立)、ステアリングが中立になっていることを確認します。ほか、エンジン始動前にチェックする項目は油圧系、電気系、燃料系、消火系などたくさんあります。

Large 211125 m1t 05操縦席ハッチは砲塔との隙間が狭く通常の乗降に使える構造ではない。視界が広くなるので顔を出して操縦することもあるが雨粒や泥の直撃を受ける(画像:アメリカ陸軍)。

 スイッチ類がOFF、各ゲージが最低値であることを確認したうえでマスターパワースイッチを投入、すると電気系が動き出すので、各計器で異常がないかチェックします。これでエンジン始動準備ができました。

乗り込んでからエンジン始動までにも手順あり

 準備が整っても、エンジンを勝手に始動させてはいけません。車長に準備完了報告をして待機します。ここで砲手は砲塔旋回動力スイッチがオフになっていることを確認します。車長は車内状況と、特に戦車の後ろに誰もいないことを確認します。戦車の真後ろに人がいると、ガスタービンエンジンの排気ガスで吹き飛ばされてしまう危険性があるのです。

Large 211125 m1t 06スロットル付バーハンドル。左ハンドルがスロットルグリップで、中央にトランスミッションセレクター、左からR、N、D、L。下にPVTモード(画像:アメリカ陸軍)。

 安全確認した車長のエンジン始動命令を受けて、操縦手は操縦席右側にあるメインパネルのエンジンスタートボタンを1秒、押し込みます。エンジンが正常に始動すればスタートボタン上部の確認ランプが点灯し、不具合があればスタートボタン下部の中止ランプが点灯します。操縦手はエンジンから離れておりヘッドセットも付けているので、エンジン状態は五感で確かめにくく、計器類が頼りになります。

 エンジンが始動したら回転数や油圧、ブレーキ、トランスファーのチェックを行います。トランスファーは装軌(いわゆるキャタピラ)車特有の機構で、方向転換するのにステアリングの操行に応じて左右の履帯の回転数を変える仕組みです。ブレーキペダルを踏みながらギアセレクターをDにしてステアリングを左右に切って、ゴツンと当たるような音が出れば正常です。

Large 211125 m1t 07輸送船から卸下中のM1戦車。砲塔は後ろ向きになっている。視界が狭いのでこうした場合は車外からの誘導が必要になる(画像:アメリカ陸軍)。

 いよいよ戦車を動かします。アクセルは足元にはなく、バイクと同じようにステアリングハンドルがスロットルになっています。足元にあるのはサービス(常用)ブレーキとパーキングブレーキのペダルです。スロットル付のバーハンドルで、操作方法はオートバイと同じで簡単です。

 しかし勝手に戦車を動かすのは厳禁です。「前へ進め」という車長の命令でブレーキペダルを確実に踏み込み、解放レバーを引いてパーキングブレーキを解放します。セレクターをDにしてブレーキペダルから足を離し、スロットルを入れていきます。

 トランスミッションはオートマチックで、最適なギアに自動的に変速され、快適な運転が楽しめます。ちなみにセレクタポジションNの下にPVTという位置がありますが、これは装軌車独特のもので、左右の履帯をそれぞれ反対方向に回転させて超信地旋回させるPVT(pivot turn)モードになります。

戦車を操縦する上で注意すべきことは?

 1500馬力ガスタービンエンジンの装軌車を走らせていると、気分が大きくなりどこでも走破できるように思えてきますが、しかしどこでもというわけにはいきません。下手な地形に入り込んで行動不能になった60tの車体のリカバリーをすることは、想像したくありません。

 また、32km/h以上での急旋回は履帯が外れる恐れがあるので避けましょう。減速するにもエンジンブレーキは利かないのでフットブレーキを使う必要があります。怖いのは高速走行中に履帯が切れたり外れたりした時で、ブレーキが作用せず戦車は文字通り転がっていって制御不能になる危険性があります。

Large 211125 m1t 08操縦席の様子。上のハッチは開いているが、ハッチカバーは重いので必ずロックし走行中の開閉操作は非常時以外禁止されている(画像:アメリカ陸軍)。

 状況終了。任務が終わって停車しても、スイッチをOFFにするだけとはいきません。エンジン停止前に油圧系、電気系が正常値であることをチェックします。マスターパワースイッチは車長の命令でOFFにします。スムーズに降車するにも乗車時のようにコツが要ります。

Large 211125 m1t 09現在配備されているM1戦車の最新バージョンM1A2SEPV3(画像:アメリカ陸軍)。

 戦車の操縦で難しいのは、機器の操作そのものではありません。視界が限られ五感にも頼れない環境でスムーズに走るのには、車体感覚を掴むだけでなく、車長ほか乗員との呼吸を合わせることが必要です。訓練や経験を積んで車長の指示を予想し、自車の状況を把握して次の操作の心構えができるようになれば、初心者マーク返上です。もっとも、戦車に初心者マークはありませんけれども。

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