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日本の国益を守れ! 国際条約で急ぎ建造「裏方的な海上保安庁船」知ってますか? 能登半島地震でも活躍まもなく退役へ

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  • 乗りものニュース
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海上保安庁が保有する測量船「昭洋」が、東京お台場で一般公開されました。同船は、国際条約に関連して急きょ造られたとか。ただ、測量船とはそもそもどんな船なのかでしょうか。

約30年使われ続けたベテラン船

 東京港の開港記念日に合わせて開かれた「東京みなと祭」に合わせて2025年5月31日、東京国際クルーズターミナルで海上保安庁海洋情報部の測量船「昭洋」(3000総トン)が公開されました。

Large figure1 gallery122025年5月31日、東京国際クルーズターミナルで一般公開された海上保安庁の測量船「昭洋」(深水千翔撮影)。

 船齢27年の同船は、2025年度の海保予算に代替船の建造が盛り込まれており、引退に向けたカウントダウンが事実上スタートしています。日本の海洋権益を守るとても重要な役割を背負って計画され、近年では能登半島地震の直後に現地へ派遣され海底地形の変化などを測量しています。いったい「昭洋」とは、どのような船なのでしょうか。

 海上保安庁の広報は「昭洋」について、「大陸棚調査をはじめ、地震予知調査や火山噴火予知調査でその能力を発揮した」と説明します。

 そもそも「昭洋」は、1998年3月に三井造船玉野艦船工場(現:三菱重工マリタイムシステムズ)で竣工した、当時としては海保最大の測量船です。同庁で初となる「ディーゼル電気推進方式」を採用したことにより、低騒音・低振動の航海を実現するとともに、音響機器への悪影響が低減され、高い精度の測量データ収集が可能となっています。

 エアガンを使った地層探査装置をはじめ、さまざまな地殻構造調査を行う機器の充実を図るとともに、船底に当時最新式のマルチビーム測深機を搭載。複合測位装置や深海用音波探査装置、表層探査装置も備えています。

 これらに加えて、海底火山の近くなど危険な海域において遠隔操縦で無人運転できる無人測量船「マンボウII」も搭載しました。「マンボウII」は高精度な調査機器を搭載しており、あらかじめ計画されたプログラムに従って、海底地形調査、変色水の採水、水温などの観測を無人で行うことができます。

 このように、当時最高の測量機器を取りそろえた「昭洋」が建造された背景には、日本の「海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)」の批准と大陸棚の延長申請が密接に関わっています。

海洋権益を守るために急きょ建造へ

 1994年11月に発効した国連海洋法条約では、沿岸国の領海の基線から200海里までの海底を「大陸棚」と定めました。さらに国連の大陸棚限界委員会の審査で、海底の地形・地質が一定の条件を満たしていると認められた場合には、同委員会の勧告に基づいて200海里を超えて大陸棚を設定できます。

Large figure2 gallery132025年5月31日、東京国際クルーズターミナルで一般公開された海上保安庁の測量船「昭洋」(深水千翔撮影)。

 沿岸国は、国連海洋法条約に基づいて設定した自国の大陸棚で天然資源を開発するための「主権的権利」を行使できる一方、それ以外の国や機関は、同意なしに大陸棚に対して探査や開発を行うことはできません。周囲を海に囲まれた日本にとって、漁業資源に加えて、レアメタルなどの豊富な鉱物資源が眠るとされている大陸棚の設定は、海洋権益を確保するうえで不可欠でした。

 しかし、日本が国連海洋法条約の批准に向けて動いていた1995年当時、大陸棚の調査能力を持つ測量船は「拓洋」(2400総トン)1隻のみ。大陸棚の延長を申請する資料の提出はタイムリミット(当初は2006年7月、後に2009年5月)が設定されており、調査能力を増強する必要がありました。

 これを受け、初代「昭洋」(2016総トン)の代替として1995年度補正予算で建造が決まったのが今の「昭洋」となります。同船は大陸棚だけでなく、火山活動や活断層、海洋汚染といった幅広い調査活動を行うことを想定していたため、船体の大型化が図られています。こうした船舶としての特徴と、社会的な貢献が評価され1998年の「シップ・オブ・ザ・イヤー」に選ばれました。

 2011年3月に発生した東日本大震災で、「昭洋」は釜石港や宮古港に派遣され、津波で被害を受けた港内の水路測量を実施。緊急支援物資の受け入れ拠点となる各港の復旧を支援しました。さらに「福島第一原子力発電所事故」に伴う放射能調査にも投入され、福島県沖や茨城県沖を含む日本周辺海域で海水サンプリングと分析を行っています。

 近年では噴火により拡大した西之島(東京都小笠原)で、噴火が収まった後の2015年と2016年に調査を実施。また、2024年1月の能登半島地震では、地震直後に現地へ派遣され航路障害物の調査を実施して港湾の早期供用開始に貢献し、その後も能登半島周辺の海底地形調査を行って海底の地滑りの痕跡を明らかにしました。

小笠原諸島の海底には豊富な鉱物資源あるぞ!

 このように活躍してきた「昭洋」ですが、2025年度予算で代替船が整備されることが決まりました。新たな測量船の就役は2028年度を予定しています。

Large figure3 gallery14測量船「昭洋」の船橋。まもなく新型の測量船に更新されて退役する予定(深水千翔撮影)。

 海保によると、新造測量船では水路測量や海象観測などを実現するため、最適な船型・装備設計を行うとともに、効率化、省力化が図られた最新鋭機器を搭載し、高機能化する予定です。

 具体的には以下の通り。

1、 連続行動を踏まえた燃料、清水、食料などを搭載可能とした備蓄設備の拡充による「長期行動能力の確保」
2、 長期行動時の乗組員負担の軽減を目的にプライベートを配慮した全居室を個室化することによる「居住性の向上」
3、 少人数でも作業可能な係船ウインチやメンテナンス頻度を低減するために海水に耐久性のある材質の採用することによる「乗組員作業の省力化」

 こうした船としての基本的な機能を向上させます。

 また、海洋調査を行うくえでの機能強化としては、安全で効率的な観測作業のため、可能な限り広く平坦な作業甲板(後部甲板)を確保するとともに、現有機器より解像度が向上し、海底面及び海底下の構造を鮮明かつ詳細に把握できる測量機器を搭載します。

 日本はこれまで約30万平方キロメートルの海域を新たに日本の大陸棚として設定してきました。2024年には小笠原諸島東方の小笠原海台海域の大部分が新たな日本の大陸棚となりましたが、このエリアにはコバルトやニッケルを含む鉱物資源「コバルトリッチクラスト」が確認されています。

 このように自国の海洋権益を守り、新たな資源を確保するために、「昭洋」は重要な働きをしてきました。そして同船が行ってきた測量業務は、新世代の測量船へバトンタッチされます。

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