成績が悪いから「ゲーム禁止」…親子関係が壊れる? 子どもをしつけるときに親がやりがちな“NG行為”とは
- オトナンサー |

「成績が悪いからゲーム禁止」は逆効果?(画像はイメージ)
子どもの学校の成績がよくないと、つい「ゲームは禁止」「遊んじゃダメ」などと厳しく接してしまう人は多いのではないでしょうか。実は、こうした対応は逆効果になることもあります。
「良かれと思って」やっていたことが子どものやる気の芽を摘む理由や、子どもが前向きに勉強に取り組むために親ができることなどについて、探究型学習に特化した民間学童保育「ユレカアフタースクール」(東京都江東区)校長で、教育アドバイザーの鶴原頌太郎さんに聞きました。
行動制限は親子関係に悪影響
Q.子どもの学校の成績が悪いときに「しばらくゲーム禁止」「遊んじゃダメ」などと子どもの行動を制限する人がいます。子育て上、このようなしつけは問題ないのでしょうか。
鶴原さん「子どもからゲームを強制的に取り上げる『ゲーム禁止令』は、一時的な勉強時間を確保できても、長期的には子どもの成長と親子関係に悪影響を及ぼします。この悪影響として、主に6つの問題点が挙げられます。
1つ目は、人間には、禁止されるほどその対象が気になってしまう『カリギュラ効果』です。ダメと言われるほど子どもの頭の中はゲームでいっぱいになり、ゲームを禁止される前よりも、ゲームへの執着心を高めてしまいます。
2つ目は、『ゲームを取り上げられたから勉強する』という流れを繰り返すと、勉強が『苦痛なペナルティー』と認識されてしまうことです。これでは、子どもが進んで机に向かう『やる気』の芽を摘んでしまうことになります。
3つ目は、勉強時間が増えても、無理やり机に座らされた状態では勉強の中身が伴わないことです。集中力がない形だけの勉強は、成績向上に結びつきにくいのが現実です。
4つ目は、ゲームというストレス発散の手段を一方的に奪ってしまうことです。子どもが心のバランスを崩し、イライラや無気力など、他の不調を生じさせるリスクがあります。
5つ目は、子どもが自分の大切なもの・ことを否定されたと感じ、親に心を閉ざしてしまうことです。その結果、学校の悩みなどを親に相談しにくくなってしまう副作用が生じます。
6つ目は、親が何でも決めてしまうことで子どもが受動的になり、悩み、考え、自分で決めて行動する『自己管理能力』を磨く機会を奪ってしまうことです」
ゲームが原因で成績が低迷している場合は?
Q.もし子どもの学校の成績が低迷している原因がゲームや遊びなどにある場合、親はどのように対処したらよいのでしょうか。子どもに無理なく勉強してもらう方法はありますか。
鶴原さん「ゲームをすることが、直接的に成績を低下させるわけではありません。問題はゲームをやり過ぎて生活のバランスが乱れ、勉強時間が少なくなることにあります。
まず、親が一方的に決めたルールは、子どもにとって『押し付け』でしかありません。親子で一緒に『納得感のあるルール』をつくりましょう。ルールづくりに子どもを参加させて、『自分で決めた』という感覚を持ってもらうと、物事への意欲は変わるものです。自分の決断に対する責任感が生まれ、『親から守らされるルール』から『自分で守るルール』へと変化していきます。
ルールを決めるときは、『1時間勉強する』といった時間で縛るのではなく、『宿題を3ページやり切る』といった具体的な『成果』にするのがポイントです。ただダラダラと机に向かっているだけの状態を回避できますし、子どもは目標達成のために『集中して早く終わらせよう』と工夫し始めます。
また、テストの点数という結果だけでなく、勉強に集中していたことや工夫したことなど『努力の過程』を具体的に褒めましょう。『自分の力で状況を変えられる』という成功体験が積み重なると、子どもは『自信』を持つようになります。この自信は、難しい課題にも前向きに挑戦するエネルギーとなります。
子どもに『勉強しなさい』と言う以上に効果的なのは、親自身が何かを学んだり、読書を楽しんだりする姿を見せることです。親が一緒に何かに集中する時間は、家族の間に『安心して学べる空気』をつくります。また、子どもの学習内容に関心を持ち、一緒に楽しむ姿勢を見せると、子どもの知的好奇心が刺激され、意欲的な学習態度がさらに引き出されていくでしょう」
成績が低迷しているときに親がやりがちな行為
Q.これまでのお話を踏まえ、子どもの学校の成績が低迷しているときに親がやりがちなしつけはありますか。
鶴原さん「成績が振るわないと、親としては『今日からこれをやりなさい』と決めてしまいたくなりますよね。しかし、親が子どもの行動を一方的に決めてしまうことには、リスクがあります。
人間には、自由を奪われそうになると、無意識に反発して自由を取り戻そうとする『心理的リアクタンス』という性質があります。成長期の子どもに顕著に表れるため、親の意向を強制すると強い反発心が生まれ、勉強そのものへの拒絶反応を引き起こすなど『逆効果』になりかねません。
また、子どもは『自らの意志で行動し、うまくいった』という経験を重ねることで『自分を信じる力(自己効力感)』と『自立心』を育てていきます。親が過度に介入して支配的に振る舞うと、子どもは失敗を恐れて受け身になり、健全に成長する機会を逃してしまいます。
親が管理を強めすぎて、親子関係が『支え合い』から『支配と服従』という対立構造に変わってしまうことも心配です。子どもが本当に困ったときに親を頼れなくなることは、最も避けたい事態です。
そうした意味でも、今は一歩引いて、子どもの『主体性』を大切にし、子どもの『伴走者』として関わることが大切です」
* * *
成績不振への「ゲーム禁止」は、子どもからの心理的反発を招き、勉強を苦痛なものに変えてしまう可能性があるといいます。一方的な制限は親への信頼を損なうだけでなく、ゲームに執着を強めるなど逆効果になりかねません。
大切なのは、親が伴走者となり、子どもの主体性を引き出すことです。努力のプロセスを認め、親も学ぶ姿を見せることで、家庭を「安心して挑戦できる場」に変えていきましょう。この積み重ねが、子ども自ら机に向かう意識を育むはずです。
オトナンサー編集部
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