「日本最大級のスイッチバック」は1枚に収まるのか? 高低差188mのジグザグ登坂を空撮
- 乗りものニュース |

立野のスイッチバックを空から観察
JR豊肥本線は熊本と大分を結び、九州を横断しています。その道は険しく、阿蘇山を越えねばなりません。熊本平野は瀬田駅付近で終わり、行く手には阿蘇の外輪山の山々が立ちはだかります。
立野駅を発車して熊本駅へと向かう赤い車体の「九州横断特急」。2両編成の特急だ(2021年7月26日、吉永陽一撮影)
瀬田駅(熊本県大津町)は標高170m、立野駅(同・南阿蘇村)は標高277m、赤水駅(同・阿蘇市)は標高465m。この隣接する3駅の標高は、外輪山の急峻な地形によって、一気に上がっています。この難所を越えるため、立野~赤水間には「逆Z字」形をした三段スイッチバックが設置されました。
この「立野スイッチバック」は地図で見ても分かるように、とにかく大きいです。三段スイッチバックとしては、日本最大級の規模を誇ります。シンプルな逆Z形三段スイッチバック構造ですが、国土地理院の地形図で実測すると、引き上げ線と立野駅までの距離が直線で約1.5kmもあり、かなり大規模な構造です。
スイッチバックの勾配は33パーミルが連続し、蒸気機関車の時代は難所でした。何もこんなに険しい所へ線路を敷設しなくても……と思いますが、上空から観察すると阿蘇の外輪山が迫り、北側からは鞍岳の山々がせり出しているのが分かります。
熊本市内から東へ進むと、外輪山と南北の山々の合間に、黒川が形成したわずかな谷間があって、そこを縫って外輪山の西側へ抜けるルートが最適でした。そして、谷間の急峻な上り勾配を大掛かりなスイッチバックでクリアしたのです。
また、全国にあるスイッチバックだと、例えばJR篠ノ井線姨捨駅やJR土讃線坪尻駅のように、駅に停車する列車はスイッチバックをする一方で、通過列車は勾配を上り下りしながら通過できる「スルー形スイッチバック」も存在します。しかし立野スイッチバックは逆Z字形のため通過できる構造ではなく、全列車が立野駅と引き上げ線とをジグザグに行ったり来たりせねばなりません。
豊肥本線は2016年4月に発生した熊本地震によって運休に追い込まれましたが、復旧作業が進み2020年8月に全線で運転を再開しました。2026年7月の熊本地震でも一部区間が運休したものの、現在は復旧しています。
豊肥本線は特急の「九州横断特急」や「あそぼーい」などが立野スイッチバックを行き来しています。立野駅では熊本地震で復旧作業中だった南阿蘇鉄道も復旧し、列車の汽笛が再び聞こえるようになりました。立野スイッチバックは日常へと戻ってきています。
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