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「提供:陸上自衛隊」の映像どう撮る? 令和8年熊本地震でも活躍、東京へ即座に現場を届ける「空飛ぶ巨大カメラ」の正体

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  • 乗りものニュース
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首相官邸にもライブ映像をお届け

 2026年7月28日に発生し、最大震度7を観測した「令和8年熊本地震」。発災直後からTVニュースやインターネット動画などで流れる上空からの被災地映像のなかに、「提供:陸上自衛隊」という文字が入ったものを見た人も多いでしょう。

Large figure1 gallery5発災を受け、ただちに飛び立つヘリコプター映像伝送装置を搭載した陸上自衛隊のUH-1J(柘植優介撮影)。

 いち早く現地の被害状況を捉えたこれらの映像。撮影しているのは、被災地を管轄する陸上自衛隊の西部方面隊などに配備された「ヘリコプター映像伝送装置」搭載のUH-1Jや最新鋭のUH-2などの多用途ヘリコプターです。

「ヘリコプター映像伝送装置」とは、その名のとおりヘリコプター搭載のカメラで撮影した映像を、リアルタイムで関係各所へ配信するためのシステムです。

 システムは、「機上撮影装置」と呼ばれるヘリコプター搭載用の大型カメラや機内搭載の各種撮影装置のほかに、「機上中継装置」という地上に送信するためのアンテナや、ヘリコプターから送られてきた映像データを地上で受けるための「地上受信装置」「移動受信装置」、さらに通信衛星を介して遠隔地に映像を送ることが可能な「衛星可搬局装置」などで構成されています。これらを用いることで、現場の状況を、遠く離れた自衛隊の各司令部や防衛省、首相官邸といった指揮所でも、ほぼ時間差なく視聴することを可能にしています。

 なお「ヘリコプター映像伝送装置」は、導入されてからすでに40年近く経っており、古くは1991(平成3)年の雲仙普賢岳(長崎県)の噴火災害や、1995(平成7)年1月の阪神・淡路大震災などで被災地の情報を収集するために使われました。

 これらで実績を重ねるとともに随時改良が加えられ、2000年代初頭までには陸上自衛隊の北部(北海道)、東北(東北)、東部(関東甲信越)、中部(東海北陸近畿中国四国)、西部(九州沖縄)の5個方面隊すべてに配備が完了しています。

新型は衛星通信タイプ

「ヘリコプター映像伝送装置」を搭載した機体は、災害発生後、すぐさま飛び立ち上空偵察が行えるよう、常にスクランブル待機についています。

Large figure2 gallery6ヘリコプター映像伝送装置を搭載したUH-1Jヘリコプター。緑の矢印で指したものが機上撮影装置のカメラ、赤い円で囲ったものが撮影データの送信部(柘植優介撮影)

 要員は、ヘリコプター操縦士のほかに、現場の様子を実況するナレーター、カメラを操作するカメラマン、各種の調整を担う組長からなる空中伝送班が乗り込む形を採っています。

 運用は、「撮影機」1機と、「中継機」1機の2機でペアを組む形が基本で、現在はデジタルハイビジョンでの撮影・送信が可能な装置に更新されたことで、導入当初のアナログカメラと比べて格段にクリアな映像での情報収集が可能になっています。

 しかし、現用の「ヘリコプター映像伝送装置」は、映像データの送信を地上に配置された受信装置で中継する形をとっているため、九州に多い山間部や遠隔地などでは地上で電波を受信しにくいという難点がありました。

 そこで現在、自衛隊では通信衛星を介して直接映像データを送信できる新型「回転翼衛星映像伝送システム」への更新を進めています。独自の全国通信網を有しない消防庁・防災航空隊の消防防災ヘリコプターや、国土交通省の災害対策用ヘリコプターなどではすでに導入されている「ヘリサット」と同様の仕組みです。

 大規模災害も戦争と同様、いかに被災地の正確な情報をいち早く確保できるかで、その後の初動対応の成否が決まります。新たな「回転翼衛星映像伝送システム」は、既存のUH-1Jヘリコプターよりも夜間や悪天候などに強いUH-60JAヘリコプターや、近年配備が進む最新鋭のUH-2ヘリコプターなどにも搭載可能です。

 首相官邸へ「今、起きている被害」をクリアに届ける空からの眼。技術のアップデートにより、発災時の自衛隊の初動対応は、かつてないほど一層の向上を遂げているといえるでしょう。

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