長澤まさみ、「エルピス」で追求するリアルな人物像 地に足着いた芝居&華やかさの両輪
- オトナンサー |
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俳優の長澤まさみさんが主演を務める連続ドラマ「エルピスー希望、あるいは災いー」(カンテレ・フジテレビ系、毎週月曜 午後10時)。11月28日に放送された第6話では、報道キャスターに返り咲いた長澤さん演じる主人公の浅川恵那が、多忙な日々に呑み込まれていく様子が終盤に描かれました。今回は、良くも悪くも状況に左右されるリアルな人物像を体現する長澤さんの芝居の魅力に迫ります。
アナウンサー役に違和感なし! 美しい原稿読み
2022年10月期のドラマが、続々と折り返しを迎えています。今期はSNSを中心に話題を席巻している「silent」(フジテレビ系)、「相棒 season21」(テレビ朝日系)、「ザ・トラベルナース」(同系)、「アトムの童」(TBS系)など、いわゆる“豊作”状態。脚本、演出、演技の三拍子揃った上質な作品が集結しました。
その中でもお茶の間のみならず、業界内での注目度が非常に高いと言われているのが、長澤まさみさんが主演を務める「エルピスー希望、あるいは災いー」(以下、「エルピス」)です。
本作は、実写映画「ジョゼと虎と魚たち」や、“朝ドラ至上最高傑作”と名高いNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「カーネーション」で知られる渡辺あやさんが脚本を手がけたオリジナル作品。
スキャンダルで報道番組を降板したアナウンサーの浅川恵那(長澤さん)と、バラエティー番組の新人ディレクターである岸本拓朗(眞栄田郷敦さん)が死刑が確定した連続殺人事件の真相解明に挑む姿を描いています。
「アナコンダだろうが国家権力だろうが関係ない。おかしいと思うものは飲み込んじゃダメなんだよ」
この言葉は、第1話における恵那のセリフ。本作のテーマはココに集約されているような気がします。恵那が真相の解明に挑む同連続殺人事件には目撃証言や検察側の主張にいくつもの矛盾点があり、冤罪(えんざい)の可能性が浮上。しかし、一旦、刑が確定した事件を掘り起こせば、警察や裁判所などの国家権力を敵に回すことになり、当然会社からはストップがかかります。
それでも恵那が反対を押し切ってまで自分の正義を貫こうとするのは、自身も真実を伝えるべき報道の人間でありながら、これまで多くの違和感や疑問を飲み込み続けてきたから。
その罪の意識に恵那を向き合わせることにより、本作は恐れずにマスコミへの自己批判を展開しています。さらに、劇中の冤罪事件は実在する複数の事件をエッセンスとして取り入れつつ、多くの人がこれまで飲み込んできた数々の問題に切り込むなど、このドラマは近年まれに見る“意欲作”と言わざるを得ません。そのため、構想から放送まで実に6年もの歳月を費やしたといいます。
この企画を実現するために奔走したドラマの佐野亜裕美プロデューサーから早い段階でオファーを受け、出演を快諾した長澤さん。待ち続けた数年の時間は決して無駄ではなかったと、長澤さんの名演を見ていて思います。
まず、素晴らしいのが、違和感のないアナウンサーとしての原稿読み。もともと長澤さんはその“声”に定評があり、ジブリ映画「コクリコ坂から」や長編アニメ「君の名は。」「SING/シング」の吹き替えなど、声優として活躍も。アニメキャラクターに声を当てても違和感がない演技力はもちろんのこと、声色も思わずまどろむような心地良さ。
現在、放送されているNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」での落ち着いたトーンの聞き取りやすい語りが評判となりました。その力が本作でも大いに生かされており、鼻濁音を意識したアナウンサー特有の美しい原稿読みは見事。本来持つ華やかさも相まって、実在するアナウンサーかのように作品世界になじんでいます。
良い意味で一貫性のない人物造形
また、目を見張るのは、長澤さんのリアルで奥行きのある人物造形です。恵那はその時、その時の状況に左右される、ある意味で不安定なキャラクターといえます。例えば、第1話冒頭での恵那は食べることも寝ることも満足にいかず、常に血の気のない顔色をしていました。
いろいろなことを飲み込むたびに重なってきたストレス、権力による作為に満ちた世界に対する拒否感から、恵那が吐き気に襲われる場面での壮絶な演技が話題に。かと思えば、冤罪事件を追っていくうちに人としての熱を帯び、次第に“正義”という名の快楽に溺れていき、恵那の首の皮一枚でつながっているような“危うさ”を、長澤さんは表現していました。
その一方で、元恋人のエース記者・斎藤(鈴木亮平)の有無を言わせぬ強引さと、その表裏一体の安心感に包まれ、楽な方に流されていく姿も体現。そこではまるでメロドラマのように乙女な顔をして見せるなど、恵那のさまざまな表情を視聴者に印象づけています。しかし、たった一人で真相解明に挑む岸本を前に目を覚まし、ようやく本当の意味で落ち着きを取り戻すまでの、シーソーのように行ったり来たりする恵那の心情を長澤さんは見事に映し出していました。
とはいえ、第6話の終盤では、恵那が報道キャスターとしての仕事に追われ、再び冤罪事件から足が遠のく予感も漂わされています。良い意味で一貫性がなく、とはいえ解離しすぎてはいない、その絶妙なバランスで成り立っている人物造形がとてもリアルです。
近年の長澤さんは、実在の事件から着想を得て、母と息子の歪んだ関係を描いた映画「MOTHER マザー」や、二人のテレビマンが前科者の生き様を追う映画「すばらしき世界」など、社会的意義のある作品に次々と出演。パッと華やぐ存在感はそのままに、地に足のついた確かな演技で重厚な物語に違和感なく入り込んでいます。
「エルピス」での名演はその集大成とも言え、俳優としてのステージをまた一段階上げたことを裏付けました。今後も、さまざまな作品に引っ張りだこになることは予想でき、視聴者に新たなインパクトを与える活躍に期待したいと思います。
エルピス第7話は12月5日に放送されます。
オトナンサー編集部
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