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「皿回らないやつ」もやめる 米軍の方向転換で自衛隊の早期警戒機どうなる? もう一つの「2035年問題」となる可能性

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  • 乗りものニュース
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自衛隊は「次期戦闘機」が完成するとみられる2035年頃までに、解決すべきもう一つの問題を抱えています。それは早期警戒管制機の更新。現代の防空に不可欠な装備ですが、存在自体が曲がり角に差し掛かっているかもしれません。

航空自衛隊が抱えるもうひとつの「2035年問題」

 航空自衛隊が現在運用しているF-2戦闘機は、2035年からの退役開始が見込まれています。

Large figure1 gallery5航空自衛隊が運用しているE-767(画像:航空自衛隊)

 このため防衛省・航空自衛隊はイギリス、イタリアと共同で進めている次期戦闘機の開発プログラム「GCAP」で開発される有人戦闘機の2035年就役を目指しているわけですが、実のところ航空自衛隊はもう一つの「2035年問題」を抱えています。それはE-767早期警戒管制機の更新です。

 今のところ防衛省・航空自衛隊はE-767の更新について明言していませんが、筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)が複数の企業関係者から見せてもらった資料には、E-767の更新目標年が2035年と明記されていました。

 E-767は大雑把に言えば、アメリカ空軍などが運用しているE-3早期警戒機管制機の最終生産型に搭載されている円形の大型レーダー(レドーム)や監視システムを、ボーイング767-200ER旅客機に移植したものです。運用開始後も数次にわたって、アメリカ空軍のE-3に準じた能力向上改修が行われています。

 このような機体は、前述のように早期警戒管制機と呼ばれ、搭載された円形のレドームは、回転することで通常の戦闘機や輸送機に搭載されるものよりも強力な広域探知能力を発揮し、高高度を飛行しながら、敵の攻撃が及ばない戦線後方でパトロールと航空戦の指揮を行う役目を担います。そのため、「空飛ぶレーダー基地」と称されることもあります。

 当初、アメリカ空軍はE-3に関して、2010年代前半に行った能力向上改修により、2030年代まで運用できると考えていました。ところが、ベース機のボーイング707が民間航空機としてほとんど使われなくなって久しいことから、補用部品の調達が困難になっており、稼働率は40%台に低下しているとも報じられています。

 また、2010年代後半以降に発生した紛争の教訓を精査した結果、能力向上改修を受けたE-3でも、現代の航空戦には次第に通用しなくなるという危機感も抱いていました。

 このためアメリカ空軍は数年前からE-3の更新を模索しており、今後E-3の能力向上改修は行われない可能性は無いと見て良いでしょう。その場合E-767をアメリカ空軍のE-3に準じた仕様に改修して、現代の航空戦に対応させていくことは難しくなります。

アメリカは「皿を回さない新型」で更新…しないかも?

 現代の軍用機は運用寿命が概ね30年程度に設定されていますが、アメリカ空軍は多くの機体が、運用開始から15年を経過したあたりから、維持運用コストが毎年3%から7%程度、上昇しているとの統計を発表しています。もちろん、これはアメリカ空軍に限った話ではありません。

Large figure2 gallery6人工衛星を活用した第6世代機支援のイメージ。エアバスが発表した「FCAS/SCAF」のコンセプトイラストでは、人工衛星と直接情報をやり取りする姿が描かれている(画像:エアバス)

 1999年の運用開始から現在まで、E-767の維持運用コストが毎年どの程度上昇しているのかは、航空自衛隊が明らかにしていないのでわかりませんが、先日筆者はE-767の1飛行時間あたりの運用コストがほぼ1億円に達しているという話を耳にしました。現在の日本にとってこの金額は小さなものではありません。防衛省・航空自衛隊もそこは承知しているからこそ、2035年を目標にE-767への更新を考えているのでしょう。

 前にも述べたようにアメリカ空軍はE-3の後継機を模索しており、2022年に一部のE-3をオーストラリア空軍などが運用している早期警戒管制機E-7「ウェッジテイル」で更新することを決定していました。この機体は、円形のレーダーであるレドームに代わり、板状のレーダー・アンテナを装備しているのが外観上の大きな違いです。

 しかし、ここに来てアメリカ国防総省は、政府の方針に則って、E-7の導入をキャンセルする方向に進んでいます。

 ピート・ヘグセス国防長官は2025年5月に、E-7では現代の戦場において生存が困難なため、人工衛星などを活用する宇宙ベースの空中移動目標の認識能力(AMTI)を拡充し、その能力が充実するまでは、航空自衛隊も運用しているE-2D早期警戒機でカバーしていくべきだと述べています。

 日本、イギリス、イタリアの「GCAP」や、フランス、ドイツ、スペインの「FCAS/SCAF」といった2030年代以降に実用化される戦闘機には、人工衛星と直接情報を送受信できる通信システムの装備が計画されており、おそらくアメリカ空軍のF-47や海軍で計画中のF/A₋XXなども、そのような能力を持つ戦闘機になると考えられます。

 またアメリカだけでなく、NATO(北大西洋条約機構)も、人工衛星を活用する「AFSC」(Alliance Future Surveillance and Control/将来同盟監視制御)という名称のシステムの検討を開始しており、GCAPのような軍用機やAFSCのようなシステムの整備が進めば、早期軽管制機の価値は相対的に低下すると予想されます。

結局、他国はどうするつもりなのか

 イギリス空軍はE-3の後継機としてE-7の導入を決定しましたが、フランス航空宇宙軍は2025年6月にE-3の後継機として、サーブの開発した早期警戒機「グローバルアイ」を導入する方針を示しています。

 前に述べたヘグセス国防長官は、「E-7は現代の戦場では生存不可能」と述べています。これは早期警戒(管制)機のような付加価値の高い航空機は真っ先に敵の攻撃の対象となる可能性が高く、旅客機ベースで非武装のE-7では生き残ることが困難であることを意味しているものと思います。

 フランスが導入するグローバルアイも非武装機ですが、搭載されている電子戦システム「AREXIS」は、敵性航空機のレーダーを無力化するほか、電子的に自機や味方航空機の幻影を作り出す能力を持つと言われており、従来の早期警戒(管制)機に比べて生存性が大幅に向上しています。

 なお、将来における先進諸国の空軍の状況認識能力に関しては、情報収集衛星やグローバルアイのような、自機の生存性を向上させた早期警戒(管制)機、レーダーを搭載するUAS(無人航空機システム)などを組み合わせたシステムによって成り立っていくと筆者は思います。

 これまで、E-767の後継機は順当に行けばE-7になる可能性が高かったと思いますが、同盟国であり、またお手本でもあるアメリカ空軍が方針を転換した以上、単なるE-767の後継機ではなく、状況認識能力と味方の生存性を高めるシステムの導入を検討していくべき状況になりつつあります。

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