痛みと出血で動けない母が、中2息子に「ナプキン買ってきて」とお願いした結果…男子に生理のツラさを教える意味は?サッコ先生取材
- マイナビウーマン |
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息子や娘が第二次性徴を迎えると、体に大きな変化が起こって子ども自身が戸惑うこともあるでしょう。同時に親もどう対応したらいいか、迷うものです。今回は産婦人科医として診療をしながら、子どもたちへの性教育に長年取り組む“サッコ先生”に、体の変化の伝え方について聞きました。
■ 女の子の生理のつらさ、親はどう対応する?
――第二次性徴を迎えると、男女ともに体に大きな変化が起こりますが、その際の対応は親としても迷うことが多くあります。例えば、娘の生理(月経)に伴う症状が重いときにはどうすればいいでしょうか?
サッコ先生 毎月きちんと生理が来ることは、健康状態を確認できることでもありますが、もし生理のたびに毎月不快な症状を抱えているなら我慢する必要はありません。
対処法として、まずは痛み止めを上手に飲めるようになることが必要です。子宮内膜がはがれて子宮から経血として体の外へ出ていくときに、プロスタグランジンという痛み物質が分泌されます。プロスタグランジンが全身を回って、子宮の筋肉や脳の血管や腰の筋肉などをギュッと締め付けて月経痛が起こります。
痛み止めの薬は、できてしまったプロスタグランジンを減らすのではなく、プロスタグランジンが作られるところをブロックする役割ですから、少し痛みそうだなと思ったらすぐに飲む、というタイミングを押さえましょう。
それでも痛みがひどければ婦人科を受診しましょう。医師と相談して、低用量ピルなどで生理をコントロールすることで月経痛を緩和できます。
そもそも生理は出産のためのしくみなので、出産をしたい時期に毎月きちんと生理があるのはとても重要なことです。けれど妊娠の必要がない時期に毎月生理に付き合う必要はない時代だと、親側の意識をアップデートすることも大切です。
生理にまつわる心身の不調、男の子にも教えて
※画像はイメージです
――生理痛もそうですが、生理前の症状(月経前症候群:PMS)に悩む子も少なくありません。この存在を知らないと家族としても困惑するかもしれませんよね。男兄弟にもなにか伝えておいた方がいいものでしょうか?
サッコ先生 女性ホルモンには、排卵の準備等をする役割のエストロゲン(卵胞ホルモン)と、妊娠を維持する役割のプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があります。排卵後から生理前はプロゲステロンの分泌が増える時期で、妊娠をしたいかしたくないかに関わらず、体は毎月この時期には“妊娠に向けた状態”になります。
だから、排卵から生理までの時期は、妊娠を継続しやすいような状態、アクティブな活動を抑制するような症状が現れるんです。体を休ませるために眠くなったり痛くなったり、また、他の人との関わりを減らすよう、トゲトゲ・イライラしたり。
異性の家族には、このような女性の体のしくみを説明して、生理前の時期はイライラしてもそっとしておいてあげようね、やさしくしてあげようね、と声をかけましょう。
――なるほど。それならば、家族内に女性が母親だけだとつい不調を我慢しがちですが、包み隠さず「今、ママは生理前(生理中)でつらいの」と伝えたほうがいいですよね?
サッコ先生 堂々と言いましょう。「おなかが痛いからお手伝いしてね」と、サポートしてもらうのもいいと思います。男の子が、女性の生理痛を知らずに育ってしまうと、のちにパートナーになる女性もきっと困りますよね。
私は、以前子宮筋腫が原因で出血量が多く、痛くて寝込んでいたことがありました。買い物に出られずナプキンがなくなってしまったので、当時中2だった息子に「このナプキンを買ってきて」と写真を送ってお願いしたら、何の問題もなくスムーズに買ってきてくれました。男の子にはそういうミッションを与えてみるのもいいかもしれませんね。ティッシュなどの日用品を買うのと同じことですから。
■ 体の変化を伝えるには、わかりやすい性教育本もおすすめ
――男の子の精通について、どういうタイミングで教えてあげるといいですか?
サッコ先生 小学校4年生の保健体育の授業で精通という言葉が出てきますが、実際に精通が起こる平均年齢は14歳くらいです。10歳くらいの男の子は、言葉は知っているけれど自分ごととしてはまだ考えられていないかもしれません。
わが家には山のように性教育の本があるので、その中から息子が小5くらいなったら渡そうと、漫画で書かれた性教育の本『おれたちロケット少年』(子どもの未来社)を用意していました。ところが、小2くらいのときに息子がその本を自分で見つけて、ゲラゲラ笑いながら読んでいました。その後、何回かその本が本棚から出されて読み返された形跡があったので、おそらく自分の体に変化が起きたときに読んだんだと思います。
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――漫画で書かれた本ならわかりやすそうです。全てを親の口から伝えるのはハードルが高い場合、性教育本などの助けを借りていいんですね。
サッコ先生 必要なときに正しい情報を得られるように、家庭に性教育の本を置いておくのはおすすめです。異性の親はとくに、自分の言葉で説明するのは難しいかもしれないので、「この本に書いてあることは何でも質問していいよ」と言いながら渡してあげるといいでしょう。
体の成長に関することって個人差が大きくて、精通が早めに始まった子は恥ずかしがったり、遅い子は心配になったりすることがあります。体の変化が起こることは自然なことで、人によって違うのは当たり前なんだよ、からかいの対象になることではないんだよ、と教えておくことは、子どもの周りの人を守ることにもつながると思います。
(解説:高橋幸子先生 取材・文:早川奈緒子)
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