「誰とどんな時間を過ごすか」中条あやみが大切にしている、生き方の選択
- マイナビウーマン |

取材・文:ねむみえり
撮影:佐々木康太
編集:杉田穂南/マイナビウーマン編集部
ヘアメイク:山口朋子(HITOME)
スタイリスト:倉田強
人生は一度きり、ということを、普段意識することはあまりないかもしれない。毎日仕事や生活で精一杯で、気がつけば時間が経ち、あっという間に1年が終わったりする。
しかし、そんな日常は当たり前ではないということを教えてくれるのが、映画『ストロベリームーン 余命半年の恋』だ。
2023年に刊行された、芥川なおのベストセラー小説をもとにした本作は、余命半年と宣告された桜井萌と、高校の入学式で突然告白された佐藤日向を軸にしたラブストーリーでありながら、萌を見守る両親や友人たちの心情や人生も丁寧に描いたヒューマン映画でもある。
萌の親友である高遠麗の13年後を演じているのは俳優やモデルとして活躍する中条あやみさん。大切な親友を失っても、自分の人生は続いていくという現実に直面している麗を演じる上で意識したことについて聞くと、役作りの話から、彼女が大事にしている「人生のテーマ」に繋がっていった。
■役を引き継ぐうえで意識したのは、時間の経過
「高遠麗」というキャラクターについて、「自分の芯の強さをしっかりと持ちながらも、人にも優しくできたり、愛情をあげることができたりする、すごく器の大きい人間。しかもそれを高校生の時からできている、すごくいいやつ」と表現した中条さん。
自分自身の中で麗と似ている部分があるかどうか聞くと、「ちょっと男勝りで、元気ハツラツで、負けず嫌いで、強気な部分が結構似ている」と話し、高校生時代の麗のシーンを見た時には、「本当に自分がこういう高校生活を送ってたんじゃないかなと思えるぐらい、感情移入ができた気がします」と、麗に対して共感する部分が多かったことを教えてくれた。
高校生時代の麗を演じた池端杏慈さんから役を引き継ぐことについて、「クランクインする前に少し映像を見せてもらったんですが、すごくすてきに麗を演じていたので、自分でいいのかなと、少しプレッシャーがありました」とこぼしていた中条さん。そう打ち明けつつも、「13年の間に、麗にもいろんな葛藤が生まれたと思うので、その時間がちゃんと見えたらいいなというのは思っていました」と話す姿からは、麗というキャラクターに対する真摯さを感じた。
大切な人を失っても、残された人間たちの人生は続いていく。それならば、大切な人を大切に思ったまま、どうやって生きていくのか。中条さんが演じた麗は、劇中でその葛藤を表現してくれていた気がする。
そんな麗にとって大切な存在にあたるのが、高校生時代の親友である萌。中条さんは大人になった麗を演じたため、萌ちゃん役の當真あみさんと一緒になるシーンがなかったが、役作りにあたり「本当に自分が萌のことが好きで、親友だったと思えるにはどうしたらいいかなと考えて、携帯電話の待ち受けを萌ちゃん役の當真あみさんにしていました」と、ニコニコしながら教えてくれた。
■「棺桶に何を持っていくか」ということを考えて生きている
本作では、限られた時間の中でどう生きるか、ということが描かれている。中条さんに、麗を演じながら「生きること」について考えた瞬間があったかを尋ねると、こう答えてくれた。「もともと不安になりやすいので、考えない時もあるけど、結構計画的に考えて生きるタイプです」。
さらに続けて、少しユニークな“人生観”も明かしてくれた。「棺桶に何を持っていくか、みたいなことを考えて生きていたりします。謎のテーマなんですけど、自分の中では棺桶というのが究極だなと思って」。
“棺桶”というキーワードが出てきたことに驚いたが、そこに彼女の持つ、凛として芯のある雰囲気の根源があるのだと感じた。
そんな中条さんの時間に対する価値観が変わった転換点は、コロナ禍だったという。
「みんなに会えることが当たり前じゃない世界になったじゃないですか。いつでも会えると思っていたけど、そうじゃない日が来るんだなということを、すごく突きつけられたように思いました。誰と過ごすかとか、どんな時間を過ごすのかとか、その時間については、より考えるようになりました」
全ての人がコロナ禍を経験しているからこそ、「誰とどんな時間を過ごしていくか」という中条さんが大切にしていることについて共感する人も多いのではないだろうか。
さらに本作に絡めて「生きること」について話を聞くと、中条さんの人生観が垣間見えた。
「この映画でも、人と会える時間の大切さというのは描かれていると思うんですが、本当に人生一度きりと思っていて。だから人生において後悔したくないし、ひとりでは感じられる幸せに限界があると思うので、いろんな人と出会って、いろんな人生を知りたいと思っています。
もちろん、人生って良いことだけじゃないので、傷つくこともあると思うんですけど、そういうことにどう向き合っていくか、もしくは、忘れて手放していくかって、自分で選択できると思うんです。いろんな人生の生き方があっていいと思うんですけど、私はせっかくなら、いろんな面白い経験をした方がいいなって思いますね」
■誰かに期待するよりも、自分で小さな幸せを発見していく
中条さんの人生観は、彼女の仕事の幅にも表れている気がした。
モデルからキャリアをスタートし、女優としても活躍する中条さんに、新しい仕事に挑戦する時に、どのように1歩踏み出しているかを聞くと、「毎回無理だわ、と思うんですけど(笑)結局時間は待ってくれないし、自分にできることをやるしかないので。始まったら楽しむというのは決めています」と話してくれた。
長年出演されている『東京ガールズコレクション』でも、いまだに始まる時は緊張するという中条さん。颯爽とランウェイを歩く姿からは想像できないが、「始まったら楽しむ」と決めている彼女だからこその魅力が溢れているのかもしれないと、ふと思った。
最後に、中条さんに人生を楽しむためのヒントを聞くと、「私もまだそれを模索中なんですけど」とした上で、「いい意味で人に期待しない」と答えてくれた。少しネガティブにも聞こえるかもしれないが、そうではない。
「誰かに期待しちゃうよりも、自分で見つける小さな幸せがある方がいいなと思うんです。今日の気温、めっちゃ過ごしやすいなとか、おいしいもの食べられたなとか、小さな幸せを自分で発見できる力が鍛えられると、1番幸せな気がします」と話し、「なので、ぜひストロベリームーンの日は空を見上げてください」と満面の笑顔でインタビューを締めくくった。
仕事や生活で忙しい日々を送っていると、何のために頑張っているんだっけ、と思う瞬間がある。それは、日常に転がっている小さな幸せを見失っている証拠なのかもしれない。
「自分の棺桶に何を持っていくか」を頭の片隅に大きなテーマとして置いておきながら、満月の夜には空を見上げたりして、小さな幸せを発見していくと、一度きりしかない人生を、より楽しさでいっぱいにできるのではないだろうか。
『ストロベリームーン 余命半年の恋』
子どもの頃から病弱で、家の中だけで過ごしてきた桜井萌。15 歳の冬、余命半年と医師から宣告される。家族が悲しみに暮れるなか、高校に通うことを決意した萌は、同じクラスの佐藤日向に突然告白する。
恋人同士となって少しずつ距離を縮めていく2人は、萌の誕生日に“好きな人と一緒に見ると永遠に結ばれる”という満月「ストロベリームーン」を見に行く夢をかなえる。しかしその日を境に、萌は音信不通となってしまう。萌が消えた理由とは。そして 13 年後に明かされる、萌の思いとは......。
原作:芥川なお『ストロベリームーン』(すばる舎)
脚本:岡田惠和
監督:酒井麻衣
配給:松竹
©2025『ストロベリームーン』製作委員会
中条あやみ
女優/モデル
1997年2月4日生まれ、大阪府出身。
映画・ドラマ・雑誌・CMを中心に幅広く活動中。
「君と世界が終わる日に」シリーズ(NTV系)や映画「あまろっく」などの話題作に出演し、フォトエッセイ「明日へのことば」(幻冬舎)が発売中。
TBS火曜ドラマ「じゃあ、あんたが作ってみろよ」に出演中。
映画「ストロベリームーン 余命半年の恋」が10月17日より公開。
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