ナニコレ!? 「タイヤが多すぎるバス」なんでわざわざ“10輪駆動”に? その真の狙いとは
- 乗りものニュース |

街をゆっくり走る電動バス
片側5輪、計10個のタイヤで走る特徴的なバスが、東京・池袋を走っています。WILLER EXPRESS(ウィラーエクスプレス)が運行している小型バス「IKEBUS(イケバス)」です。なぜ、このようなバスが誕生したのでしょうか。
10輪駆動で走る「IKEBUS」(安藤昌季撮影)
IKEBUSは、eCOM-10という低速電動コミュニティビーグルです。工業デザイナーの水戸岡鋭治さんがデザインしたかわいいデザインをしており、19km/hでゆっくりと走ります。
「地方の高齢者などによる交通問題の解決」「都市交通におけるLRT導入の事前評価」などをコンセプトに群馬県の電気自動車メーカーが2010(平成22)年に開発した「eCOM-8」という車両が元になっており、このジャンルの車両は北海道から宮崎県まで全国各地に導入されています。
そのタイヤ8個のeCOM-8をタイヤ10個に、定員を10人から16人に増やしたのがIKEBUSのeCOM-10で、2017(平成29)年に開発されました。原型の車体は側窓がないオープンタイプですが、IKEBUSは側窓を備えた通常のバスタイプです。
IKEBUSは2019年に登場しました。池袋駅を起点に街を周回する2コースがあり、40~60分に1本ほど運行されています。乗車方法は車内で200円を支払うか(Suicaなどの交通系ICカードは不可)、停留所付近の施設で500円の1日乗車券を買う必要があります。
筆者(安藤昌季:乗りものライター)はビックカメラ池袋本店で1日乗車券を購入しましたが、店員が券を事務所まで取りに行ったため買うのに12分ほどかかってしまいました。
乗る時から非日常感
祝日のBコースに乗車します。池袋駅西口に赤いオシャレな停留所があり、発車20分前でも、家族連れが行列を作っていました。
赤い車両が到着しました。車内も真っ赤で斬新な色使いです。車体は小さくタイヤも小さいことから、床面がかなり低く、客室と運転席が段差なくつながっていて開放感がすごいです。
ウィラーと豊島区にデザイン意図を確認しましたが「IKEBUSは、車両だけでなく、停留所、制服、グッズなどが水戸岡氏によりトータルデザインされています。ブリキのおもちゃのようなかわいい車体や、1台ずつ異なる内装など、こだわりは満載です。池袋の変化、力強さを表現した『IKEBUKURO RED』で塗装されたオンリーワンの存在です。10台ある車両は、1台だけ黄色で、乗ると幸せになるといわれています。またIKEBUSは、デザイン画を忠実に再現するため水戸岡氏が中心となり、各分野の匠によって製作された見て・乗って楽しい新たな移動装置としての役割を担っています」とのことで、実際、乗車していて指差す人もいる存在感でした。
IKEBUSのテーマ曲は、JR九州のクルーズトレイン「ななつ星in九州」の音楽演出を担当したヴァイオリニストの大迫淳英さんと、作曲家の中原達彦さんが制作。バスに乗る時にこの曲が出迎え非日常感を演出します。車内は14人が乗車し、ほぼ満席です。
座席は通勤電車のようなロングシートですが、背もたれは木製で、カラフルな座面を備えた「水戸岡デザイン」です。座り心地は、背もたれの形状は自然で素晴らしいですが、1時間乗車すると座面の薄さが気にかかるという感じ。ただ、短時間乗車が多いため実質問題はないと思われます。
運転席に扇風機があります。これは、原設計ではオープンデッキ構造のため、冷暖房を備えていないことによります。
車体後部には車いす用の昇降機があります。天井はオシャレなスポットライトが付いているほか、3台だけはデジタルサイネージも備えています。
タイヤが10個もある理由
タイヤが10個もある理由については、豊島区が次のように教えてくれました。
「車両への乗降をしやすくフラットな車内を実現するため、小径のタイヤに小型インホイールモーターという組み合わせとなっていて、モーター出力と車両重量の関係などから10輪駆動となっています。このため、座っていると歩行者と目線がほぼ変わらない車高であることから、街との一体感が生まれています。
また、10輪駆動車という珍しい形状は、街なかでも人の目を引く存在となっています。電気バスの普及については、近年、環境面から普通のバスも含めて導入が広がっていますが、電気だけでなく水素も含めて広がってくると考えられます」
13時5分、池袋駅西口を出発します。乗り心地は電車とバスの中間という感じで、走行音は小さく、横揺れがほとんどありません。加速はゆっくりで、幅の広い道路では車が追い抜いていきます。最高19km/hなのでそうなるのですが、「車が速度を出す幹線道路や広い交差点の右折を避ける運行ルートとし、朝ラッシュ時は避けていることや、エンジン音がないことを考慮して車両の接近を伝える装置を搭載するなどで、安全走行に努めています」(豊島区)とのことでした。
運転手さんに話を聞くと「小回りはあまり利かないです」とのこと。13時9分、東京芸術劇場で早くも2人下車します。その後、13時22分着の豊島区役所で乗務員交代があり、13時26分着の東池袋駅で3人下車して、1人乗車します。乗車した女性客が都バスの1日乗車券を提示しましたが、運転手さんが「都バスの1日券やPASMO・Suicaは使えない」ことを丁寧に説明していました。
13時29分にIKE・SUNPARK入口で5人下車、13時33分にサンシャインシティプリンスホテルで2人下車、1人乗車。13時35分にサンシャインシティ西で2人下車と次々に下車して、車内は空いてきました。そして、13時48分に池袋駅西口北で2人が乗車して、13時53分に終点の池袋駅西口中央で4人下車します。
この日は、イベント「IKEBUSまつり2025~池袋に集うバスたちの休日~」が開催されていました。筆者はそのイベントへ移動。IKEBUS 3台とウィラーの高速バス「ReBorn」「空港シャトルバス」なども展示されていて、多くの来場客でにぎわっていました。
3台のIKEBUSはそれぞれ内装が異なり、特に天井のデジタルサイネージには圧倒されました。池袋の新たな名物となっているIKEBUS。日常の癒しとして走り続けてほしいものです。
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