黒いホクロは「皮膚がん」？　一般人が見分けることはできるのか…皮膚科専門医が早期受診をすすめるワケ

　皮膚の細胞が、がん化して増殖する「皮膚がん」。顔や手足など目に見える場所にできることが多いため、早期発見されやすいといわれています。その手掛かりとなる、見た目の変化は一体どんなものがあるのか……。そこで、皮膚科専門医の慶田朋子さんに、皮膚がんの種類や見分け方、受診の目安について聞きました。

皮膚がんの多くは、顔面や四肢にできる

Q. まず、「皮膚がん」について教えてください。

慶田さん「皮膚がんの定義は、皮膚から発生し、無尽蔵に増殖して発生部位の正常組織を破壊し、機能障害を生じさせます。その後、リンパや血液に乗って遠隔転移し、全身で増殖を繰り返して、やがて死に至らしめます。

皮膚はさまざまな起源を持つ細胞によって構成され、各々の細胞ががん化することがあります。そのため皮膚がんの種類は多く、代表的な皮膚がん、および前がん状態だけでも、『基底細胞がん』『有棘細胞がん』『ボーエン病』『パジェット病』『悪性黒色腫（メラノーマ）』があります。

皮膚がんの多くは、日光に当たる顔面や四肢にできます。高齢者に比較的多く、紫外線や外傷、慢性的な刺激や炎症、ウイルスなどが関与するとされますが、はっきりとした原因は不明です。ただ、内臓にできるがんと違い、目に見える部位にできるため、早期での発見が可能です」

Q. 一般人が皮膚がんを見分けることはできますか？

慶田さん「皮膚がんを見分けるサインは、左右非対称、染み出し、色むら、急速な増大、一部がびらんになる・出血する、見た目が汚いなどがあります。

これらのサインを総合的に見て診断します。とくに見分けるのが難しいのが、『悪性黒色腫（メラノーマ）』です。その多くが黒色調の色素斑ないし腫瘤で、ほくろとの区別が難しいことがあります。一般の方が見分けるのはとても難しいので、皮膚科専門医の目を頼ってください。

『ほくろか皮膚がんか、わからない…』という状況でも、もちろん受診は可能です。放置して手遅れになってからでは遅いので、早めに受診してください。『この程度で受診して…』などとしかる皮膚科医はいません！」

Q. 受診の判断基準を教えてください。

慶田さん「一般の方が皮膚がんを見分けるのは難しいと思いますが、気になる変化を見つけるためにも、定期的に全身のホクロやシミをチェックするのがおすすめです。自分でチェックしにくい頭髪部や背中も、ご家族や友人に見てもらえるとよいですね。

（1）ほくろ・しみの形が左右対称ではない
（2）ほくろ・しみの境界がギザギザしている
（3）ほくろ・しみに色むらがあり、濃淡が混じっている
（4）ほくろ・しみの直径が6mm以上ある

上記のうち、2つ以上当てはまるものがあれば、皮膚科専門医を受診しましょう。

また、日本人は足の裏にメラノーマができることが多くあります。歩行による外的刺激が発生に関わっていると考えられ、防ぐことはとても難しいです。時々足の裏や靴がよくあたる母趾が黒くなっていないか確認しましょう。こうした外的刺激による皮膚がんの発生は、足の裏に関わらず起こる可能性があります。ホクロを頻繁にいじる、むしり取ろうとするなど、過度の外的刺激は与えないようにしてください。よく刺激を与えてしまうホクロに変化があれば、皮膚科を受診して相談しましょう」

　皮膚がんは、見た目の変化から早期発見できる可能性がある病気ですが、放置すれば進行してしまう怖さもあります。定期的なセルフチェックと早期受診が予防の第一歩。気になる症状がある場合や、自分では判断ができない場合も、迷わず皮膚科専門医に相談しましょう。

オトナンサー編集部

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