ニュースでよく見る「逮捕」と「書類送検」、何が違う? 分ける基準は?
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新聞やテレビのニュースでは、「逮捕」や「書類送検」という言葉がよく出てきます。
逮捕については、容疑者が警察署に移送、もしくは警察署から検察庁に移送される際の映像がテレビで放映されるため、少なくとも一定期間身柄を拘束されるものだとイメージできます。ただ、書類送検については、新聞やテレビで詳しく取り上げられないため、制度の仕組みが分かりにくいことがあります。
逮捕と書類送検は何が違うのでしょうか。また、両者を分ける基準はあるのでしょうか。グラディアトル法律事務所の武内俊輔弁護士に聞きました。
両者は厳密には「対」ではない
Q.そもそも、逮捕と書類送検は何が違うのでしょうか。
武内さん「一般的に、皆さんがイメージする刑事手続きの流れは、『警察(逮捕)⇒検察(勾留)⇒裁判』のようなものではないでしょうか。逮捕は、警察が容疑者の身柄を拘束する際の手続きの名称です。
事件は基本的に、警察から検察に送致されます。このことを『送検』といい、捜査資料のみを送検する場合と、捜査資料と容疑者の身柄を送検する場合があります。そのうち、前者を書類送検といいます。
送検後、検察官は犯罪の嫌疑があればそれについて捜査をし、起訴・不起訴(裁判をする、しない)の処分を決定します。捜査については、容疑者の身柄を拘束した上で取り調べなどが行われる場合と、身柄拘束なしで捜査資料でのみ行われる場合があります。身柄を拘束したままの場合を『身柄事件』、身柄拘束なしの場合を『在宅事件』といいます。
このように、逮捕と書類送検は厳密には対になるものではありませんが、メディアでは『逮捕=身柄事件』『書類送検=在宅事件』といったニュアンスで紹介されることが多いです。なお、警察が容疑者を逮捕したものの、いったん釈放(身柄の拘束を解く)し、その後、在宅で捜査を続けて書類送検する場合もあります」
Q.逮捕になった場合に比べると、書類送検の方が最終的に刑罰が軽い印象を受けますが、実際にそうなのでしょうか。
武内さん「確かに、そのようにいえると思います。逮捕手続きには(1)証拠隠滅の恐れ(2)逃亡の恐れ、のいずれかの要件が必要です。在宅事件は(1)と(2)の恐れがないとされている事件、つまり軽微とされている事件が多いです。そのような点から、書類送検(在宅事件)の方が、逮捕(身柄事件)に比べ軽い処罰になりやすいといえます」
Q.逮捕であれば一定期間、警察や検察によって身柄を拘束されますが、書類送検の場合、日常生活で制約を受けることはあるのでしょうか。例えば、任意とはいえ、取り調べに応じない場合、どうなるのですか。
武内さん「日常生活には制約はありません。しかし、正当な理由なく取り調べに応じないとなれば、逮捕される可能性があります」
Q.逮捕する際の基準はあるのでしょうか。例えば、窃盗事件の場合、数円程度の被害で逮捕されるケースもあれば、1000円程度の被害でも書類送検で済むケースがあります。また、脱税関連の事件は書類送検が多いように思います。
武内さん「逮捕は(1)証拠隠滅の恐れ(2)逃亡の恐れ、のいずれかのケースが考えられるかどうかで決まります。これについては、容疑者の年齢、境遇、犯罪の軽重、態様などさまざま事情から判断されます。
例えば、容疑者が定職を持っている場合や家族がいる場合、『仕事を続けなければならないため、逃亡する恐れはない』『家族を置いたまま逃げないだろう』と逃走の恐れがないと判断されることが多いです。
ところが、前科がある場合は処分が重くなる可能性が高くなるため、逃亡の恐れがあると見なされがちです。これらを総合的に考慮して判断されます。
また、数円と1000円程度の被害額では、後者の方が罪が重いように見えますが、これだけで判断されるわけではなく、他の事情も加味されます。そのため、事件によってバラツキがあるように見えます。
なお、脱税絡みの事件については、どれほどの割合が在宅事件なのか分かりません。恐らく、すでに会計資料などの証拠がそろっていて証拠隠滅の恐れがなく、立場・地位のある人(会社経営者など)であるため、逃亡の恐れがないと判断されるケースが多いのではないでしょうか」
判決までの期間は?
Q.刑事事件として起訴された後、逮捕と書類送検では有罪判決を受けるまでの期間に違いはあるのでしょうか。
武内さん「書類送検の場合、先述の(1)証拠隠滅の恐れ(2)逃亡の恐れ、の要件を満たさないため、早めに刑が確定しやすく、その結果、軽微な事件になることが多い傾向にあります。即決裁判、略式手続きや即日結審などが行われます。反対に、重大事件の場合、審理に時間もかかるため、当然期間も長くかかります」
Q.ちなみに、前科が付くのはいつなのでしょうか。また、前科が付くと社会的にどのような影響があるのですか。
武内さん「有罪判決を受け、その判決が確定したときに初めて前科が付きます。前科が付くと、次に犯罪を行った場合、不利な処分を受ける可能性が高まります。
例えば、覚せい剤使用の容疑で初犯であれば、たいていは執行猶予付きの判決となりますが、覚せい剤使用に関する前科があれば実刑の可能性は高まります。なお、不起訴となれば前科は付かないものの前歴として記録されます」
オトナンサー編集部
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