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日本に「根を下ろす」北欧サーブが熱視線を送るワケ 日本式「上が決める」企業文化と付き合う“覚悟” 日本支社長に聞く

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  • 乗りものニュース
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千葉県の幕張メッセで開催された日本最大の防衛装備品展示会「DSEI Japan」にて、スウェーデン最大手の防衛関連企業であるサーブが出展。日本における新たなビジネス戦略を展開していることを、同社日本支社長に直接伺いました。

日本におけるビジネス展開を一新

 千葉県の幕張メッセで、2025年5月21日から23日にかけて開催された大規模な防衛・安全保障の展示会「DSEI Japan 2025」では、世界各国から数多くの防衛関連企業がブースを出展していました。2022年末にいわゆる「安保関連3文書」が策定されて以降、日本政府は防衛費を大幅に増額しており、各国の企業にとって日本は有望な市場とみなされています。

Large figure1 gallery6 サーブ製の高速攻撃艇「CB-90」。日本におけるライセンス生産の可能性もある。

 そんな企業の一つに、スウェーデンのサーブがあります。日本ではかつての自動車メーカーのイメージが広く定着している同社ですが、じつはスウェーデンの主要な防衛関連企業であり、これまでも日本で長らく防衛関連事業を展開してきました。今後はさらにその存在感を高めようとしているとか。そこで、筆者(稲葉義泰:軍事ライター)は同社が描く今後の戦略などについて、サーブジャパンのラーズ・エリクソン支社長にお話を伺いました。

 まず、サーブの日本支社の位置づけについて、これまでとは大きく変化したとエリクソン氏は語ります。

「1年前、弊社の日本オフィスは『サーブインターナショナル』の支社という位置づけでしたが、現在は現地法人(株式会社)となっています。これは、現地に根を下ろすことで、より信頼を得やすくなり、人材採用もしやすくなり、これまで得られなかった情報や入札機会にアクセスできるようになるからです。

 まだ小さな組織ではありますが、成長の兆しを見せています。私が着任した2年半前は社員1名でしたが、現在は5名にまで増えました。これは我々にとって大きな成長です。日本はこの地域で最大の経済・技術的エンジンであり、我々にとっても将来的に成功を収められる市場だと信じています」

 また、エリクソン氏は日本の産業界との協力関係をさらに発展させていきたいと説明します。

「日本では、特に無人システムへの投資が活発になっています。日本では人口減少が進んでおり、兵士 も技術者も減少傾向にあります。ですから、より効率的であることが求められています。

 スウェーデンは人口がわずか1000万人しかいませんが、そのぶん効率性に優れています。一方で、国の規模を考えると、他国との連携が不可欠であり、それは我々のDNAに刻まれています。サーブも、他国と協力しながらシステム統合を主に担い、各国から様々なコンポーネントを調達して装備品を生産しています。

 そこで、日本の産業界ともより緊密に協力していきたいと考えています。現在、日本国内で実施している産業協力としては、ジャパン・マリンユナイテッド(JMU)が製造している掃海艇に関するものが唯一です。これはライセンス供与に基づくもので、今後はこうした協力をさらに拡大させていきたいと考えています。たとえば、弊社製の高速攻撃艇である『CB-90』の日本におけるライセンス生産という選択肢もあり得ます」

日本とスウェーデンが「互恵的な協力関係」を構築できるワケ

 2022年以降、世界の安全保障政策は大きく変化しました。日本も例外ではないことは、論を待たないでしょう。そこで、エリクソン氏に「近年の日本における安全保障政策での最大の変化」について伺ったところ、次のような答えが返ってきました。

Large figure2 gallery7 サーブジャパンのラーズ・エリクソン支社長(サーブジャパン提供)。

「まず強く感じたのは、日本が『防衛装備を輸出する意思を持つようになった』ことです。これは以前にはなかった動きです。今では日本が輸出を検討しており、特に『グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)』の開始が、この動きを後押ししたと見ています。

 我々は現在、このプログラムに向けて、とある部品を提供する可能性について、ある企業と協議しています。非常に小さなコンポーネントではありますが、将来的に日本製装備品の輸出をサーブの技術で支援できる可能性があると考えています。価格面でも、サイズや柔軟性の面でも、大手競合より優位に立てる部分があるからです。そこが我々の強みです」

 さらに、エリクソン氏は防衛装備品の開発や製造について、日本とスウェーデンは有意義な協力関係を構築できると説明します。

「たとえば、輸出を念頭に置いた場合、日本では装備品の製造キャパシティの問題があるかと思います。じつはスウェーデンも同様の課題を抱えており、両国間で協力できる部分があると思います。たとえば、スウェーデンではすでに艦船用の炭素繊維製構造物の製造キャパシティが限界に達しています。船体は鋼製でも、上部構造やマスト部分は炭素繊維で作っており、それについて日本の協力を仰いでいます。

 逆に、日本市場がスウェーデンに何かを求める可能性もあるでしょう。これまで、私たちはあくまで日本への輸出に主眼を置いてきましたが、2022年に日本とスウェーデンの間で締結された『防衛装備品・技術移転協定』によって、双方向の装備品売買や共同開発が可能となりました。

 これにより、近い将来、実際に何らかの協力プロジェクトが始まることを期待しています。現在、具体的な進展はまだありませんが、防衛装備庁やスウェーデン側のカウンターパートも、この展示会などで『どの分野で連携できるか』を話し合っており、双方の関心を持つ分野を模索している状況です」

重要なのは「企業文化」を理解しあうこと

 日本企業との協力について、とくにスウェーデンと日本で共通する企業文化が重要だと、エリクソン氏は言います。

「日本とスウェーデンには、いわゆる『コンセンサス文化』が共通して存在しています。意思決定のスタイルは異なるかもしれませんが、いったん方向性が決まれば、実行に移す力があるという点で似ています。

 スウェーデンでは、会議のテーブルを囲んで上司も技術者も製品担当者も一堂に会し、皆で合意を形成します。一方、日本では組織構造の上下関係の中でコンセンサスが形成されます。違いはありますが、最終的に合意形成を重視するという点では共通しています。

 このコンセンサス形成には時間がかかることもありますが、決定されたことに対する遂行力は非常に高いと感じています。そして、それは高品質な製品として結実しています。我々サーブにも、同じような文化があります」

 そのうえで、エリクソン氏は日本企業との協業のカギとなるのは「互いの相違点や共通点を理解すること」であると説明します。

「もちろん、日本の伝統的な企業文化の中には他社との協業に対して複雑な心境があることも理解しています。でも、そうした文化も少しずつ変わりつつあります。『すべての物事を自分たちだけでは完結できない』という認識が広まりつつあるように感じます。

 我々も同じです。サーブだけで何もかもはできません。ですから、私の日本での任務は、単にサーブの製品を売るだけではなく、『能力』を売ることでもあります。つまり、協業によって双方の生産能力や開発能力を高めていくということです。

 もちろん、こうした取り組みには時間がかかります。まずは、現地の文化や意思決定プロセスを理解しなければならず、それは簡単なことではありません。特に日本では企業における『階層性』が強く、スウェーデンのフラットな組織文化とは大きく異なります。スウェーデンでは現場の技術者と直接やり取りをしますが、日本ではそうはいきません。

 ただし、時間の概念やスケジュール遵守、会議の開始時刻、パワーポイントでの資料提示といった面では、日本とスウェーデンには非常に多くの共通点があります。一つひとつ順を追って進めていくスタイルも同様です。ですので、こうした相違点と共通点をきちんと理解することが、協業成功のカギになると考えています」

 日本を市場として有望視しているということの意味は、単に何かを売るというだけではなく、日本企業と真剣に協業を進めていくことでもあると、筆者は感じました。

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