都知事選報道 候補者22人なのにいつも5人だけ紹介、なぜ差がつく?
- オトナンサー |

7月5日の投開票に向けて、東京都知事選が行われています。
首都のトップを選ぶ選挙ということで、全国的にも報道されていますが、多くの場合、演説での発言や主張、人となりを取り上げられるのは、現職と4人の新人候補、届け出順では、れいわ新選組代表の山本太郎氏、現職の小池百合子氏、元日弁連会長の宇都宮健児氏、元熊本県副知事の小野泰輔氏、NHKから国民を守る党党首の立花孝志氏の5人です。
ほかに17人の立候補者がおり、全22人の過去最多の選挙戦ですが、17人の主張が報道されることはほとんどありません。同じ候補者なのに報道で差がつく理由について、報道番組の制作にも詳しい広報コンサルタントの山口明雄さんに聞きました。
実績や公認の有無などで判断
Q.都知事選の報道で、主に取り上げられる5人と、あまり取り上げられない17人の違いは何でしょうか。
山口さん「違いは各報道機関の判断で生まれます。その基準は、各候補者の予想獲得投票数が“有力な”候補としてのレベルに達するかどうかだと思います。テレビニュースに主に取り上げられている5人と、あまり取り上げられない17人については、民放各局もNHKも新聞社もほとんど同じです。しかし、報道機関の間で協定を結んでいるわけではありません。
各局・各紙は、現職であるか、政治家としての実績や人気はどうか、政党公認や推薦・支持・支援などはどうか、過去に都知事選や都議選に出馬しているか、している場合は得票率などの結果はどうだったかなどを参考にして、得票数の予想をします。その結果が、どの局もほぼ一致したということだと思います」
Q.ほかの選挙でも、同様でしょうか。
山口さん「ほかの選挙でも同じです。紙面にも放送時間にも限りがあるので、選挙報道に割く紙面の大きさ、放送時間の割り当てはあらかじめ、各報道機関が大枠を決めます。
枠内で、選挙の全体的な流れ、候補者の主張、有権者の反応などを含む質が高い報道を行うためには、候補者が多い場合、有力な候補者に絞って、その主張や活動を伝えることが最良の方法であると報道機関は考えているようです」
Q.候補者によって、取り上げる放送時間や紙面のスペースに差がつくことに法的問題はないのでしょうか。
山口さん「候補者の取り上げ方の違いについて、法的な問題があるかどうかについては、議論の余地があると思います。憲法は、すべての国民に対する法の下の平等を保障しています。放送法4条は番組の編集にあたって、政治的に公平であること、意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすることなどを規定しています。
また、公職選挙法は、選挙運動における候補者間の公平・平等を保障しています。報道が一部の候補者に偏重することになれば、この法律の精神に反するのではないかとの議論です。
今回の都知事選に関連して、候補者の一人が総務省宛てに『東京都知事選挙において放送法4条に基づき政治的に公平な報道を求める申入れ書』を提出しています。『前回の都知事選では“主要3候補”の報道が圧倒的に多く、他の候補者は不公平な扱いを受けた。今回は各候補者について公平な報道を行うよう、あらかじめ民放各社に対する指導を求める』という趣旨です。
ただ、過去に裁判となった事例では、取り扱いの差を容認する判決が出ています。1983年の参議院選挙東京選挙区には、34人が立候補しましたが、氏名しか報道されなかった侯補者が『不公平な扱いを受けた』として放送局に損害賠償を求めた裁判です。
1986年2月、東京高裁は『選挙報道には政見放送や経歴放送と同じレベルの平等な取り扱いは要求されていない。当該放送は番組編集の自由の範囲内である』として訴えを棄却しました。最高裁もこれを支持しました。
また、新聞の選挙報道についても、『知名度の高い候補者や大きな組織を持つ候補者を“主な候補者”として紹介し、特別扱いするのは不公正で違法』と新聞社が訴えられた裁判がありましたが、東京地裁が1981年5月に原告の訴えを棄却しています」
Q.公的機関への申し入れの結果があれば、そちらも教えてください。
山口さん「2016年の参院選と東京都知事選をめぐって、視聴者から、『参院選の全体の放送量が減少した』『東京都知事選の一部の候補者のみを取り上げ、公平でない』などの意見が放送倫理・番組向上機構(BPO)に多数寄せられました。BPOはNHKや民放局の出資による団体で、正確な放送と放送倫理の高揚に寄与することを活動の目的として掲げています。
BPOは2017年2月、対象となった参院選と都知事選の複数の個別番組については、いずれも『放送倫理違反はない』『編集の自由が保障されている以上は、求められているのは、露出時間などの量的公平性ではなく、取材で知り得た事実を偏りなく報道し、明確な論拠に基づく評論をする質的公平性だ』『政治的公平性は、報道の質で保つべきだ』とする意見書を公表しています」
主張や人となり、知る手段は?
Q.報道で主張がほとんど取り上げられない候補者について、有権者がその訴えや人となりを知る手段を教えてください。
山口さん「NHKと民間放送事業者は公職選挙法に基づき、国会議員、および都道府県知事を選ぶ選挙において、すべての立候補者の政見をそのまま放送することになっています。また、すべての候補者や政党の政見などを記載した文書、つまり『選挙公報』は公費で有権者に配布されます。
さらに、2013年にインターネットを活用した選挙運動が解禁となり、 政党や候補者はホームページ、ブログ、SNS、動画などで、政見などの情報発信を含む選挙運動ができるようになりました。一般市民も、ホームページやブログ、SNSなどで候補者や政党の応援ができます。
ほかにも、選挙事務所を訪ねる、選挙事務所に電話するなどして、候補者の訴えを聞くことができます」
Q.報道での扱いの差は、このままでよいと思われますか。それとも改善すべきだと思われますか。
山口さん「改善すべきだと思います。例えば、アメリカの大統領予備選挙や大統領選で、現地のテレビ局が放送している候補者間の討論会のようなものを放送するというアイデアはいかがでしょうか。討論会であれば、すべての立候補者が平等に参加することは、やり方次第で可能になると思います。
また、候補者の一方的な主張ではなく、候補者間の議論を見聞きすることにより、有権者の理解や判断が大きく前進するのではないかと思います」
なお、今回の都知事選には、先述の5人に加え、七海ひろこ、桜井誠、込山洋、竹本秀之、西本誠、関口安弘、押越清悦、服部修、斉藤健一郎、後藤輝樹、沢紫臣、市川浩司、石井均、長沢育弘、牛尾和恵、平塚正幸、内藤久遠の各氏が立候補しています。
オトナンサー編集部
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